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【経営者・職員】放課後等デイサービスに向いている人の特徴を説明

【経営者・職員】放課後等デイサービスに向いている人の特徴を説明

景気に左右されない安定した事業として、放課後等デイサービスに着目している人も多いでしょう。

しかし「障がいを持つ子どもが対象の児童福祉事業」という特殊性から、「自分に仕事が務まるのだろうか?」「向いていないのではないか?」との不安も耳にします。

たしかに放課後等デイサービスの経営や業務は、誰にでも務まるものではありません。事業内容や目的を知ろうとせず、「安定した儲け」だけを追求し参入すると失敗します。

今回は、放課後等デイサービス事業に向いている人の特徴を説明します。説明の根拠は、私たちこどもプラスの長年の経験です。

弊社は放課後等デイサービスのフランチャイズ事業本部として全国に190の拠点を持っています。多くの人と接する中で、おのずと事業への向き・不向きが見えてきました。

この記事をお読みの人の中には、放課後等デイサービスに興味がある求職者もいらっしゃるでしょう。

今回は経営者だけでなく職員にもスポットを当て説明します。児童発達支援管理責任者や児童指導員、保育士の仕事に興味がある人は、自身の適性をチェックしてみてください。

今後の放課後等デイサービスへの経営参入に、また放課後等デイサービス職員への挑戦にお役立ていただけます。

1.放課後等デイサービスの仕事内容・流れ

1.放課後等デイサービスの仕事の流れ

向き・不向きを知る前に、放課後等デイサービス(以下、放デイ)の仕事内容を紹介します。

どのような仕事をするか、こどもプラスの「教室の一日」を追いながら説明します。現場に立つ自分の姿を想像してください。

1-1.教室のタイムテーブル

時間業務内容
9:00〜朝礼、自宅へお迎え
10:30〜午前の療育
11:10〜静かに過ごす時間
11:45〜自宅へ送迎
12:00〜昼食
12:45〜自宅へ送迎
13:30〜朝礼
14:00〜学校へお迎え、宿題、自由時間
15:30〜午後の療育
16:10〜静かに過ごす時間
16:20〜おやつ
16:45〜自宅へ送迎、清掃
18:00退勤

参照:こどもプラス1日の流れ | げんキッズ株式会社(こどもプラスFC)

放デイの対象は、障がいを持つ小学生〜高校生です。普段学校のあるときは午前中の療育は行いません。

しかしこの事業所のように、障がいを持つ未就学児が対象の「児童発達支援」の教室も兼ねている場合、午前中から通所する子どもがいます。

また、春夏冬の長期休暇中やゴールデンウィークなど、学校休業日には放デイの子ども達も午前中から通所します。

1-2.療育のほかに運営業務も行う

職員には細かな事務作業などもあります。

<一般職員の業務例>、

  • 療育記録の記入
  • 保護者向けのお便りの作成
  • 療育の事前準備
  • ホームページ更新など営業活動補助

放デイの教室は少人数で回していることが多く、療育をしながら教室運営業務も行うのが一般的です。「子どもの相手だけ」と思っていると、業務量に驚かされるでしょう。

関連記事:発達障がい児に関わる仕事│必要な資格や勤務先・施設の事業を紹介

2.放課後等デイサービスに向いている人~オーナー編~

2.放課後等デイサービスに向いている人~オーナー編~

放デイは「どんな経営者にも向いている事業」とは言えません。向いている経営者には、いくつかの条件があります。

本章ではオーナーの業務内容を紹介した上で、放デイオーナーに「向いている人」の特徴を説明します。

2-1.オーナーの業務内容

オーナーは教室の管理者となり、管理業務全般を行います。行う仕事は以下のとおりです。

<業務管理>

  • 利用者の管理と利用申し込みの調整
  • 経理作業
  • 書類の管理と自治体などへの提出
  • 保護者からの要望や苦情への対応
  • 備品の購入や必要設備設置など教室環境の整備
  • 非常時や災害時の対応マニュアルの策定

 

<労務管理>

  • 従業員の雇用と育成
  • 人員配置

 

<営業活動>

  • 学校機関や保育所との関係構築
  • 役所との関係維持
  • 新規利用者の集客

これらの業務を行った上で余裕があるなら、児童発達支援管理責任者や保育士、児童指導員として療育に携わることもできます。ただし、その場合役職に応じた資格が必要です。

詳細は放課後等デイサービスの立ち上げの手順と開業資格・人員配置基準の知識をご覧ください。

2-2.放デイオーナーに向いている人

業務内容だけを見ていると、一般の会社の社長業と大差なく感じるかもしれません。

しかし、以下に挙げる条件を満たさない限り、参入しても成功の確率は低いでしょう。逆にこれらの条件を満たしていれば、長く安定した経営を実現し、事業を成功に導けます。

2-2-1.小規模でも安定した経営を志向する人

放デイは大きな利益を上げ、一気に加速させる事業ではありません。理由は次の2つです。

①一日に受け入れる子どもの人数が児童福祉法で定められている

②報酬体系も児童福祉法で定められており、子ども一人の単価を上げるにも限界がある

教室の受け入れ人数は、自治体に許認可を申請するさいに決定します。多くの教室では10人です。

また、報酬は児童一人あたりの「基本報酬+サービスに応じた加算」で成り立っています。

目安は「一人一日1万円」です。10人満員に入れたとして、1日10万円、月の売上は300万円に届きません。

その代わり、次の2つの理由から経営は安定しやすいでしょう。

1)売上の9割は国民健康保険連合会からの給付金のため、景気に左右されにくく、未収金も発生しない

2)受け入れ対象年齢が広いため、生徒が定着すれば10年以上継続して利益をもたらす

大きな利益は期待できないものの、長く安定した事業を続けられる魅力があります。

  • 老後まで長く続けられる安定したビジネスがしたい
  • 景気の悪化でも潰れない事業に参入したい

といった需要にも対応できます。小規模でも安定したビジネスを志向する人にはぴったりです。

関連記事:放課後等デイサービス経営者の年収│収益の仕組みと売上を最大化する方法

2-2-2.子どもが好きで面倒見が良い人

放デイの教室はテナントの一室を借りて運営することが多く、一般の会社のように明確に区分された「社長室」は存在しません。

あなたがどんなに管理業務に集中したくても、子どもたちと顔をあわせないわけにはいかないでしょう。子どもが好きでなければ続きません。

また、人気教室になるにはあなたも率先して子ども達と交流し、「教室の顔」になる必要があります。子どもたちと積極的に交流し、必要な手を差し伸べる「面倒見の良さ」が必要です。

2-2-3.児童福祉への使命感がある人

「なぜ放デイに参入するのですか?」と問うたとき、「安定しているから」「市場が成長しているから」という答えだけでは、療育方針を打ち立てることは困難です。

「障がいのある子ども達が活躍する場を作りたい」「子どもがのびのびと個性を発揮する場を作りたい」など使命感を持ち参入すれば、「どうすればそれを実現できるか」を考えられます。

あなたの方針にあった児童発達支援管理責任者(療育の最高責任者)を雇い、効果的な療育方針を打ち出せるでしょう。

2-2-4.営業力が高く信頼関係を構築できる人

放デイでは子どもや保護者との信頼関係構築はもちろん、関係機関との協力体制も必要です。

放デイの役割の一つに、「共生社会の実現に向けた後方支援」があります。

放課後児童クラブや児童館、保育所などと連携を図りながら、障がいを持つ子どもたちが地域社会に参画できるよう支援します。

あなたは放デイの代表者として、関係機関に協働をお願いしなければなりません。

そこで要されるのは、「ものを売る」だけの営業力ではありません。パートナーとしての「信頼関係」を構築する営業力です。

2-2-5.自ら率先して動く人

一般的な放デイの職員構成は、

  • 管理者(あなた)
  • 児童発達支援管理責任者
  • 児童指導員または保育士 2人

です。それぞれが自分の役割を担い仕事をするため、あなたは管理業務を着実にこなさなければなりません。「社長なのだから指示を出す存在でありたい」と思っていると、教室は回りません。

関連記事:放課後等デイサービスの「指導員」とは?業務内容や資格要件を紹介

2-2-6.経営状態を長期的に見つめ今行うことを判断できる人

放デイは短期間に多くの利益は上げられません。会社を大きくしたい場合、多店舗展開が有効な手段でしょう。

しかし無闇に教室を増やしてもうまくいきません。現在の経営状態を客観的に見つめ、本当に今新店舗が必要か冷静に判断する必要があります。

先々の経営状態まで見据え、「今何を行うのが最善か」考える力が必要です。

2-3.放デイオーナーに向いていない人

放デイオーナーに向いていない人は、「オーナーに向いている人の逆」と捉えられます。その特徴と、あなたがこれから取り組める有効な対策を説明します。

2-3-1.大きな利益を上げ会社を早く大きくしたい人

放デイは短期間で大きな利益を上げる事業ではありません。利益を大きくしようと無理な営業をかけても、一日に教室を利用できる子どもの数は決まっています。

許認可事業である以上、法から外れたことはできません。短期的な利益だけに重点を置くと、「期待外れ」だと感じるでしょう。

<有効な対策>

「長期的な利益」に視点を移してください。子どもや保護者から信頼を得られれば、継続的な利用が見込めます。

小学生~高校卒業まで10年以上通ってもらうこともできるのです。一人ひとりの利用者が、長く着実な利益をあなたにもたらしてくれるでしょう。

また、常に定員を満たせる人気教室になったら多店舗展開を行うと良いでしょう。店舗数が増えれば徐々に利益も大きくなります。

2-3-2.子どもが好きでない人

子どもとかかわる事業である以上、子どもが好きでない人に放デイは務まりません。

放デイは個性豊かな子ども達が集まります。あなたを困らせることも多々あるでしょう。子どもの個性に寄り添い育て上げる「教育的な情熱」が必要です。

<有効な対策>

教室の見学をおすすめします。「放デイで働きたい」「放デイを運営してみたい」など素直な気持ちを伝え、見学のお願いをしましょう。

短時間でも療育の様子を見れば、自分に務まるかわかるはずです。

2-3-3.児童福祉への使命感がない人

安定性や市場の成長に着目し「利益だけ」を目的に放デイに参入すると、肩透かしを食らいます。児童福祉への使命感がなければ、効果的な療育は提供できません。

「ただ預かるだけ」「ゲームをさせているだけ」など、療育効果のない教室を運営し、競合他社に負けて廃業するのです。

<有効な対策>

児童福祉に関する書籍や動画などで知識を深め、放デイで実現したいことを見つけてください。

「子ども達をどう育てたいか」「放デイ事業をとおしてどう社会貢献したいか」など、目的をはっきりさせた上で参入しましょう。

2-3-4.人づきあいが苦手な人

放デイのオーナーは、子ども達はもちろん、保護者、職員、関係機関ともコミュニケーションを取らなければなりません。

子ども達や保護者とコミュニケーションが取れなければ、教室への信頼感を構築できません。ほかの事業所に利用者を取られてしまうでしょう。

職員とのコミュニケーションが取れなければ、療育方針を統一できず、場当たり的な療育になります。職員間の人間関係も悪化し、離職も起こりかねません。

関係機関との連携が取れなければ、療育内容を共有できない事業所とみなされ、どこからも相手にされなくなります。地域での認知も進まないでしょう。

<有効な対策>

会社員のうちから社内でコミュニケーションをとり、「報告・連絡・相談」を大切にしましょう。また、他人の話をよく聞き、その人の立場に立ってものを考えることも大切です。

2-3-5.社長業しかやりたくない人

放デイでは少人数で教室を回します。あなたの役目である「管理業務」を、あなた自身で行わなければなりません。

放デイは許認可事業のため、自治体から定期的に監査が入ります。書類の管理を怠ると、監査で誤りを指摘され、最悪の場合営業の許認可を取り消される可能性もあります。

<有効な対策>

意識を変えることです。「基本はすべて自分自身で行う」感覚を持ちましょう。

2-3-6.目先の利益ばかりに囚われ、長期的視点に欠ける人

放デイは一人ひとりの子どもと信頼関係を構築し、長くつきあい育てる事業です。

目先の利益ばかりに囚われ新店舗を出しても失敗します。まずは子ども達から信頼を得、地域での評判を上げなければなりません。長期的に経営を考え、計画を練る必要があります。

<有効な対策>

10年後、20年後の未来まで考慮した事業計画を策定してください。「大きな利益」よりも「安定性」に重点を置き、少しずつ利益を伸ばす計画を立てると良いでしょう。

2-4.オーナーには資格が不要

「オーナーに向いている人」を読み、「我こそは!」と感じた人もいるのではないでしょうか。

放デイの場合、オーナーに限っては資格不要です。ただし、子ども達の療育にあたる場合は別です。

現場で仕事にあたるには「児童発達支援管理責任者」「保育士」「児童指導員」のいずれかの資格が必要です。

オーナーに資格が不要なのは、管理業務のみを行うことを想定しているからです。

詳細は放課後等デイサービス立ち上げに必要な資格と人員配置基準をご覧ください。

2-5.チェックリスト

<放デイオーナーに向いている人>

小規模でも安定した経営を志向する人

子どもが好きで面倒見が良い人

児童福祉への使命感がある人

営業力が高く信頼関係を構築できる人

自ら率先して動く人

経営状態を長期的に見つめ今行うことを判断できる人

3.放課後等デイサービスに向いている人~職員編~

3.放課後等デイサービスに向いている人~職員編~

放デイでの仕事内容を説明した上で、放課後等デイサービスに向いている人の特徴を説明します。また離職に結びつく業務上の苦労にも言及します。

放デイの場合、障がいがある子ども達を扱う点が特殊です。教育や福祉業界を経験していても、放デイで働く自分の姿は想像しづらいかもしれません。

この記事を通して、イメージを膨らましてみてください。

3-1.放デイ職員の仕事内容

放課後等デイサービス職員の仕事内容を見ていきましょう。

放デイ職員は「児童発達支援管理責任者」(常勤で1人以上)と「児童指導員または保育士」(2人以上。1人は常勤)にわかれます。

3-1-1.児童発達支援管理責任者の業務内容

児童発達支援管理責任者(以下、児発管)は教室のリーダー的存在です。

子ども達一人ひとりの療育方針を決定し、それを職員に指示する大切な役割を担います。主な業務内容は以下のとおりです。

  • 個別支援計画の作成
  • 教室全体のタイムテーブルの作成
  • 新規活動プログラムの立案
  • 学校や保育所など関係機関との連携
  • 保護者からの要望や苦情への対応
  • 緊急時対応マニュアルの遵守と、ほかの職員への周知

オーナーは「管理業務を行う総責任者」、児発管は「療育現場の責任者」と捉えると良いでしょう。

子ども達に適切な療育を提供するための豊富な経験・実績はもちろん、強いリーダーシップと高い業務遂行能力が要されます。

児発管の詳細は児童発達支援管理責任者を採用する重要性と離職を防ぐ支援体制をご覧ください。

3-1-2.児童指導員または保育士の業務内容

児発管が作成した「個別支援計画」に基づき、子ども達に療育を提供するのが主な仕事です。一人ひとりの個性に応じたサービスで、心身の成長を促します。

また子ども達の送迎や、保護者対応も行います。送迎時の短い時間だけでも保護者と子どもの様子を共有することで、保護者からの信頼を得やすくなります。

さらに療育記録の記入、配布物の制作、ホームページの更新など幅広い業務を担います。

詳細は放課後等デイサービス立ち上げに必要な資格と人員配置基準をご覧ください。

3-2.放デイ職員に向いている人

放デイの職員は以下の人に向いています。一つでも欠けている要素があると、業務に困難を感じる場面が出てくるかもしれません。

逆にこれらすべてを満たしていれば、子どもと保護者から信頼を得られる先生になれます。

3-2-1.子どもが好きで面倒見が良く、忍耐力がある人

子どもと接する仕事は、子どもが好きでなければ務まりません。

この場合の「好き」は、子どもに関わり育てることに、仕事のやりがいを見出せることです。

「子どもはかわいいから好き」という理由でこの世界に入ると、たいてい失敗します。

かわいいだけではなく、怒りたくなる場面、苦労させられる場面のほうが圧倒的に多いからです。

「どうにかしてこの子の個性に寄り添い、伸ばしてあげよう!」そんなふうに考えられ、一人ひとりの面倒をとことん見られる人が向いています。

ときには忍耐力も必要です。すぐに怒ってしまう人は、子どもに寄り添えません。

3-2-2.多様性を受容し価値観の決めつけをしない人

障がいのある子どもたちは個性が豊かです。

「子どもはこうあるべき」「教育はこうでなければならない」と考え、価値観が固定化している人は対応できません。あらゆる多様性を受容し、一人ひとりにあった方針を考えられる柔軟性が必要です。

凹凸が大きな子どもほど、その個性を伸ばし成長させる喜びも大きなものです。そこにやりがいを感じ、一人ひとりに寄り添える人が向いています。

3-2-3.体力・気力が充実している人

小さな子どもは元気に走り回ります。大きくなっても、動き回ってしまう子、介助が必要な子などさまざまです。放デイの業務は体力なしには務まりません。

さらに細心の注意を払い、子ども達が怪我をしないよう注意を向けなければなりません。神経も使い、療育が終わるころにはへとへとになります。体力・気力ともに充実していないと、業務遂行は困難です。

3-2-4.コミュニケーションスキルが高い人

あなたと子どもとの間に信頼関係が生まれなければ、子どもは安心して療育プログラムについてこないでしょう。

また保護者との信頼関係の構築も大切です。保護者からの信頼がなければ、継続して教室に通ってもらえません。

放デイで働く以上、コミュニケーションスキルは必須です。

3-2-5.福祉人としての責任感がある人

放デイは児童福祉事業です。子どもを医療的・教育的に支援し心身の発達を促す役割を担っています。あなたはその一員として働き、責務を全うします。

したがって、福祉人として責任感がなければ務まりません。「汚い作業はやりたくない」「力のいることはできない」などと言っていると、療育にならないこともあります。

職員間で協力しあいながら、大変なことも乗り越えなければなりません。

3-2-6.【児発管】広い視点で業務全体を捉えられる人

児発管にはほかの職員よりも「広い視点」が要されます。リーダーとして、教室全体を動かす立場だからです。

  • 現在行っている療育が、会社の療育方針と合致しているか
  • 療育の効果がしっかりと出ているか
  • 保護者との信頼関係は構築できているか
  • 関係機関との協力関係はうまく機能しているか
  • 職員は一つのチームとして動けているか

などさまざまなことを気にかけなければなりません。管理者(オーナー)と協力しながら、業務全体を見渡す目が必要です。

3-2-7.【児発管】リーダーシップがあり人の長所を活かせる人

児発管は個別支援計画を策定後、それを職員と共有し療育を提供する役目を担います。職員を動かすのは児発管です。

したがって、児発管にはリーダーシップが必要です。職員一人ひとりとコミュニケーションを取り、その長所を活かせると良いでしょう。

3-3.意外と深刻!よくある放デイの離職票理由

放デイに「向いている人」がいるいっぽう、辞めていく人もいます。ここではよくある離職理由と、離職を防ぐ有効な対策を説明します。

3-3-1.体力的な負担

放デイには体力が必要です。健康体だと思っていても、腰や肩を痛めて働けなくなる事例も見かけます。

体力的な負担の重さは、障がいのある子どもを相手にする以上、避けられない問題です。

3-3-2.トラブルの多さによる精神的負担

子ども同士の喧嘩やトラブル、保護者との間の療育方針を巡っての確執なども起こります。柔軟に対応できないと、すべてが心労になります。

3-3-3.子どもの個性への対応に悩む

子どもの多様性は認められても、「個性に応じた療育」に悩むことがあります。子どもごとに差別化を図り、療育効果を高めたいにもかかわらず、その方法がわからない場合などです。

療育をうまく提供できても、なかなか効果が現れない場合も焦りが生じます。真面目な職員ほど、それを自分の責任だと感じてしまいます。

3-3-4.職員同士の人間関係

療育はチーム作業です。児発管を中心に一つのチームとして動くことで、効果的に療育を提供できます。

だからこそ、人間関係の問題が生まれると厄介です。オーナーがいち早く気づけないと、離職を引き起こす大きな原因になります。

3-3-5.特定の役職への負担増加

児発管など特定の役職は業務量が多く、一人では回しきれない場合があります。

しかし限られた人員で運営していることもあり、協力を得たくても得られない状態が少なくありません。負担の重さに耐えきれず、離職を引き起こすこともあります。

3-3-6.離職を防ぐ有効な対策

①自己分析を行い、放デイへの向き不向きを冷静に判断する

就職の前に自身の体力、忍耐力、価値観などを冷静に分析しましょう。

一番良い手段は、実際に放デイの教室を見学させてもらうことです。放デイに応募するさい、「見学をしたい」旨を伝えましょう。実際の療育現場を見れば、この仕事が務まるか判断できます。

②評判が良く離職率の低い事業所を選ぶ

放デイの事業所に応募する前にワンクッション置き、企業口コミサイトなどで事業所の評判を調べてみましょう。大まかな離職率が掴めるはずです。

③母体がしっかりしておりトラブル解決能力がある会社を選ぶ

トラブルが起きたときの解決能力も探ります。一つの目安は、母体の大きさです。母体が大きな会社は、組織体系がしっかりしているため、トラブル対応にも強い傾向があります。専門の部署があり、トラブル対応に慣れたスタッフが対応してくれることもあります。

 3-4.放デイ職員に向いていない人

放デイ職員に向いていない人は、向いている人の裏返しです。以下がその特徴と有効な対策です。

3-4-1.子どもが好きではない

放デイでは子ども達一人ひとりの個性に寄り添わなければなりません。子どもに接し育てることにやりがいを感じられなければ、仕事は務まらないでしょう。

<有効な対策>

あなたが「本当に子どもが好きなのか」判断します。面接時に、業務上の困難や苦労を聞き出しましょう。

それでも「そんな子どもだからこそ育てたい!」と思う情熱があるなら、本当に子どもが好きなのでしょう。

3-4-2.忍耐力がない

子どもと接していると、怒りたくなること、苛々することも出てきます。

個性豊かな子ども達は、さまざまな困難や苦労をあなたにもたらすでしょう。忍耐力がなく、すぐに怒ってしまう人、落ち込んでしまう人は向いていません。

<有効な対策>

教育者としてのプロ意識を持ち、あくまでも「仕事」で子どもに接することです。

だからといって愛情をかけないわけではありません。仕事を遂行するために「一歩置いて冷静に見る」癖をつけるのです。

3-4-3.体力や気力がない

放デイでは子ども達と一緒に走り回り、運動をし、子どもによっては介助もします。

体力も気力もなければ務まりません。少ない人数で教室を回しているため、「四十肩だから」「ぎっくり腰だから」と仕事に穴を開けるわけにもいきません。

<有効な対策>

普段から運動をする癖をつけ、体力を維持しましょう。体を動かさない生活から突然放デイの現場に立つと、すぐに体を壊してしまいます。

3-4-4.コミュニケーションスキルが低い

子ども達や保護者とのコミュニケーションも必須です。さまざまな個性を持つ子ども達と、じっくり丁寧にコミュニケーションを取らなければなりません。

中には心を開くのが難しい子もいます。まったく話さない子でも、あなたには心身を成長させる義務があります。コミュニケーションスキルが高くなければ務まりません。

<有効な対策>

他人の意見に耳を傾け、理解する癖をつけましょう。大人であってもものの考え方や価値観は十人十色です。

聞き役に徹し、「人が伝えたいこと」を的確に掬い上げます。その訓練が、子どもに接するときにも役立ちます。

3-4-5.教育者・福祉人としての責任感がない

放デイの仕事は「都合により本日で辞めます」というわけにはいきません。目の前には子どもがいて、あなたはその成長を預かる責任があります。

業務は可能な限り完遂しなければなりません。教育や福祉に携わる者として、あなたの責任感が問われます。

<有効な対策>

「なぜ放デイで働くのか」目標をもう一度見つめ直しましょう。放デイで成し遂げたいことがあれば、それがあなたの原動力になります。目標を遂行する意志があれば、自ずと責任感も芽生えます。

3-4-6.【児発管】運営全体を見渡せず、目先の仕事ばかりする

児発管が療育方針を立てず、その場限りの業務に追われているようでは、現場の職員はどのように療育を行えば良いかわかりません。

職員の療育内容に統一感がなく、チームワークも生まれません。子ども達に良い療育を提供できないでしょう。

<有効な対策>

面接時に、オーナーと療育方針をじっくり話しあいましょう。方向を見定め、ぶれがない状態で療育にあたります。あなたの療育方針がしっかりしていればいるほど、現場の職員も安心します。

3-4-7.【児発管】リーダーシップがなく、人を引っ張れない

児発管は教室のリーダーです。あなたにリーダーシップがなければ、職員はまとまりません。

チームワークが悪ければ、職員間の人間関係も悪くなるでしょう。離職を生む可能性もあります。

<有効な対策>

まずは職員一人ひとりをしっかりと見つめ、個人の長所を理解することです。それを活かしながら、必要であれば療育方針を見直します。「現状の職員でできる最大限のこと」を行いましょう。

3-5.各職種に必要な資格

あなたが「向いている人」に当てはまった場合、気になるのが資格要件でしょう。放デイで働くには以下の資格が必要です。

3-5-1.児童発達支援管理責任者になるには

児発管は、次の①〜④を順に満たした人だけがなれる希少な役職です。

<児発管になる条件>
①実務経験の要件を満たす

②要件を満たす2年前になったら基礎研修を受講(計26時間)

③2年間実際に勤務しながら訓練

④実践研修の受講(計14.5時間)

①の実務要件は以下のいずれかです。

<児発管の実務要件>

  • 通算5年以上の相談支援業務の経験
  • 通算8年以上の直接支援業務の経
    (社会福祉主事、児童指導員、保育士、精神障がい者社会復帰施設指導員などの資格保持者は5年以上で可)

詳しくは希少な人材「児童発達管理責任者」の採用を成功させる効果的な募集方法をご覧ください。

3-5-2.保育士または児童指導員になるには

保育士は保育士免許保有者です。

児童指導員は公的な資格ではなく、必要な条件を満たした人が仕事に従事している間名乗れる「任用資格」です。

あなたが以下の条件を満たしていれば児童指導員として働けます。

    <児童指導員に任用できる条件>

  • 社会福祉士の資格保有者
  • 精神保健福祉士の資格保有者
  • 大学(短大を除く)や大学院で、社会福祉学・心理学・教育学・社会学のいずれかを専修する学科や研究科を修了した者。またはそれに相当する課程を修めて卒業した者
  • 教員免許を有する者
  • 児童福祉施設で2年以上の実務経験がある者

3-5-3.無資格でも加配人員として働ける

規定人数を超えた配置を行う場合(加配と言います)は、無資格の職員も配置可能です。2年間の経験を積めば、児童指導員に任用できます。

ただし、加配を行う場合も、多くの事業所は保育士など資格保有者を欲しがります。加配によって取得できる単位数(加配加算)が異なるからです。

将来性や適性を強くアピールできなければ、採用にはならないでしょう。

詳しくは放課後等デイサービス立ち上げに必要な資格と人員配置基準をご覧ください。

3-6.チェックリスト

<放デイ職員に向いている人>

子どもが好きで面倒見が良く、忍耐力がある人

多様性を受容し価値観の決めつけをしない人

体力・気力が充実している人

コミュニケーションスキルが高い人

福祉人としての責任感がある人

【児発管】広い視点で業務全体を捉えられる人

【児発管】リーダーシップがあり人の長所を活かせる人

4.放課後等デイサービスで働く社会的意義

4.放課後等デイサービスで働く社会的意義

 

あなたが放デイに参入・または職員として働くことを決意した場合、放デイが担う社会的役割を意識し仕事をすることが重要です。

その役割をきっちりと遂行できれば、障がいを持つ子どもたちの利益となり、社会に貢献できます。

4-1.厚生労働省が示す3つの役割

厚生労働省は「放課後等デーサービスガイドライン」の中で、放デイの役割に次の3つを挙げています。

①子どもの最善の利益の保障

②共生社会の実現に向けた後方支援

③保護者支援

参照 放課後等デイサービスの現状と課題について | 厚生労働省

放デイの各事業所は、この3つの役割を果たす責務を負っています。

詳細は放課後等デイサービスの今後の課題と生き残りに必要な取り組みをご覧ください。

4-2.役割を果たすために放デイが行うべきこと

これらの役割を果たすため、こどもプラスが考える方針は次の4つです。

4-2-1.効果的な療育の提供

療育内容が効果的でない限り、子どもの心身の成長は促せません。

現状は預かりだけを行っている事業所や、特定のスポーツだけを行っている事業所もあります。そのような事業所は、増え続ける放デイの中で生き残れないでしょう。

これからあなたが放デイに参入するなら、「自信ある療育」を見つけてください。

4-2-2.幅広い年齢層と個性への対応

障がいのある子は個性が豊かです。さまざまな個性に対応するには、幅広いコンテンツが必要です。特定の療育だけでは対応しきれないでしょう。

また、小学生と高校生に同じ内容を提供するのも考えものです。年令に応じたコンテンツを用意すべきです。

関連記事:需要が高まる!中高生を対象とした放課後等デイサービス

4-2-3.関係機関との信頼関係構築

保育所や学校機関との連携も深めながら、療育方針などの情報交換を行うようにします。

地域が一体となり、障がいがある子ども達を支える姿勢です。それができれば、あなたの教室が地域の「障がい児支援の地域拠点」となれます。

4-2-4.保護者との信頼関係構築

保護者支援も大切な役割です。保護者と密に連携を取りながら、家庭内での療育方法を積極的に提案しましょう。また悩みや困りごとがないか確認しながら、解決できるものは協力します。

子どもだけでなく、子どもが暮らす家庭そのものを支えていけるよう、努力しましょう。

さいごに

さいごに

 

放デイは市場の成長が期待できる上、オーナーには資格が不要と「良いことばかり」な印象があります。しかし本稿で紹介した適性を見極めないと、参入しても失敗します。

求職者も同様です。放デイの特性を知り、「自分ならやれる」ことを確認した上で応募しないと、仕事がきつく、すぐに離職することになるでしょう。

本稿の内容を参考にし、自分の性格や目標と照らしあわせながら、慎重に判断してください。さらに詳しい情報は、こどもプラスがいつでもお答えします。「問い合わせページ」よりお気軽にご相談ください。

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まずはお気軽にお問い合わせください。

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