放課後等デイサービス開業の流れと資金を丸ごと解説
放課後等デイサービスは、障がいを持つ子どもが対象の児童福祉事業です。
「児童福祉事業」と聞くと、なんとなく「参入は難しそう」と感じるかもしれません。
たしかに放課後等デイサービスの開業は、簡単には進まない部分もあります。
しかし手順や要件、費用をしっかりと理解すれば、過度に慎重になる必要もありません。
本稿では放課後等デイサービスを開業する条件や流れやスケジュール、立ち上げにかかる開業資金を説明します。
また全国190箇所にフランチャイズ展開をしている「こどもプラス」の実績と経験に基づき、放課後等デイサービスの「効率的」で「失敗のない」開業のコツもお伝えします。
これを読めば悩みや不安が消え、参入をより現実的に捉えられるでしょう。
1.放課後等デイサービスとは
本章では放課後等デイサービス(以下、放デイ)の概要と、売上のモデルケースをご紹介します。
1-1.放課後等デイサービス事業の概要
放デイは障がいを持つ子ども達に、心身の成長を促す支援を提供する施設です。学校の放課後の時間や、長期休暇などに子ども達を預かり、「療育」と呼ばれる支援を行います。
「療育」とは自立支援を目的とした、教育や医療的サービスです。創作活動や運動などをとおし、子ども達の体と心を育みます。障がいを持つ子ども達が社会生活・集団生活に溶け込めるよう、各事業所が工夫を凝らした療育プログラムを提供しています。
また託児の役割も果たすため、子ども達だけでなく、保護者の負担軽減にも寄与しています。
1-1-1.利用対象者
放デイの利用対象者は、就学年齢にあたる小学1年生〜高校3年生の障がいを持つ子ども達です。市町村から「通所受給者証」を発行してもらうことで、放デイの支援を受けられます。
1-1-2.事業の形態
放デイは第二種社会福祉事業です。第二種は一般的に「在宅生活を支えるサービス」が該当しますが、放デイの場合は子ども達に通所してもらう形式です。
第二種社会福祉事業は運営母体に制限がないため、株式会社や合同会社による法人の設立も少なくありません。このことからもわかるとおり、放デイは補助金や会費で運営されている非営利組織ではありません。利用者を獲得し利益をあげる必要があります。
1-1-3.放課後等デイサービスの収益モデル
<収益の大半は給付費>
放デイの収益の大半は国保連(国民健康保険団体連合会)からの給付費です。そのため、景気に左右されにくく、経営を安定させやすい事業です。
<放デイは許認可事業>
放デイは自治体からの許認可を得て運営する「許認可事業」です。開業時には自治体に必要書類を提出し、指定申請を行います。申請がとおり許認可が下りない限り、開業できません。
許認可で問われるのは児童福祉法の順守です。放デイは児童福祉法をもとに創設されています。法律を守らない事業所には営業許可を与えられないのです。
1-2.放課後等デイサービスの売上のモデルケース
放デイは受け入れられる子どもの人数が決まっています。そのため、売上にも上限があります。大きな利益を上げられる事業ではないものの、利用者と長くつきあえ、売上を安定させられることが魅力です。
以下が売上のモデルケースです。
<定員10名の教室>
平日単位数:604単位(基本報酬)+123単位(児童指導員等加配加算)+108単位(送迎加算往復分)=835単位
835単位×10円(単位単価)×10人=83,500円/日
学校休業日:721単位(基本報酬)+123単位(児童指導員等加配加算)+108単位(送迎加算往復分)=952単位
952単位×10円(単位単価)×10人=95,200円/日
一ヶ月に平日22日、学校休業日4日で計算すると、
83,500円×22日+95,200円×4日=2,217,800円
詳しくは『赤字経営にならないために!給付費から読み解く放課後等デイサービスの運営方法』をご覧ください。
1-2-1.加算を取得する重要性
収益を増やすポイントは2つあります。
- 定員いっぱいまで利用者を確保すること
- 加算を効果的に取得すること
定員は運営規定に従うため、それ以上の利用者は入れられません。したがって、一人の単価をいかに上げるかが重要です。それには、加算を効果的に取得しなければなりません。
前項の例では、「児童指導員等加配加算」「送迎加算」を入れて計算しています。
放デイにはさまざまな加算があり、それらをうまく組み合わせることで収益を最大化できます。
詳しくは『放課後等デイサービスの人員配置基準と加算一覧|適切な取得方法も紹介』をご覧ください。
2.開業のメリットから見る放課後等デイサービスの魅力
放デイを開業・運営すると、さまざまなメリットを感じられます。メリットを掘り下げると、この事業の魅力がわかります。
2-1.開業のハードルが低く未経験でも挑戦しやすい
放デイは社会福祉事業であることから、参入に特別な資格が必要だと思われがちです。しかし運営者(オーナー)に資格は不要です。児童福祉に携わる志さえあれば誰でも参入できるため、挑戦しやすい事業だと言えるでしょう。
2-2.市場は成長を続けている
放デイは「成長産業」です。平成24年の創設以来、利用者数は年々伸び続けており、今後も増加は続くと予想されます。
文部科学省が公表する「令和元年度 通級による指導実施状況調査結果について」(注1)を参照すると、通常の学級に在籍しながら特別な指導を受ける「通級」の児童数は毎年増加し続けています。新規利用者が増える余地はまだまだあります。
2-3.社会的意義が大きい事業
放デイでは小学生から高校卒業まで子ども達と関われます。一人の子どもの成長を10年以上にわたって見られる仕事は、多くありません。一人の子どもと長く付き合い、成長を支えられる、社会的意義が大きい事業です。
関連記事:なぜ放デイは世の中に必要とされるのか?社会貢献ビジネスとしての魅力
3.放課後等デイサービスを開業する流れ・スケジュール
放課後等デイサービスの開業は、次の流れとスケジュールで進めると効果的です。
<事前準備>
最低でも開業予定日の半年前から動き出します。
- 自治体窓口へ行き開業したい旨を知らせ、相談に乗ってもらいます。
- 自治体で受給者証の発行状況や特別支援学校の利用状況を教えてもらい、地域ニーズを探ります。出店地域決定の助けになります。
- 可能な範囲で競合他社の運営状況を把握し、参入の可否を判断します。
<開業準備>
1.法人登記または登記変更
放デイには法人格が必要です。法務局で法人登記を行います。
2.資金調達
開業準備はお金がなければ進められません。自己資金で足りないぶんは融資を受けます。詳細は第5章「放課後等デイサービス開設に必要な資金」をご覧ください。
3.物件の選定
事前のリサーチで出店地域を決めておきます。そのうえで放デイの運営基準に適合する物件を選定します。詳細は『放課後等デイサービスで許認可の取得は難しい?物件の選び方や申請方法』をご覧ください。
4.リフォーム、工事の手配(必要な場合)
放デイは子ども達の安全を守るため、厳しい設備基準が設けられています。必要な場合は工事を手配します。
5.集客活動
物件が決まったら、名刺や資料を作り営業活動を開始します。詳細は『意外と大変!放課後等デイサービスの開所準備・集客の取り組みを徹底解説』をご覧ください。
6.従業員採用活動
教室運営に必要な人員を募集します。資格保有者は簡単には集まりません。募集はできるだけ早めにかけましょう。効果的な採用方法は『実は人材不足が倒産要因!安定的に人材を確保する裏技紹介』をご覧ください。
7.自治体への申請書類の作成
許認可を得るための書類を作成します。書類に不備がないことを確認し、担当窓口へ提出します。詳細は『意外と大変!放課後等デイサービスの開所準備・集客の取り組みを徹底解説』をご覧ください。
8.教室設営
備品や療育に必要な道具を揃え、設置します。教室づくりでは、安全を第一に考えます。
9.保険加入の確認
火災保険は物件の契約時に、送迎車の車両保険は車両購入(リース)時に加入します。内容に不備がないか確認しておきましょう。また開所日づけで、福祉事業者用の損害賠償保険に加入します。
10.運営管理書類の作成
日々の業務で使用する書類を作成し、すぐに使えるよう準備します。以下は運営に必要な書類の代表例です。
- 契約書類
- 療育記録
- 防災マニュアル
11.開所
4.放課後等デイサービスの開業に必要な4つの条件
放デイは許認可事業のため、以下4つの要件を満たさない限り開業できません。
- 法人格の取得
- 設備基準
- 運営基準
- 人員配置基準
本章で一つひとつ説明します。
4-1.法人格の取得
放デイを運営できるのは法人だけです。株式会社や合同会社、社会福祉法人などを設立し、法務局に登記します。
すでに運営している法人が放デイに参入する場合は、定款の「事業の目的」に「児童発達支援事業」を加え、法務局で変更登記を行います。
4-2.設備基準
放デイは障がいのある子どもたちを預かります。小さな子どもが多いことから、安全には最大限の配慮が必要です。児童福祉法に基づき、物件や設備にも細かな基準が設けられています。
<放デイを設置する物件の基準>
- 指導訓練室の広さ(子ども一人あたりの広さを自治体により規定)
- 相談室、事務室の設置
- トイレ・水場の設置
- 手すりや二方向の出口などの安全対策
- 消防法や建築基準法の順守
詳細は『放課後等デイサービスで成功しやすいエリアとテナントの選び方』をご覧ください。
<必要な設備や器材>
- 療育に必要な機械器具等
(例:運動療育を提供するなら、マット、鉄棒、跳び箱、縄跳び、など) - 手指の洗浄、感染症予防のための設備と備品
これらの基準を満たせば許認可が下り、教室を運営できます。
4-3.運営基準
運営方法にも細かな基準があります。
<開所前に必要なこと>
- 利用定員を10人以上に定める。ただし、主に重症心身障がい児を受け入れる放デイは5人以上で可
- 苦情を受け付ける窓口の設置
- 自立支援
- 医療機関との協力体制の構築
<開所後の運営で求められること>
- 利用者一人ひとりの療育計画を策定した「個別支援計画」を作成すること
- 利用者および保護者に運営規程や手続き方法、個別支援計画の説明を行い、同意を得ること
- 利用者に療育を提供すること
開所前の項目は許認可に、開所後の項目は「実地指導」に関わる部分です。「実地指導」とは定期的に行われる行政の立入検査です。そのさいにこれらの条件を満たしていないと、報酬が減額(単位数の減算)されます。
※本節の内容は、児童福祉法をもとに弊社の編集部でまとめています。児童福祉法はこちらでご覧ください。
参照:児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準|厚生労働省
4-4.人員配置基準
児童福祉法で定められた人員基準は次のとおりです。
<必ず必要な職員>
- 管理者(あなた)
- 児童発達支援管理責任者
専任かつ常勤で1人以上配置します。 - 児童指導員または保育士
定員10人の教室では2人以上です。そのうち少なくとも1人は常勤の条件があります。
定員11〜15人の施設では3人以上、15〜20名では4人以上と、5人区切りで必要人数が1人増えます。
<提供内容によって必要な職員>
- 機能訓練担当職員
日常生活を行うのに必要な機能訓練を提供する場合。 - 看護職員
医療ケアを行う場合。
詳細は「放課後等デイサービス立ち上げ前に知りたい必要な資格と人員配置基準」をご覧ください。
5.放課後等デイサービスの開業資金
放課後等デイサービスを開業・運営するには資金が欠かせません。融資の判断をするためにも、事業にかかる資金を知ることが大切です。ここでは放デイの立ち上げにかかる開業資金を説明します。
5-1.初期費用
放課後等デイサービスの立ち上げにかかる資金は「物件の取得と内装工事」「備品購入」「送迎用車両の購入・リース」「求人費用」「集客費用」などがかかります。
5-1-1.物件の取得と内装工事
放デイは児童一人当たりの床面積が決められています。たとえば東京都の場合、一人4㎡以上です。定員10名で開業する場合、指導訓練室だけで40㎡は必要です。これに相談室、事務室を10㎡ずつとると、床面積が60㎡以上ある物件を探さなければなりません。
弊社の直営店が多数出店する茨城県つくば市を例に、複数の物件紹介サイトを参照すると、
<茨城県つくば市 塾・スクール用貸し物件>
- 家賃相場:15万円〜25万円程度
- 敷金・礼金:あわせて家賃の4ヶ月〜8ヶ月程度
- 仲介手数料:家賃の0.5ヶ月分
家賃を20万円、敷金・礼金を6ヶ月分とすると、
20万円(家賃)+120万円(敷金・礼金)+10万円(仲介手数料)=150万円
内装工事が必要な場合、ここにさらに費用が追加されます。学習塾やスクールでは一般的に300万円〜800万円程度の工事費用がかかります。300万円で見積もっても、物件だけで合計450万円です。
さらに駐車場代がかかります。
地方都市ではほとんどの物件に駐車場一台ぶんが含まれていますが、それだけでは足りません。送迎者が3台、従業員用が2台、さらに保護者の送迎用にもう2台程度用意すると良いでしょう。
<駐車場代(つくば市の例)>
- 賃料相場:3,000円~8,000円
- 敷金:賃料の1ヶ月分~
- 仲介手数料:駐車場代金の1ヶ月分
賃料3,000円の駐車場を6台借りると、
1台につき、3,000円(賃料)+3,000円(敷金)+3,000円(仲介手数料)=9,000円
6台で54,000円です。
5-1-2.備品の購入
放デイの運営に必要な備品は次のとおりです。
- 机
- 椅子
- パソコン
- 電話
- 冷蔵庫
- 電子レンジ
- 掃除機
- 洗濯機
- 書庫
- 衛生管理用の備品
- テレビ
- 絵本やおもちゃ
- 教材
- 調理器具
- 療育に必要な機械器具 など
これらを合計すると、80万円程度かかります。想定より値段が高くなるようなら、リサイクル品を利用するのもよいでしょう。
5-1-3.送迎用車両の購入やリース
公共交通機関を利用しづらい地域や、普段から車メインで生活している地方都市では、送迎用車両が必須です。2〜3台は確保しましょう。
中古車を購入する場合は、一台につき50万円〜100万円を見積もります。カーリースの場合は1台につき月12.000円程度です。
50万円の中古車を3台購入した場合、150万円が必要です。
5-1-4.求人費用
有料の求人広告媒体を利用する場合、50万円程度の費用がかかります。ただし、最近は無料でも十分に効果がある媒体も増えています。以下の記事で紹介していますのでご参照ください。
関連記事:『実は人材不足が倒産要因!安定的に人材を確保する裏技紹介』
早めに採用活動を開始し、まずは無料媒体を試すと良いでしょう。それでうまくいかないようなら、有料媒体に移行します。
5-1-5.集客費用
集客に最低限必要なものはつぎのとおりです。
- ホームページ
開所の2ヶ月前にはオープンさせましょう。どのようなページを作るかにもよりますが、費用は最低でも20万円程度はします。 - チラシ
開業を知らせるチラシをつくります。デザイン費用はA4両面で4万円〜、印刷費用は5,000枚で25,000円〜です。さらに新聞折込をする場合、5,000枚で15,000円程度です。
- 名刺
営業には名刺も必須です。デザイン費用はシンプルなもので5,000円程度、印刷費用はモノクロ100枚で1,000円程度です。
これらをあわせると、集客費用は286,000円です。
5-1-6.保険加入費用
放デイでは各種保険にも加入が必要です。保険の種類は次の3つです。
- 火災保険
事業用の保険の場合、2万円程度を見積もります。 - 車両保険
一台につき10万円とすると、3台で30万円です。 - 福祉事業者用の損害賠償保険
年間4万円程度かかります。
保険費用は合計36万円です。
5-1-6.初期費用合計
これらの費用を合計すると、800万円です。この金額を目安に準備すると良いでしょう。
5-2.放課後等デイサービスの運転資金
放デイの運営で注意しなければならないのが、給付費が支払われるタイミングです。給付費の支払いは請求の2ヶ月後です。つまり、開所から2ヶ月間は運転資金で持ちこたえなければなりません。
さらに、開所後はしばらく軌道に乗れない可能性もあります。半年無収入でも耐えられる資金を用意しておけば安心です。
- 従業員の給与
児童発達支援管理責任者25万円、保育士22万円×2人、管理者(あなた)25万円
合計94万円/月 - 社会保険料事業所負担分
月収25万円の場合→38,740円、月収22万円の場合→32,780円
それぞれ2人ずつの場合、合計143,040円/月 - 家賃
20万円/月 - 水道光熱費
5万円/月 - 消耗品代
1万円/月 - 駐車場代
3台で9,000円/月 - ガソリン代
3台で36,000円/月
これらを合計すると、1ヶ月で138万8千円、半年だと832万8千円かかります。
つまり、放デイの設立には1,600万円程度を想定しておくと良いでしょう。
5-3.融資を受ける方法
1,500万円以上の金額を自己資金で賄えることは稀です。多くの人が融資に頼らざるを得ないでしょう。
放デイの場合、給付費を主な収益とすることから支払いが滞ることはなく、事業が安定しやすい特徴があります。そのため、民間企業と比べ融資は受けやすい傾向があります。
開業前に申請が通りやすいのは以下2つの融資制度です。
5-3-1.日本政策金融公庫「新創業融資制度」
日本政策金融公庫では、これから新たに事業を始める人や、事業開始後2期を終えていない人を対象に「新創業融資制度」を設けています。
創業資金総額の1/10以上を自己資金で賄えることが条件です。無担保・無保証人で、利用しやすい制度です。
なお、静岡県であった事例として、自己資金300万円程度なければ融資が下りにくいケースがありました。一つの目安として認識しておくと良いでしょう。
5-3-2.都道府県単位で設定される「中小企業制度融資」
各都道府県に設けられている、中小企業のための融資制度です。サービス業では、資本金5,000万円以下、従業員数100人以下が条件です。
都道府県・金融機関・信用保証協会の三者が協調して仕組みを構築しています。神奈川県の例をもとに説明します。
<神奈川県の中小企業制度融資の流れ>
①融資を必要とする中小企業者が金融機関に申し込みに行きます。
②金融機関は信用保証協会に申込者の保証を依頼します。協会は申込者の信用情報を調べ、問題がなければ信用保証書を発行します。
③融資が行われます。都道府県が金融機関の貸付原資の一部を負担します。
いずれの融資を受ける場合も、事業計画書を綿密に作成することが大切です。資金計画をしっかりと立て、安定的かつ長期継続可能な事業であることをアピールしましょう。
6.放課後等デイサービスの開業で失敗を避けるための注意点
本章では放デイに参入する上での注意点をお伝えします。これらを知らずに参入すると、「こんなはずではなかった」と後悔します。できる対策を考え事業計画を練ることで、失敗のない経営が可能です。
6-1.競争が激しい業種であることを認識する
放デイの安定性や市場の成長は、多くの経営者を惹きつけています。利用者はまだまだ増える見込みがあるものの、それ以上に大きいのが参入者の伸びです。競争の激化は避けられないでしょう。
利用者を獲得し信頼を得てしまえば安定した事業を営めます。しかしその利用者の獲得が困難です。競合他社と差別化し、療育効果を高めなければ生き残れません。
有効な対策は以下の二つです。
- 効果が感じられる特色ある療育を提供する
- 多様な療育プログラムで個性に対応する
具体的な手法は、『放課後等デイサービスで他社と差別化するには?開業に役立つ具体的方法5選』で説明しています。他社との差別化を細かく理解できます。
6-2.許認可事業であると認識する
放デイは自治体から許認可を得て運営しています。第4章の条件を守らなければ、開業できません。開業後も児童福祉法に則った運営を続けないと、報酬の減額や許認可の取り消しを受けることがあります。
6-2-1.法改正への対応
放デイの運営規則は児童福祉法に則っています。したがって法律が変われば運営規則も変わります。
厚生労働省では3年ごとに報酬改定を行っています。報酬改定とは児童福祉法の改正により、報酬を得られる条件も変わることです。これまでも療育効果がより高まるよう、改定が続けられてきました。
次回の改定は2024年です。同省の「第1回障害児通所支援に関する検討会」資料「主な検討事項(案)」(注2)を参照すると、放デイを2つの類型にわける方向性が示されています。
- 幅広い領域をカバーした上で、とくに重点を置く支援内容を決める「総合支援型」
- 特定プログラムの支援に特化する「特定プログラム特化型(いずれも仮称)」
個性に対応し小学生から高校生まで広く受け入れる体制を整えるか、特定の支援のスペシャリストになるかを問われているのです。
学習支援や絵画・音楽だけの放デイは、公費負担の対象から外すことも検討されているようです。今後はより療育効果を意識し、プログラムや運営方針を策定する必要があります。
失敗を防ぐための手立てとして『つぶれる放課後等デイサービスの3つの特徴|なぜ開業に失敗するかを解説』の記事も参考にしてみてください。
さいごに
ここまで放デイの概要と開業の流れ、必要な資金、注意点を説明しました。
放デイはほかの事業と比べ、制約が多く、開業の準備が大変です。想像以上にハードルが高く感じられた人もいるかもしれません。
しかし、この事業は大変なぶん、仕事の楽しさややりがいがあります。小学生から高校生まで一貫して成長を見られる事業は多くありません。福祉事業に興味がる人はもちろん、子どもが好きな人や教育に携わりたい人にもおすすめです。
大変な部分はフランチャイズ事業に加盟し、放課後等デイサービスを立ち上げの負担を本部からの開業支援に任せる手もあります。
こどもプラスは、本稿で説明した開業手続きのすべてを支援します。詳しくは『こどもプラスってどんな会社?フランチャイズ加盟に関する各種ご案内』をご覧ください。
加盟金やロイヤリティはかかるものの、それに見あった支援で、早期の開業と円滑な事業開始を約束します。興味のある人は「問い合わせページ」よりお問いあわせください。無料で資料請求・説明会の申し込みもして頂けます。
*参考文献
注1(参照:令和元年度 通級による指導実施状況調査結果について|文部科学省)
注2(参照:主な検討事項(案)|厚生労働省)