事業拡大も後押し!放課後等デイサービス多店舗展開のノウハウ
放課後等デイサービスのビジネスに興味があっても、継続して安定した収益が得られるかどうか悩まれる経営者さまがいらっしゃいます。
「放課後等デイサービス事業は売上に上限があると聞いたが、乗り越えにはどうすべき?」
「競合が多い中で、どうやって放デイのビジネスは事業拡大をするのが効率的か?」
というお声をよく耳にします。たしかに放課後等デイサービスにおける1教室あたりの売上には上限があります。放課後等デイサービスの収入の9割は国保連からの給付費で、報酬体系は児童福祉法に基づき規定されているためです。利用定員にも規定があり、定員以上には利用者を入れられません。
競合となる事業所も多い中で、会社の経営を安定させるにはどうすればいいのでしょうか。弊社では2つの方法をおすすめしています。
- 実費事業の導入
- 多店舗展開
実費事業の導入については、こちらの記事で説明しているのでご覧ください。
今回のテーマは多店舗展開です。多店舗展開とは、複数の事業所を同時に運営することですが、放課後等デイサービスでは同じエリア内に複数の教室を開所することで、効率的な経営ができます。各教室ごとに対象年齢を設定し、利用者の年齢にあった療育プログラムを提供します。
多店舗展開を行うメリットは収益アップを図ることだけではありません。
- 保護者の安心感を生み、地域でのブランド力が高まる
- 自治体・相談支援事業所から利用者の紹介を受けやすくなる
- 教室ごとに利用者の対象年齢を設定すれば、各教室で療育の特色を打ち出せる
- 職員の保有資格や経験に応じた配置が可能になり、療育の質が向上する
こどもプラスでは、実際に茨城県つくば市で上記のメリットを活かし6教室を展開しています。すべての教室が順調に運営を続けており、地域で「特色のある療育を提供する教室」として高く評価いただいております。
今回は弊社の実例を紹介しながら、放課後等デイサービスの多店舗展開を行うメリットやノウハウについて詳しく解説します。放課後等デイサービスのビジネスで、成功が持続する収益構造を築きたい方は、多店舗展開による事業拡大や集客アップ、ブランディングのポイントを学んでいただけます。
1.放デイの多店舗展開をおすすめする理由
こどもプラスが放課後等デイサービス(以下、放デイ)の多店舗展開をおすすめする理由は、以下の3つです。
- 1教室当たりの売上の壁を乗り越え、事業拡大ができる
- 認知度の向上により、集客がしやすくなる
- ブランディングが進み、保護者の安心感が高まる
放デイは国保連からの給付費を主な収入源とするため、1教室での収益には限界があります。定員を超えた人数を入れれば、定員超過減算を適用されるリスクがある上、子ども達への療育の質も落ちてしまいます。定員いっぱいまで入れて加算を最大限利用しても、人数の壁は超えられません。
1つの教室で人数をいっぱいに満たせる場合、こどもプラスでは積極的に多店舗展開をご提案します。ここでは3つのメリットについて詳細をお伝えします。私たちが多店舗展開を積極的におすすめする理由を理解していただけます。
1-1.1教室の売上は350万円程度が限界のシンプルな事業モデル
放デイの売上は、利用者数と利用者一人あたりの単位数に依存します。利用料の1割は利用者が、9割は国民健康保険団体連合会(国保連)が負担します。放デイの事業所には国保連から人数に応じた給付費が支払われる仕組みです。日々確実な療育を行い、利用者にできるだけ長く継続的に利用してもらうことが、安定した収益に繋がります。
定員10名の教室での1ヶ月間の売上概算は、以下のとおりです。平日22日、学校休業日4日で計算します。
<月間の売上概算>
基本報酬:604単位(平日)、721単位(学校休業日)
児童指導員等加配加算:187単位(理学療法士、保育士などの専門職員)
専門的支援加算:187単位(理学療法士、言語聴覚士など)
送迎加算:108単位(往復)
平日合計:1086単位
1086単位×10円(単位単価)×10人×22日=2,389,200円
学校休業日合計:1203単位
1203単位×10円×10人×4日=481,200円
1ヶ月合計:2,870,400円
算出した金額に以下の加算を加えます。
- 家庭連携加算(1時間以上):280単位×10円(単位単価)×4回×10人=112,000円
- 事業所内相談支援加算Ⅰ:100単位×10円×10人=10,000円
- 関係機関連携加算:200単位×10円×10人=20,000円
収益総合計:3,012,400円
これは、放デイの運営が良好な月の収益目安です。
さらに医療的ケア(人工呼吸器や気管切開の管理など)が必要な児童を受け入れた場合は、ケアと見守りの内容に応じて、基本報酬が変更されます。(1271単位・1604単位・2604単位のいずれか)
看護職員を1:1で配置しなければならないなど、受け入れ体制の確保は必要ですが、受け入れ可能であれば該当児童の基本報酬が最大で2000単位上昇します。(2604単位の児童の場合)
2,000単位×10円(単位単価)×26日=520,000円
この金額を収益総合計に加えると約353万円です。つまり医療的ケア児の受け入れができる場合は350万円前後、できない場合は300万円前後を売上の上限と考えると良いでしょう。
この売上の壁を越え、より安定した経営状態を実現するため、こどもプラスでは多店舗展開を積極的に提案しています。もちろん、担当SVがタイミングを熟考し、次の展開を進めやすいタイミングでご提案します。
1-2.多店舗展開は認知度の向上に繋がり集客がしやすくなる
多店舗展開には、売上の向上以外にもさまざまなメリットがあります。その一つは、人々に認知されやすくなることです。
同一市町村内に同じ屋号の教室が複数あれば、それだけ目につく機会が増えます。その結果、今まで興味や関心がなかった人にも好印象を与えられるようになります。これはザイオンス効果(単純接触効果)と呼ばれており、購買意欲を高める効果的な手法の1つです。
放デイにおいても多店舗展開をすることで、これから放デイの利用を考えている方や今まで距離の問題で二の足を踏んでいた方など、潜在顧客への良いアピールとなります。
また、教育機関や相談支援事業所からも広く認知されやすくなるでしょう。教室の存在が知られることで、ご挨拶に伺った折に協力が得られやすく、児童を紹介してもらえる良好な関係を構築できます。
1-3.教室数の多さが保護者の安心にも繋がる
放デイの多店舗展開は業績が好調な証です。それは療育内容が広く支持されているからです。保護者にとって自分の子どもが通う教室が近場で広まることは、療育への信頼を高めることに繋がります。
また多店舗展開を行う際、教室ごとに「2歳~6歳」「小学1~3年生」といった対象年齢を設定し、運動療育やビジョントレーニングなど年齢に応じたコンテンツの分配をすることが効果的です。より専門的な教室としてブランディングでき、保護者からは「高い専門性を持った放デイ」として認知されやすくなります。良い口コミが広まれば、さらなる安心感が生まれ、利用日数の増加や長期利用に繋がる芽となります。
2.放デイの多店舗展開をする3つのメリット
放デイの多店舗展開を行うことで、専門的で幅のある療育を提供できます。幅のある療育の1つが、教室ごとに対象年齢を設けることです。中高生には就労支援や自立支援、小学校高学年にはプログラミングなど、子ども達の成長や保護者の要望にあわせたコンテンツを提供できます。
利用者の年齢や状況に最適化された療育をお届けすることで、その効果が高まるだけでなく、周辺事業所との差別化やブランディング強化に繋がり、これまで以上に集客を期待できます。
対象年齢を設けることは職員のモチベーションアップにも効果があります。保有する資格や経験に応じて、得意な分野を活かした仕事ができるためです。もちろん、経験を積むためにあえて経験の浅い分野で腕を磨き、療育の幅を広げることも可能です。職員一人ひとりが高い目的意識とキャリアプランを持ち仕事にあたれます。
ここでは、多店舗展開が教室運営にもたらす3つのメリットについて詳しくお伝えします。
2-1.職員が複数の教室を兼務することで、効率的な人材配置が可能
放デイの教室数を増やせば、新たな職員雇用への不安が生まれることもあります。どうしても人数が不足する場合は新たな雇用が必要ですが、まずはシフトをうまく組み、各職員がいろいろな教室を兼務するよう調整を行います。
もちろん、児童発達支援管理責任者が各教室に1人以上必要など、放デイの運営規程は満たさなければなりません。職員の保有資格をよく確認し、人員が足りない場合は新教室のオープンまでに補充を行います。
また、教室ごとに対象年齢の設定や療育内容の分配を行った場合、各職員の保有資格や経験に応じた配置を行うと良いでしょう。
こどもプラスでは、保育士や教員免許、社会福祉士など資格保有者が多数いるため、教室の特徴と職員の保有資格を照らし合わせ、中心となり指導する教室を決定しています。資格と経験を活かした勤務が可能になり、療育の質が向上します。
2-2.教室ごとに対象年齢を設け、年齢に応じた療育内容を提供できる
同一地区やエリアが近い範囲内で多店舗展開を行う場合、各教室に対象年齢を設けることをおすすめします。年齢が違えば適切な療育も異なるため、教室ごとに療育内容を変えることができます。例えば以下のような分類が挙げられます。
対象年齢 |
療育内容 |
未就学児
(~6歳) |
言語指導に重点を置く「児童発達支援」教室 |
小学校低学年
(6~8歳) |
プログラミングやビジョントレーニングなど
自ら進んで学べるコンテンツを取り入れた教室 |
小学校高学年(10~12歳) | プログラミングやSSTなど興味を喚起し
将来に繋がるコンテンツを取り入れた教室 |
中高生
(12~18歳) |
就労支援や自立支援に特化した教室 |
子ども達は年齢に応じて教室を移ることで、放デイを卒業する18歳まで専門的療育を継続して受けられます。保有資格や経験に従い職員を配置すれば、どの教室でも高いレベルの療育を提供でき、子ども達は通所を楽しく感じ、保護者は安心して信頼を寄せるようになります。
特色を強く持つ教室展開は、周辺事業所との差別化を強く図ることに繋がります。「単なる放デイではなく、年齢ごとに専門性のある療育を行う教室」としてブランディングされ、集客もしやすくなります。さらに療育に関して専門的な教室を多数展開する会社として、事業所の評判も上がります。
関連記事:放課後等デイサービスで他社と差別化するには?開業に役立つ具体的方法5選
2-3.管理部門を作り、業務をまとめることで事業を効率化できる
多店舗展開を行う場合、放デイの教室運営を一元管理する「本部」や管理部門をつくると良いでしょう。教室ごとにばらばらの運営を行うのでは、法人全体の統率がとれません。本部や管理部を設置することで、人事や経理、営業などの業務をまとめて効率化でき、法人全体の目標や療育方針も共有できます。職員の異動や配置転換を行いやすくし、各教室の状況に臨機応変に対応できる体制がとれます。
教室数が増えると、日々の療育や書類管理などを教室の職員に任せがちになり、療育の質にばらつきが生じる、書類の管理が不適切になるなどの問題が生じる可能性があります。本部や管理部が全体を統率し、管理系統・指示系統をはっきりさせることにより、隅々まで情報を共有し、各教室の業務に不備や支障がないか管理できるようになります。
3.多店舗展開の事例(つくば市で6店舗を直営)
こどもプラスでは茨城県のつくば市に直営教室6店舗を展開し、対象年齢による分類と療育内容の策定を行いました。その結果、一つひとつの教室の療育効果が上がり、地域で専門性の高い教室として認知されています。さまざま利用者のご要望に対応できる幅の広い療育は、こどもプラスならではの多様なコンテンツがあるからです。未就学児から高校生までさまざまな子ども達が毎日楽しく通っています。
第3章では実際に多店舗展開で成功を収めた、こどもプラスの事例をご紹介します。
3-1.同市町村で6教室を運営した成功事例
こどもプラスでは教室が定員を満たすタイミングで、2教室目の出店をご提案します。毎日満員で利用枠を確保できず、受給者証で指定された最大日数まで通いきれない児童が出てしまうからです。教室を分割し、各児童が最大日数まで通える配慮を行わなければなりません。
2教室目を出店する際は、対象年齢をつくり児童を年齢で区分する方法がおすすめです。こどもプラスの直営教室は、この方法で同一市町村に6教室を展開しました。その効果は2章でご説明したとおりで、子ども達への療育効果はもちろん、ブランディングにも大きな効果を発揮します。
弊社が6教室を展開する茨城県つくば市は、令和3年4月時点で児童発達支援・放課後等デイサービスがあわせて41事業所もある激戦区です。(つくば市 「つくば市 障害児通所支援事業書 ガイドブック」参照 注1) このような中で各教室が好調を維持できるのは、対象年齢わけした教室づくりの成果です。
3-2.学年別の教室を作ってブランディングした成功事例
茨城県つくば市のこどもプラス直営教室は、以下の対象年齢で教室わけを行っています。
教室名 |
対象
年齢 |
提供内容 |
こどもプラスつくば
吾妻教室 |
2歳〜6歳 | 児童発達支援施設。運動療育に加え、言語指導としてグループ会社のコンテンツ「ことばの教室」を提供。 |
チャイルドブレイン
つくば吾妻教室 |
小1〜小3 | 運動療育に加え、プログラミングを提供 |
夢を叶える
就労トレーニングつくば 花室Jr.教室 |
小4〜小6 | 運動療育に加え、SST、プログラミング、
ビジョントレーニングを提供 |
夢を叶える就労トレーニング
つくば花室教室 |
中1〜高3 | 運動療育に加え、就労支援、自立支援を提供 |
総合療育センター
つくば東教室 |
2歳〜小3 | 児童発達支援併設。運動療育に加え、
ビジョントレーニングを提供 |
総合療育センター
つくば二の宮教室 |
2歳〜小3 | 児童発達支援併設。運動療育に加え、
ビジョントレーニングを提供 |
放デイは、療育をとおして子ども達の心身の発達を促す責務を負っています。どの年齢の子ども達にも同じ療育を提供するのでは、個々のご要望に対応できません。私たちは長年の研究や保護者からの声を踏まえ、提供内容を上記のように絞り込みました。これにより子ども達の成長段階に見あった療育を提供でき、保護者の心配事を解決する手助けができます。
なお、これらを提供できるのは、こどもプラスがさまざまなコンテンツを保有しているからです。こどもプラスのフランチャイズ事業にご加入いただければ、中高生に特化した就労トレーニングや、VRを使用したSST、独自のプログラミング教材、ビジョントレーニング教材、オンラインを使用した言語聴覚療法「ことばの教室」など、多彩なコンテンツで教室展開に対応できます。
*中高生に特化したコンテンツはこちらをご覧ください。
3-3.教室別で異なるカリキュラムを提供することですべてのお問い合わせに対応
教室ごとに年齢に応じたカリキュラムを設けることは、保護者からのさまざまなお問いあわせに対応できる利点があります。保護者の抱える心配事には、ある程度子どもの年齢ごとの共通点があります。しかし発育状況には個体差があり、それぞれの個性によってさまざまな問題が生じます。言語に不安な子がいれば、ものを見る力が弱い子もいます。
提供内容が異なる教室が複数あれば、お問いあわせ時にほかの教室をご案内することができます。上記6教室でも、お問いあわせに応じて臨機応変に対応し、一人ひとりのご要望に応えられる教室をご案内しています。受け入れる生徒の幅が広がれば、どの教室も定員を満たすようになり、さらなる教室展開へと繋がります。教室が増えるほど子ども達の選択肢が増え、療育の専門性も高まります。
さいごに
こどもプラスでは、1つの教室が定員を満たしたら2教室目を出すアドバイスを積極的に行います。1教室での収益には限界があり、それを超えるには多店舗展開が有効だからです。多店舗展開には収益の拡大以外にもさまざまなメリットがあります。
- 認知度が上がり、新規利用者を獲得しやすくなる
- 教育機関や相談支援事業所からも紹介を受けやすくなる
- 地域でのブランディングが進み、新規利用者獲得だけでなく、保護者の信頼感も高まる
- 年齢わけを行えば、教室ごとに療育の特色を打ち出せ、あらゆるご要望に応えられる
- 職員の有する資格や経験に応じた配置が可能になり、療育の質が向上する
とくに対象年齢を設け教室を分類することで、療育の内容を年齢によってわけることができ、質の向上が望めます。職員も療育内容に応じて勤務することで、各自の経験や保有資格を活かすことができます。高い専門性を持った質の高い療育により、地域でのブランディングが進み、利用者や保護者からはさらなる信頼を得られます。
こどもプラスでは、茨城県つくば市に6教室をオープンし、それぞれ受け入れ対象年齢を設け、別の療育を提供しています。子どもの成長と共に生じる保護者の心配事に、寄り添い解決する療育を提供してきました。それにより、ほかにはない専門的教室として高い評価を得ています。SSTやプログラミング、言語聴覚療法などコンテンツを用意すること自体が難しい療育も、さまざまなコンテンツを保有するこどもプラスならば提供可能です。
こどもプラスでは、多くの加盟店様が多店舗展開を行い、そのすべてが成功を収めています。SVが慎重にタイミングを見抜き、出店すべき場所や療育内容に関してもアドバイスを行います。失敗なく複数教室を運営したいのであれば、こどもプラスのフランチャイズ事業加盟をおすすめします。豊富なコンテンツを保有しているため、教室ごとの特色もつくりやすく、地域で一目置かれる教室づくりが可能です。
放デイに参入し複数教室を運営したい方、さまざまなコンテンツを扱う放デイを運営したい方はもちろん、現在の教室運営に不安を感じている方や、より詳しい情報を知りたい方も、「問い合わせページ」からご相談ください。個別に対応させていただきます。
参考文献
注1)つくば市 「つくば市 障害児通所支援事業所 ガイドブック」