放課後等デイサービスの仕事はきつい?職員の悩みに寄り添う方法
放課後等デイサービスは、障がいを持つ子どもに身体的・医療的支援を提供する社会的意義のある事業です。
10年以上の長期にわたる支援が可能で、一人ひとりの子どもの成長を見届ける喜びもあります。やりがいと誇りを持ち多くの人が働き、子ども達への支援を行っています。
しかし「放課後等デイサービスの仕事はきつい」と言われることがあります。実際に体力的な負担や人間関係のいざこざで、大変と感じることもあるでしょう。悩みや不満を抱え、離職する人が多いのも事実です。
その一方で、障がいを持つ子どもをサポートし、一人ひとりの成長を見届ける喜びもあります。誇りをもって取り組める仕事で、きついことばかりではありません。
では、辞めたくなるほどの大変さは、どういったところにあるのでしょうか。
今回は放課後等デイサービスの仕事の「つらい」面をくわしく紹介します。苦労しそうなことがわかれば事前に心の準備や対策もできるでしょう。
また、オーナー向けに職員が抱える悩みに寄り添うポイントもお伝えします。これまで職員の離職に頭を抱えてきた事業所にとっては、解決への取り組みの良いきっかけになるでしょう。またこれから参入する人にとっては、活気ある教室をつくる参考にしていただけます。
アドバイスのもとになるのは、私たちこどもプラスの長年の経験です。弊社は190を超えるフランチャイズ教室を展開し、各教室の悩みに応じた支援を行っています。職員が感じる「仕事のきつさ」や離職のパターンも研究し、有効な対策をオーナー様にお伝えしてきました。
ここで紹介する「職員への寄り添い方」を読んでいただくことで、職場の問題を解決する糸口が見つかるでしょう。
1.放課後等デイサービスの仕事内容
放課後等デイサービス(以下、放デイ)職員は、どういった仕事をしているのでしょうか。具体的な内容を紹介しながら、一緒に働く児童発達支援管理責任者やオーナーの役割もみていきましょう。
日々の業務を知ることで、放デイならではの仕事の苦労や悩み、不満も想像しやすくなります。
1-1.職員が日々教室で行う業務
放デイ職員の仕事の中心は、子ども達への「療育」です。療育とは障がいを持つ子ども達の心と体の成長を促す教育的・医療的支援です。
1-1-1.療育だけが仕事ではない
子ども達の運動能力や認知能力、コミュニケーション能力などを引き出すことで、日常生活を不自由なく送れるよう支援します。事業所ごとに創作や運動など、特色ある支援を提供しています。
しかし日々の業務が療育だけで済む職員はほとんどいません。多くの教室は、必要最低限の人数で運営しているからです。
関連記事:発達障がい児に関わる仕事│必要な資格や勤務先・施設の事業を紹介
1-1-2.一般職員の業務例
放デイの人員配置は児童福祉法で定められています。定員10人の教室なら、
- 児童発達支援管理責任者(専従常勤で1人以上)
- 保育士または児童指導員(2人以上。うち1人は常勤)
が基準です。人件費に余裕があるなら加配人員も配置できるものの、日々基準人員近くまで利用者数を確保しないと、人件費が高くつきます。(※1)
関連記事:放課後等デイサービスの「指導員」とは?業務内容や資格要件を紹介
したがって、職員は通常以下の業務にも携わります。
<一般職員の業務例>
- 療育記録の記入
- 保護者向けのお便りの作成
- 療育の事前準備
- ホームページ更新など営業活動補助
子ども達の相手で体力的にも精神的にも疲れる上、教室運営の一端も担わなければなりません。業務負担が大きく大変な仕事です。
※1)詳しくは『放課後等デイサービスの人員配置基準と加算一覧|適切な取得方法も紹介』をご覧ください。
1-2.教室業務は児発管を中心とした「チームワーク」
日々の療育は児童発達支援管理責任者(以下、児発管)を中心に行われます。
児発管は療育の現場を取り仕切るリーダー的存在で、一人ひとりの利用者の「個別支援計画」を作成します。この計画にもとづき、職員一体で子ども達の個性に応じた支援を行います。
- アセスメント・モニタリングの実施
- スタッフへの助言・指導
- 保護者への相談支援
なども児発管の仕事です。
1-2-1.こどもプラスが考える児発管の役割
適切な支援をするためには、児発管からの情報をスタッフで共有し、協力しながら療育を実践する体制が必要です。
私たちこどもプラスでは、その体制を「チーム」として捉えています。司令塔の児発管を中心に、それぞれが与えられた役割を果たします。足りない部分は補いあうことで、「個性に応じた効果的な療育」を完遂するのです。
オーナーはチームが正常に機能するよう見守りながら、職員間の人間関係にも気を配ります。人間関係が良好に保てなければ、チームは機能しなくなるからです。教室全体を俯瞰する役目を果たします。
1-3.オーナーの立場
オーナーは「管理者」として教室の管理業務全般を行います。業務内容は大きく3つにわけられます。
①業務管理
利用者の管理や経理作業、書類の管理・提出
②労務・人事管理
従業員の雇用と育成、人材管理
③営業活動
関係機関との関係構築や、新規利用者の開拓など
職員の悩みや不満へのアプローチは、②の「労務・人事管理」の一環です。教室全体に目を配り、
- 特定の職員に業務が集中していないか
- 職員間で人間関係の悪化が起きていないか
- 各職員の適性に応じた業務を指示できているか
などに注意を払います。
放デイは少人数で回していることもあり、児発管を含め職員は多忙です。業務全体を見渡せるのは管理者だけです。問題がある職員がいたら、早期解決に努めなければなりません。
2.放課後等デイサービス職員が「仕事がきつい」と感じるところ
職員が仕事のきつさを感じる点はおおむね6項目に大別されます。本章ではその内容を詳しく説明します。
2-1.体力的負担の大きさ
放デイの利用者は小学生〜高校生です。未就学児が対象の「児童発達支援」も兼ねる場合、さらに幼い子どもも通所します。
小さな子どもは動きが活発で、それについていくだけで一苦労です。じっとしていられない子や、体を抱えての介助が必要な子もいます。さらに子ども達が怪我をしないよう、常に目を光らせ、なにかあればいち早く駆け付けなければなりません
体力がなければ到底務まらない仕事です。とくに業務に体が慣れるまでは苦労します。
2-2.障がいに応じた多様な個性への対応
障がいに対応するだけなら、マニュアルどおりの対応で済むかもしれません。しかし子どもの場合、そこに「体の発達の違い」「精神的成熟の違い」「個性」が加わります。ベテラン職員でも個別の対応方法をすぐに見出すことは困難でしょう。
「こんなはずじゃないのに・・・」
「どうしてうまくいかないのだろう」
と悩む場面も多々あるかもしれません。子育てや保育士経験などで自信がある場合、それが打ち砕かれることもあるでしょう。
個性に対応しきれなければ、満足のいく療育はできません。責任感がある職員ほど、悩みを抱え込むことになります。
2-3.子ども達が引き起こすトラブルが多い
療育では子どもどうしのかかわりも大切にします。子どもたちに社会性を持たせ、社会に参画させることも役割の一つだからです。
しかし子どもどうしがかかわることで、いざこざや喧嘩も発生します。万一喧嘩が起こったら、すぐに止めに入り怪我をさせないよう注意しなければなりません。
さらに怖い事例は「預かり時間中の脱走」です。衝動的な感情で教室を飛び出してしまう子がいます。一瞬目を離しただけで大事に発展し、責任を問われることにもなりかねません。
こうしたトラブルの多さに耐えかね、ストレスを抱える職員が多くいます。
2-4.職員同士の人間関係と協力体制の構築
療育は児発管が作成した個別支援計画に基づき行われます。児発管を中心に、教室が一つのチームとして機能しないと、業務は円滑に進みません。
しかしチームワークを要されるからこそ、職員同士のトラブルも起こりがちです。
- 療育方針を巡る対立
- 仕事量の不公平感
- 子どもの情報がうまく共有できない苛立ち
- 福祉人としての使命感の差による足並みの乱れ
などが代表的な事例です。
人間関係を良好に保ち、協力体制を維持するのは意外と大変です。表面上は良好に見えても、誰かが我慢を強いられているかもしれません。
2-5.保護者対応の難しさと子どもを預かる責任
どんなに良い療育を提供していても、保護者からの信頼を得るのは簡単ではありません。
保護者は子どもを放デイに通わせることで「目に見える明確な変化」が起きることを期待します。
たとえば「手先が器用になりものを上手に持てるようになった」「自主的に食事の準備や片づけを手伝うようになった」などです。
療育は即効性のあるものばかりでありません。少しずつ子どもの体や心にアプローチするものも多くあります。それがうまく保護者に伝わらない場合、職員と保護者の意識に乖離が生じます。
保護者と話し「一生懸命毎日支援をしているのに、要望ばかりを伝えられる」と悩む職員も多くいます。真面目な職員ほど、「大切な子どもを預かっているのに、保護者を満足させられない」と思い悩むのです。
保護者の信頼については、<a>『保護者の信頼を得られる放課後等デイサービス』で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
2-6.人手不足で特定の職種に仕事が集中する
教室がチームとしてうまく機能しないと、特定の人に業務が集中します。たとえば「パソコンが得意な職員が、事務関係を一手に引き受けている」「児発管がなにからなにまで準備し、ほかの職員は療育しか行わない」などです。
放デイは少人数で運営するため、オーナーが各人の業務負担を考え、適切に仕事を振らなければ業務が回りません。
なお、本章の内容は『【経営者・職員】放課後等デイサービスに向いている人の特徴を説明』でも詳しく取り上げています。経営者サイドからの苦労にも言及しているので、あわせてご覧ください。
3.放課後等デイサービスの仕事の「やりがい」
放デイの仕事は大変なだけではありません。それを打ち消す「やりがい」があるからこそ、仕事を続けられます。きつさよりも、やりがいのほうを強く感じる人は、放デイの仕事に適しているでしょう。
また、オーナーは職員が仕事の「やりがい」に気づけるよう、普段から事業の魅力を伝え、目標を共有しなければなりません。
ここでは放デイの魅力を厳選して説明します。
3-1.子どもと長くかかわり成長に寄与できる
放デイの受け入れ対象は小学1年生〜高校3年生です。最長で12年間一人の子どもの成長を見届けることができます。(未就学児対象の児童発達支援を併設する教室は、さらに長期の療育が可能)
幼いころから世話を始め、子どもの成長を身近に感じながら、就労支援や自立支援を行い社会に送り出します。子どもの人生にここまで参画できる事業は、ほかにありません。
3-2.保護者も含め障がいを持つ子どもの家庭も支援できる
放デイは「保護者支援」も大きな役割の一つです。子どもをただ預かるだけでなく、家庭での療育方法を提案することで、保護者の育児負担を軽減します。悩みがあれば相談に応じ、ときには家庭訪問も行います。
こうした体制があることは、福祉事業者ならではの強みです。一度信頼を得られれば長い付きあいが生まれ、子どもだけでなく保護者からも感謝されます。
3-3.地域の「障がい児支援拠点」として大きな社会的意義がある
放デイは「地域の障がい児支援拠点」の役割も果たします。保育所や学校機関と連携し、障がいを持つ子ども達が放デイの外でも適切な支援を受けられるよう、情報を共有します。
地域全体で障がいを持つ子ども達を支える体制を構築し、その主軸として貢献できることは、福祉事業者として大きな喜びです。社会的意義のある仕事に従事していると気づかされます。
4.放課後等デイサービスで職員が悩み離職するパターン
放デイの仕事には多くのやりがいがあります。しかし悩みや不満が強くなると、仕事のきつさばかりが強調され、やりがいを感じる前に離職する職員も少なくありません。
本章では職員の悩みや不満が離職に繋がる代表的な要因を説明します。
なお職員の離職が引き起こす「人材不足」とその対処法を、『実は人材不足が倒産要因!安定的に人材を確保する裏技紹介』でも説明しています。あわせてご覧ください。
4-1.人間関係に不満を感じる
人間関係は最も離職を引き起こしやすい要因の一つです。理由は2つあります。
- 少人数で仕事をしていること
- チームワークで教室運営を行うこと
最低限の人数で仕事を回している教室が多いため、人間関係が壊れると仕事をしづらくなります。居場所も逃げ場もなく、顔を見るのも嫌な職員と毎日近い距離で仕事をしなければなりません。
その上、放デイの仕事はチームワークが大切です。児発管が作成した個別支援計画を共有し、協力して療育を提供しなければなりません。関係が悪化した相手とも協力しないわけにもいかず、それがさらなるストレスを生みます。
結果として、離職まで追い込まれるのです。
<解決のヒント>
人間関係に不満を抱えたまま仕事は続けられません。
少しでも不満があれば、早期にオーナーに報告し、自分の考えを伝えましょう。オーナーはそれを職員からの提言として受け取り、運営の改善に努めます。
大切なのは悩みや不満が大きくなる前に解決することです。オーナーが定期的な面談の機会を設け、職員の意見を聞くのも有効です。
4-2.仕事量の多さにうんざりする
放デイはその名前から「放課後のみ」「療育のみ」という印象を持つ人もいます。しかし少人数で教室を運営しなければならないため、職員への運営業務の負担は避けられません。仕事をうまく分担し、各々の仕事量を決めて取り組まなければ、膨大な作業に忙殺されるでしょう。
ただでさえ、日々の療育で体力も精神力も消耗します。そこにほかの仕事も重なることで、限界を感じやすくなるのです。
<解決のヒント>
業務の適切な分担ができていないことに、オーナーが気づいていないことがほとんどです。オーナーに現在の状態を伝え、業務の分担を提案しましょう。
オーナーは「職員の努力不足」で片づけず、職員の適性に考慮した仕事の割り振りを行います。
4-3.体力や精神力がもたない
子どもの相手は体力を使います。放デイには小さな子どもも多く、活発な動きについていかなければなりません。じっとしていられない子、介助が必要な子の面倒を見るのも大変です。
さらに個性豊かな子ども達は、さまざまな問題を引き起こします。子どもどうしの喧嘩、衝動的な行動、外での迷子などです。子ども達を預かる責任を全うするのは、容易ではありません。安全に預かりを終え、保護者に返すまでは少しも気を抜けません。
体力や精神力に限界を感じるのも無理はないのです。
<解決のヒント>
チームとして協力体制を取ることが大切です。お互いに足りない部分を補いあうことで、日々の業務を無理のないものに変えていきましょう。
体力的に限界なら、その部分はほかの職員の協力を仰ぎます。その代わり、ほかの職員が困っているときには、すぐに手を差し伸べましょう。
精神的負担も同様です。限界を感じたらほかの職員にも協力してもらい、チームワークで乗り切ります。
4-4.定まらない療育方針のせいでやりがいを感じられない
放デイはやりがいがある仕事です。しかしそれを感じられず離職する職員がいるのも事実です。そのような教室は療育方針が不確定な傾向があります。
オーナーが事業の明確なビジョンを示さなければ、児発管もどのような療育方針を打ち立て個別支援計画を策定すべきかわかりません。その結果、支援効果が不確かな療育を提供してしまいます。
どんなに職員が頑張って仕事をしても、そのような療育では効果は出せないでしょう。職員は療育内容に疑問を抱き、次第に虚しさを感じるようになります。やりがいを見出せず、最終的に離職に至るのです。
<解決のヒント>
オーナーがしっかりとした療育方針を打ち立てることです。
教室全体が一つの方針のもとで動ければ、職員も仕事がしやすいでしょう。
オーナーが動かない場合は、職員から積極的に提言を行います。オーナー、児発管、職員が互いに意見を出しあうことで、現場の意見を取り入れた方針を策定できます。
5.職員の悩みへの寄り添い方(放課後等デイサービスオーナー向け)
悩みや不満を抱えた職員に対し、「放デイはやりがいのある仕事だ。やりがいを見つけよう!」と鼓舞することは簡単です。しかし日々仕事を進める中でやりがいを感じられないからこそ、悩みや不満は生まれます。オーナーが職員の悩みに寄り添い、環境を変える努力をすることが大切です。
本章では、こどもプラスがフランチャイズ店のオーナー様にアドバイスをしている内容を説明します。オーナーが腰を上げ対策に乗り出すことで、教室は大きく変わります。
5-1.児発管と協力し確固たる療育方針をつくり上げ示す
教室運営で最も大切なことは、オーナーであるあなたが運営の明確な方針を持つことです。
「年商を〜円まで上げたい」「生徒数を〇〇人にしたい」「多店舗展開をしたい」など、経営的なビジョンは多くのオーナーが持っています。しかし、肝心の事業内容は児発管や職員に丸投げしていないでしょうか。
- 放デイでなにを成し遂げたいか
- どのような療育を子ども達に届けたいか
- 療育の目的はなにか
- どのような姿勢で子ども達に接するか
- 保護者や関係機関とどのような関係を構築するか
など、教室のトップが福祉人としての使命感や目標を持たなければ、組織を牽引できません。あなたが運営ビジョンを固めた上で、現場を取り仕切る児発管と意識のすりあわせを行います。児発管は確固たる療育方針のもとで個別支援計画を策定し、各職員に療育の明確な方向性を示せるでしょう。
職員は一つの目標のもとで動くことができ、自らの任務を成し遂げる中でやりがいが生まれます。
5-2.職員の個性や人間関係に留意しチームをつくり上げる
放デイの膨大な業務を分担し教室を正常に回すには、チーム作りが重要です。各職員の個性にあわせ、得意な仕事を任せると良いでしょう。
5-2-1.仕事の分担
たとえば、以下のような割り振りが考えられます。
- ITスキルが高い人にホームページ更新や保護者への連絡プリント作成を任せる
- コミュニケーション能力が高い人に営業の補佐をお願いする
- 几帳面な性格の人と許認可書類や管理書類のダブルチェックを行う
5-2-2.人間関係への留意
人間関係への留意も大切です。性格が真逆で勝ち気な人どうしで一緒に仕事をさせたら、不満が出るのは当然です。オーナーは一人ひとりの職員を面接し雇用しています。性格も把握しているはずです。教室が一つのチームとして良好に機能するよう、職員どうしのマッチングも考慮すべきでしょう。
各職員の仕事を公平に割り振り、適性や人間関係に配慮した指示を行えば、職員は自分の仕事に責任をもって取り組みます。
5-3.職員一人ひとりと面談の機会を持ち本音を聞き出す
どんなにあなたが教室全体を見渡しているつもりでも、職員が心の内に溜め込んだ不満や悩みにまでは気づけません。したがって、できる限り時間を見つけ、職員一人ひとりと個別に面談をすると良いでしょう。
そのさい大切なのは、必ず「あなたから」職員にアプローチすることです。あなたがどんなにフレンドリーでも、立場が上の人には簡単には話しかけられません。あなたから積極的に話を聞き出そうとしないと、職員は心を開いて話せないでしょう。
月に一度定期的な面談の時間を設けるなど、工夫すると良いでしょう。
5-4.子どもの小さな成長を共有しやりがいを引き出す
療育はすぐに効果が実感できるものばかりではありません。とくに子どもの個性は多様で、いつまでも「なにも変わっていない」ように見える子もいるかもしれません。
だからこそ、療育効果が少しでも見られたら、それを共有し喜びを分かちあいましょう。
放デイの仕事は体力や精神力をめいっぱい使います。子どもの成長は職員にとって大きな喜びで、「苦労が報われた」と感じる瞬間です。それをあなたも評価することで、職員は「ここで仕事をしていてよかった」「仕事が楽しい」と感じるようになります。
5-5.地域や保護者との繋がりを大切にし社会的意義を高める
放デイは「保護者支援」や「地域の障がい児支援拠点」としての役割も持ちます。しかしその役割を果たせている事業所は多くありません。
5-5-1.保護者支援の手法
放デイの場合、「預かり」だけでは十分な保護者支援とは言えません。児童福祉の専門家として、次のことを行うと良いでしょう。
- 家庭での療育方法の提案と療育効果の共有
- 保護者の悩みや困りごとの相談支援と解決
保護者支援には加算も与えられます。「事業所内相談支援加算」や「家庭連携加算」(※2)です。事業所にとっても収益のプラスになり、保護者からの信頼を培うのにも役立ちます。
※2)詳しくは『放課後等デイサービスの人員配置基準と加算一覧|適切な取得方法も紹介』をご覧ください。
5-5-2.関係機関との関係構築
保育所や学校機関にも挨拶に赴き、積極的にアピールを行いましょう。利用者の療育状況の提供は、昼間子どもを預かる保育所や学校にとってもプラスになります。強固な繋がりが構築できれば、新たな利用者の紹介にも繋がるでしょう。
こうした取り組みを継続していれば、職員も「この教室は保護者の役に立っている」「地域の障がい児支援の一拠点だ」と実感できます。目の前の仕事の社会的役割の大きさを認識し、より責任とやりがいを持ち仕事に取り組むようになるでしょう。
さいごに
放デイは社会的意義が大きく、子どもの成長に寄与できるやりがいのある仕事です。しかし業務は楽ではなく、人によっては「きつさ」が先に立つこともあります。
職員が抱える悩みや不満にオーナーが気づけないままでいると、離職を引き起こします。オーナーは職員の悩みや不満をすくい上げ、できるだけ早く解決するよう努めなければなりません。
有効な手段は以下の5つです。
- 児発管と協力し確固たる療育方針をつくり上げ示す
- 職員の個性や人間関係に留意しチームをつくり上げる
- 職員一人ひとりと面談の機会を持ち本音を聞き出す
- 子どもの小さな成長を共有しやりがいを引き出す
- 地域や保護者との繋がりを大切にし社会的意義を高める
これらを実践することで、職員の心に寄り添い、教室運営を正常に保つことができます。
放デイ職員は主に資格保有者で構成されます。離職が起これば、人材の確保は大変です。本稿を参考に職員への接し方を考え、職員が長く働ける「働きやすい職場」をつくり上げましょう。
こどもプラスでは、職員のメンタルケアや離職を防ぐ取り組みなど、さまざまなアドバイスを行います。これまでたくさんのフランチャイズ教室の悩みに触れ、解決に導いた実績があります。
困り事がありましたら、どうぞ「問い合わせページ」よりお気軽にお問いあわせください。