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放課後等デイサービスで他社と差別化するには?開業に役立つ具体的方法5選

放課後等デイサービスで他社と差別化するには?開業に役立つ具体的方法5選

放課後等デイサービスが「安定したビジネスモデル」だと言われたのは、もはや過去の話です。参入事業者が増え利用者の獲得競争が激化した現在、特色を持たない事業所は赤字に追い込まれています。

では特色を持つにはなにをすれば良いのでしょうか?

ポイントは放課後等デイサービスの他社との「差別化」です。差別化の具体的な手法を知り実行すれば、自社の特長が前面に押し出され、保護者や子ども達に選ばれる事業所になります。

今回は、私たちこどもプラスが長年フランチャイズ事業を展開する中で培った「差別化」のノウハウを、具体的にお話しします。

  • 差別化戦略の概要
  • 差別化戦略における戦略の立て方
  • 差別化を行う具体的な手法

の順にお読みいただくことで、戦略の全体像とプロセスが理解でき、実行に移しやすくなります。

これから放課後等デイサービスを開業される方はもちろん、有効な差別化が図れずに苦労している方にも参考にしていただけます。

1.競争が激しい放課後等デイサービスの現状

意外と厳しい放課後等デイサービスの現状

放課後等デイサービス(以下、放デイ)の市場はライバル企業との競争が激化しています。

これまで放デイは「安定した事業」だと言われてきました。それは主な収入源が国民健康保険団体連合会からの給付費で、景気や取引業者の動向に左右されにくいからです。

しかし、利用者がいなければ経営が成り立たないのは、ほかの業種と同じです。現在は集客が容易でなくなり、各事業所とも経営の工夫なしには「安定」を実現できません。

その背景にあるのは、

  • 事業者数の急増
  • 利用者の伸び悩み

の2つです。

1-1.利用者児童数の増加率は27%から12%に減少

厚生労働省が公表する「障害児通所支援の現状等について」(注1)によると、平成26年度からの1年間におよそ27%あった放デイの「利用者児童数増加率」が、年々減少し、平成30年度にはおよそ12%まで落ち込んでいます。

一方で事業所数は平成26年度からの5年間で2.8倍に増加しているため、事業所の増加に対して、期待するほど利用者数が伸びないのが現状です。

現在の放デイ市場は、限られた利用者を多くの事業所が取りあう状態です。

集客合戦が本格化することで、評判の良い事業所や、特色のある事業所に利用者が集中します。とくに競合他社がひしめき合うような激戦区で生き残るには、並み居る強豪に勝つための一手を打たなければなりません。

その鍵となるのが、次章以降で解説する「差別化」です。

なお放デイの現状と、倒産する会社の特徴は『なぜつぶれる放課後等デイサービスが相次ぐのか?経営を誤る教室の特徴』で詳しく解説していますので、ご覧ください。

注1(参照:障害児通所支援の現状等について|厚生労働省

2.なぜ放課後等デイサービスに差別化戦略が有効か?

差別化戦略とはなにか?メリットと戦略の立て方

放課後等デイサービスに差別化戦略が有効です。この理由を解説する前に、まずはビジネスで用いられる差別化戦略の理解をしておきましょう。

他社に勝つ会社をつくるには、市場で自社の優位性を証明する戦略が必要です。アメリカの経済学者マイケル・ポーターが提唱した「差別化戦略」を取り上げます。

2-1.マイケル・ポーターの3つの基本戦略

マイケル・ポーターは、ハーバード・ビジネス・スクールの教授で、「5Force分析」「バリューチェーン」など、企業活動に有用なさまざまな戦略を提唱したことで知られます。

彼が1980年に出版した『競争の戦略』(Michael.E.Porter(1980).『Competitive Strategy』 Free Press)では、競争に勝つための3つの基本戦略が提唱され、今日に至るまで世界中の経営者やマーケティング担当者に支持されてきました。

その基本戦略の一つが、これから説明する「差別化戦略」です。

3つの基本戦略とは・・・

①商品やサービスの価格を他社水準よりも下げる「コストリーダーシップ戦略」

②特定の顧客への商品販売やサービス提供に集中することで、経営の費用対効果を高める「集中戦略」

③自社の商品やサービスが「他社のものよりも優れている」ことが消費者に認知されるよう差別化を図る「差別化戦略」

です。

放デイの場合、報酬体系は児童福祉法で決まっています。料金の引き下げはできないため、①には取り組めません。

②の仕組み構築も不可能です。利用者の負担割合は世帯収入により上限が設定されており、特定の顧客から多額の儲けを得る仕組みにはなり得ません。

したがって、放デイで「他社に勝つ」には、必然的に③の差別化戦略を採用します。

本章で「差別化戦略」の考え方やメリットをしっかりと理解し、自社に最も効果がある形で戦略を立てましょう。

2-2.差別化戦略の定義と考え方

「差別化戦略」という名前を聞いて、難しそうなイメージを持たれた方もいるかもしれません。

しかし実際の取り組みを難しく考える必要はありません。あなたがするべきことは、自社の強みの発見と、それを活かした教室づくりです。

2-2-1.差別化戦略の目的は「顧客の満足」に置く

ただし、そのさいに差別化自体が目的にならないよう、注意を払います。差別化戦略の目的は、あくまでも「顧客の満足」です。

たとえば「提供プログラムの多さ」を差別化の目玉に据えたとします。これを強調したいあまり、一日の提供時間内でいくつものプログラムを実施すると、目まぐるしさで子ども達は疲れてしまうでしょう。いつの間にか、サービスを充実させることが目的化してしまいます。

「子ども達や保護者の信頼を得られる未来」が結果として約束できなければ、その差別化は不適切です。

「提供プログラムの多さ」を目玉にするならば、療育の軸となるプログラムを持った上で、子ども達の個性に応じてカスタマイズされたサービスを提供します。そのような手法で差別化戦略を立てるなら、無理がないでしょう。

ただし、これには多岐にわたるコンテンツを揃えておかなければなりません。

関連記事:発達障がいの子どもに効果がある療育とは?年代別のプログラムを紹介

2-3.差別化戦略が放デイ経営にもたらすメリット

差別化戦略は利用者や保護者の満足に繋がります。満足した利用者は、通所日数を増やし、教室に何度も足を運んでくれるでしょう。

利用者や保護者からの高い評価は、自社の独自性と安心感をアピールする「ブランディング」に繋がります。ブランディングが進めば、「この教室ならば大丈夫」という安心感が生まれ、

・競合他社が多数あっても信頼の高さで集客できる

・良い評判が拡散するほどブランド価値が高まる

・ブランドネームだけで集客できる

などのメリットを享受できます。

2-3-1.こどもプラスによる差別化の事例

私たち「こどもプラス」も差別化戦略により、こういった恩恵を享受できました。具体的には脳科学に裏付けられた「運動療育」で差別化を図り、ブランド価値を高めてきました。

療育を受けた子ども達に、

・手先が器用になる

・バランス感覚が培われる

・集中力が増す

・協調性が芽生える

などの顕著な効果が見られ、「ここの療育には効果がある」という良い評判が広がったのです。

いつしか「運動療育=こどもプラス=高い療育効果」と認識されるようになり、「こどもプラス」の看板で集客できる状態になりました。

なお、こどもプラスのブランディングが円滑な開業に大きな役割を果たした事例を、『業界未経験でも開所すぐに80%の集客に成功!こどもプラスブランドの強さ』で紹介しています。あわせてご覧ください。

差別化戦略の成功は、このように事業所に大きな利益をもたらします。

2-4.放課後等デイサービスの差別化戦略の立て方

放課後等デイサービスの差別化戦略の立て方を3つのステップで解説します。

療育に大きな特長があれば、差別化は容易です。しかし、すべての事業所が「飛び抜けた特長」を持つわけではありません。差別化ポイントを見つける段階で苦労する事業所も少なくないでしょう。

その場合、差別化ポイントを発見する戦略を立てます。次の手順を踏むと良いでしょう。

①子ども達や保護者のニーズ把握

②競合他社のリサーチ

③自社の強みを導き出し差別化ポイントをつくる

①子ども達や保護者のニーズ把握

子ども達や保護者のニーズは、放デイ市場が置かれている現状を分析すれば明らかです。

現在の放デイは事業所の数が増えたことで、良い教室とそうでない教室が入り混じった状態です。満足のいくサービスが受けられない、期待するほどの変化が見られないなど、不満が募っている利用者も数多くいます。

こういった状況だからこそ、「子どもを安心して預けられる療育効果が高い事業所に進出してほしい」というのが、子どもや保護者の気持ちでしょう。

新規出店をする放デイの教室に対しては「高い療育効果の得られる、良質なサービスを受けたい」消費者の欲求がニーズとなります。

②競合他社のリサーチ

競合他社のリサーチでは、数ある教室の中から「療育効果が高い」事業所を選別します。赤字事業所も多く存在するため、保護者からの評判が高く、活気がある事業所を見つけ出しましょう。

その上で、webサイトや電話で選別した事業所のリサーチを行います。

  • 運営方針
  • 療育の特徴
  • 通所する子ども達の年齢層
  • 利用者や保護者からの評価ポイント

などを明らかにし、ライバル事業所の「強み」と「弱点」をはっきりさせます。

たとえば・・・

「A社は小学生を対象に専門性の高い療育を提供できることが強みだが、中高生をカバーできないのが弱点だ」

「B社は未就学児から高校生まで幅広い年齢層を確保している強みがあるが、人数が多い分、集団指導に終始している弱点がある」

などです。この情報をもとに、③のステップへ移ります。

③自社の強みを導き出し差別化ポイントをつくる

リサーチ結果をもとに差別化ポイントを導き出します。

 

<ライバル事業所の「弱点」を、あなたの手腕で埋められる場合>

たとえばライバル事業所の弱点が、中高生への療育内容の弱さにあり、自社が中高生向けのコンテンツを保有する場合、「就労支援」や「自立支援」で強く特色を打ち出せればよいのです。自社の強みが、そのまま差別化のポイントになります。

 

<ライバル事業所の「弱点」をうまく埋められない場合>

ライバル事業所とは違うアプローチで「強み」をつくりだせれば、差別化に成功します。

たとえばライバル事業所が「専門性の高い療育」に重点を置き成功しているのなら、あなたの事業所は、

  • 受け入れる子供の年齢層
  • 子ども達一人ひとりへの対応力

などを強く打ち出します。

重点を置くポイントを変えることで、あなたの事業所の独自性が打ち出され、差別化を図れます。

3.放課後等デイサービスで使える差別化戦略の具体的手法5選

放課後等デイサービスで使える差別化戦略の具体的手法5選

放課後等デイサービスで効果的に差別化を図るには、差別化戦略の立て方を理解した上で、自社にあった手法を選択する必要があります。

こどもプラスでは、これまで190のフランチャイズ加盟店を支援し、各教室の状況にあった差別化戦略を提案してきました。そのポイントは、主に5つに絞られます。

それぞれの内容をよく理解し、自社にあった手法で実行すれば、効果的に差別化を図れるでしょう。

3-1.療育に特色を持つのが最短で結果をだす方法

こどもプラスの運動療育のように、療育そのものに大きな特色を持てば、差別化が図りやすいでしょう。

たとえば「言語聴覚療法」は子ども達や保護者の困りごとの解決に役立ち、療育効果も期待できます。ことばの遅れは幼児と保護者が自覚しやすい問題で、そこにアプローチできる事業所ならば、ライバルに大きな差をつけられます。

ただし、提供する療育の種類によっては、資格保有者の人員確保が困難です。事前に人員配置計画を立てましょう。

なお、こどもプラスの運動療育の詳細は注目される運動療育!療育の軸としての柳沢運動プログラム』でご紹介しています。療育に特色を持つ強みを、より深く理解していただけます。

3-2.療育の幅を広げるコンテンツの拡充

発達障がいの子ども達は、個性豊かです。しかしその個性に対応したプログラムを提供する放デイは、決して多くありません。多くの事業所が、画一的な療育の提供で終わっています。

こどもプラスでは、

・プログラミング

・ロボットプログラミング

・現代アート

・理科実験

・映像編集

など多彩なプログラムを提供しています。一人ひとりに寄り添い、個性を伸ばす療育を実現しています。

ただし、コンテンツを拡充すると、

・指導者の人件費

・コンテンツ導入費用

などのお金がかかります。しかし、コンテンツを増やすことの費用対効果は決して低くありません。実費事業(放デイの時間外に「習い事教室」として行う事業)への拡大も検討できるからです。

教室を有効活用して実費事業を行えば、収益が増え、子ども達にとっても「療育と習い事の両方を受けられる」利点があります。

詳しくは『限界突破!放課後等デイサービスで利益を上げる秘訣』をご覧ください。

3-3.中高生向けの療育を提供

放デイ利用者の中心は小学生です。しかし中高生の需要がないわけではありません。

厚生労働省が平成30年に発表した「子ども・若者ケアプラン(自立支援計画)ガイドライン」(注2)によると、「18歳到達後の児童養護施設入所者の現在の課題」は、

・基本的生活の確立、社会生活スキルが十分でない・・・45.4%

・本人の自立に関する不安等が大きい・・・39.5%

と公表されています。自立と就労にかかわる支援が十分でない証拠です。

したがって、

・自立支援

・就労支援

の2つを柱にサービスを提供すれば、子どもの将来に不安を抱える子どもや保護者に訴求できます。

こどもプラスの直営教室の中には、中高生のみを対象とした教室があります。就労支援、自立支援を中心に、動画編集や料理など個性に応じたコンテンツも織り交ぜ、大きな成功を収めています。

中高生向けの放デイが少ない今だからこそ、差別化の大きなポイントになります。詳しくは『需要が高まる!中高生を対象とした放課後等デイサービス』をご覧ください。

注2(参照:子ども・若者ケアプラン(自立支援計画)ガイドライン|厚生労働省

3-4.特色の欠如も打ち消す発信力・アピール力を高める

これといった特色がなくても、事業所の存在を十分にアピールする発信力があれば、それが差別化に繋がります。

中身は「普通」でも、「宣伝がうまいお店」には人が集まります。それは、宣伝の効果で消費者の中に「良いイメージ」が生まれ、「行ってみたい!」という気にさせるからです。

放デイで有効な手法は、

・チラシやパンフレットを使った開所前の営業活動

・ホームページやSNSを使った情報の積極的発信

などがあります。

こどもプラスでは、開所の2ヶ月前から、チラシやパンフレットを利用した営業活動を開始します。同時にホームページをオープンし、教室の情報をオーナー様や職員様に発信してもらいます。

詳しくは意外と大変!放課後等デイサービスの開所準備・集客の取り組みを徹底解説』の3章でご紹介していますので、ご覧ください。

営業に自信がある方、広報が得意な方は、その能力で他社を引き離すことができます。

ただし放デイの場合、「中身は普通」では生き残れません。質の高さは必須です。

3-5.体験会など教室に足を運ぶ機会をつくる

開所前に体験会を実施し、教室を知ってもらうのも効果的です。子ども達に直接療育を体験してもらえるため、チラシやパンフレット以上に訴求力があります。

こどもプラスでも、開所前に体験会を実施しています。体験会にはフランチャイズ事業本部からスーパーヴァイザー(各教室を回り運営指導する巡回専門員)が出向き、オーナー様や職員様と一緒に会場を盛り上げます。

しかし療育に不慣れな開所前では、体験会に自信がない方も多いでしょう。その場合は「子ども達に楽しんでもらう」ことを第一に、あなたが最も自信ある内容で実施しましょう。

「楽しかった!」「また来たい!」と思ってもらえれば成功です。「良い放デイができた」と評判が広がり、他社からの移行や新規利用者の獲得に繋がります。

さいごに

さいごに

放課後等デイサービスは参入事業者が増えたことで、差別化なしには生き残れません。

差別化のポイントは、

・競合他社の分析

・自社の強みの発見

から始まります。評判がよく成功している放デイを研究し、自社の強みにできる部分を見つけ出しましょう。

差別化の具体的な手法として有効なのは、以下の5点です。

①療育に特色を持つ

②コンテンツの拡充

③中高生向けの療育を実施

④発信力・アピール力を高める

⑤体験会の実施

自社にあった手法を見つけ実践することで、ライバル事業所に差をつけられます。

本稿をお読みになり、差別化の実践に困難を感じる方は、フランチャイズ事業への加盟もご検討ください。

こどもプラスは、①〜⑤すべてを実践しています。脳科学に裏付けられた運動療育を軸に、幅広い年齢に対応する豊富なコンテンツをご用意し、開業する皆さまをお待ちしています。

もちろん、

・営業での外部アピール

・学校機関・行政との関係構築

・スーパーヴァイザーと進める体験会の実施

などもお任せください。

これから放課後等デイサービスを開業する方、教室運営の差別化で悩んでいる方は、ぜひ一度「問い合わせページ」よりご相談ください。個別に対応させていただきます。

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