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発達障がいの子どもに効果がある療育とは?年代別のプログラムを紹介

発達障がいの子ども達に提供する療育メニューにお悩みの方へ、年代別の効果的なプログラムをご紹介します。

児童福祉施設での支援は、療育の目的や提供方法を正しく理解していないと務まりません。知識やサービスに不足があると、利用者や保護者が効果を実感できなくなります。利用者離れを起こし、経営に窮する可能性もあります。

大切なのは、特色のある療育メニューで、利用者のニーズを満たすことです。できるだけ幅広く対応できるよう、準備を進めましょう。

放課後等デイサービスの教室を運営する「こどもプラス」では、未就学児から高校生まで、多様なニーズに応えるプログラムを開発・提供してきました。弊社の経験から、効果が期待できるプログラムを選りすぐります。

これから事業参入する方はもちろん、療育メニューにお悩みの現職の方々にも参考にしていただけます。

1.発達障がいの子ども達に提供する療育とは

発達障がいの子ども達に提供する療育とは発達障がいの子どもに療育を提供するには、療育の役割を知らなければなりません。提供する機関や必要な資格、費用などの基本を押さえましょう。

1-1.療育を受け持つ機関

療育を受け持つ機関は児童発達支援(未就学児向け)と、放課後等デイサービス(小学生~高校生向け)です。両施設は合併して運営されていることもあります。

関連記事:発達障がい児に関わる仕事ができる勤務先と事業内容、必要な資格を紹介

1-1-1.児童発達支援

児童発達支援は、未就学児が対象の障がい児通所支援サービスです。地域の中核を担う児童発達支援センターと、近隣の児童向けの同事業所にわかれます。

1~2歳児から通所できる施設が多く、朝から子ども達を受け入れます。働く保護者にとっては、託児の役割も担っているのが特徴です。

療育内容は、

  • 身体を動かす遊び
  • 感覚を整える遊び

など、子どもが楽しめるプログラムが中心です。

就学準備に重点を置く施設もあります。

児童が施設を利用できる回数は、障がいの程度や、支援のニーズにより決定されます。決定内容は、自治体が利用者に発行する受給者証に記されています。

上限回数に満たない限り、何度でも通所が可能です。

1-1-2.放課後等デイサービス

放課後等デイサービスは、小学生〜高校生が対象の障がい児通所支援サービスです。放課後や長期休暇中に子どもを預かり、支援します。託児の役割も担います。

対象年齢が広いため、提供する療育にも工夫が要されます。運動や音楽、中高生向けの就労支援など、ニーズに応えるさまざまなプログラムが提供されています。

児童発達支援同様、受給者証で定められた回数まで通所可能です。

1-2.療育の提供に必要な資格

療育の提供に必要な資格療育を提供する職員には、以下いずれかの資格が必要です。

  • 保育士
  • 児童指導員(任用資格)

児童指導員は、仕事に従事している間のみ名乗れる任用資格です。任用条件は次のとおりです。

<児童指導員に任用可能な条件>

・大学や大学院で、社会福祉学・心理学・教育学・社会学のいずれかを専修する学科や研究科を修了している人

・社会福祉士・精神保健福祉士・教員免許のいずれかの資格を保有している人

児童福祉施設で2年以上(最終学歴が中学卒業の場合は3年以上)の実務経験がある人

運営条件によっては、以下の資格保有者も必要です。

<条件により必要な資格>

看護師(重度心身障がい児が対象の施設のみ)

・機能訓練担当職員(機能訓練を提供する場合。理学療法士や作業療法士など)

関連記事:放課後等デイサービスの立ち上げの手順と開業資格・人員配置基準の知識

1-2-1.無資格の人は加配人員として扱う

児童発達支援と放課後等デイサービスの配置基準は、児童福祉法で定められています。基準人員に、無資格の職員を充てるわけにはいきません。

無資格の職員は、基準人員を満たした上で配置する加配用の人員として扱います。2年の経験を積めば、児童指導員の任用条件が満たせます。

関連記事:放課後等デイサービスの「指導員」とは?業務内容や資格要件を紹介

1-2-2.施設の運営には管理者と児発管が必要

施設の運営には、療育を提供する職員以外に、管理者と児童発達支援管理責任者(児発管)の設置が必要です。

管理者は、教室で療育をおこなわない限り、資格は不要です。

児発管は任用要件が厳しく、豊富な経験が要される希少な資格です。詳しくは以下の関連記事をご覧ください。

関連記事:児童発達支援管理責任者を採用する重要性と離職を防ぐ支援体制

1-3.療育を受ける子どもにかかる費用

療育を受ける子どもにかかる費用

療育にかかる費用は、9割を自治体が負担します。利用者負担額は1割です。毎月の負担上限金額も定められており、何度利用しても上限金額以上はかかりません。

上限金額は、前年度の世帯収入によって3つに区分されます。

<児童発達支援・放課後等デイサービスの利用者負担上限額>

生活保護・住民税非課税世帯 0円(1割負担もなし)
所得割28万円未満

(収入がおおむね920万円以下)

4,600円
所得割28万円以上 37,200円

(参照:障害者福祉:障害児の利用者負担 | 厚生労働省

利用しやすい料金設定で、必要な子どもが療育を受けられるよう配慮されています。

2.発達障がいの子どもへの療育で目指すこと

発達障がいの子どもへの療育で目指すこと発達障がいの子どもの療育で目指すことを解説します。

2-1.家庭や学校での困りごとの解決

療育は、障がいのある子どもへの医学的・教育的支援です。子どもが家庭や学校で抱える困難の解消を手助けします。

発達障がいの子どもは、障がい特性によりさまざまな困難を抱えます。

保育所や小学校の集団生活では

・集団行動ができない

・落ち着いて座っていられない

・友だちができない

・勉強や運動で極端に苦手なものがある

など、困難を感じる場面が多々あります。本人も親も不安だからこそ、専門的な療育が必要とされます。

2-2.自立と社会参加の促進

療育の長期的な目標は、自立と社会参加の促進です。

療育で、子ども達は徐々にできることを増やします。

身体が動かしやすくなった

ものを器用に扱えるようになった

・ミュニケーション能力が上がった

・夢中になれることを見つけた

など、さまざまな変化が実感できるでしょう。

一つひとつの成功は小さくても、積み重なることで大きな自信が生まれます。自信を持って生きることが自立につながり、社会参加の意識も芽生えます。

2-3.障がいを持つ子どもが暮らす環境全体の改善

施設は、子どもが暮らす環境の改善にも努める義務があります。保護者の悩みを解消するのも大切な役割です。

子どもが通う保育所や学校との連携も図りましょう。支援内容の共有と協力体制の構築により、療育効果が高まります。

施設単独で支援を考えるのではなく、障がい児支援の拠点になるよう努力します。

3.療育は集団指導と個別指導で効果を出す

療育は集団指導と個別指導で効果を出す療育のプログラムを策定するときには、集団指導用と個別指導用のプログラムにわけて考えます。

集団指導には、どの学年にも共通して実施する、療育の中心プログラムを用意しましょう。幅広い年齢に対応できるよう、提供方法を工夫します。

一人ひとりの問題を解決する個別プログラムも必要です。障がい特性や困りごとは、一人ひとり異なります。集団指導だけでは、満足な療育を提供できません。

集団指導と個別指導を組み合わせることで、大きな効果が発揮されます。

3-1.集団指導は社会性獲得に大きなメリットがある

集団指導のメリットは、コミュニケーション能力や社会性の獲得です。

同じプログラムを複数人でおこなうことで

・集団の一員として自己を捉える力

・自分の役割を考える力

・他者と協力する力

などが育まれます。

友達とコミュニケーションを取りながら進めるうちに、徐々に社会性が獲得できるでしょう。

注意したいのは、障がい特性や発達段階で目標を変えることです。全員が同じようにできる必要はありません。一人ひとり楽しみながら達成できるよう、提供方法を工夫します。

成功体験が積めるので、子ども達は喜んで取り組むでしょう。

3-2.一人ひとりに寄り添うには個別指導が必須

一人ひとりに寄り添うには、個別指導プログラムの策定が欠かせません。障がい特性を静め、困りごとが解決できるよう、効果的なプログラムを策定しましょう。

個別のプログラムは、好きなものや、夢中になれるものの発見にもつながります。

発達障がいの子どもには、独特な感受性や表現力があることも多くあります。療育プログラムにより個性を伸ばすことで、秘められた才能が開花するかもしれません。

療育で伸ばした個性は、自己の確立や、将来の職業選択に影響します。社会的な自立を促すきっかけになるでしょう。

4.発達障がいの未就学児に効果的な療育プログラム

発達障がいの未就学児に効果的な療育プログラム児童発達支援で提供する、未就学児向けのプログラムを6つ紹介します。

発達障がいの子どもは、障がい特性の影響で、発達の凹凸が大きい傾向があります。保育所や幼稚園で集団に入ると、ほかの子どもとの比較から、心配が多々出るでしょう。

療育は、子どもや保護者の心配に寄り添います。凹凸が生じがちな部分にアプローチし、解決に導きます。

就学までに、子ども達の困難をできるだけ減らせるよう、有効なプログラムの策定に努めましょう。

4-1.身体を動かす運動遊び

運動遊びは、楽しく身体を動かす遊びです。

  • 身体の発達が遅い
  • 集中力がない
  • 不器用
  • 運動能力が低い

などの問題解決が期待できます。

鉄棒や跳び箱を使った遊びから、道具が不要の体操まで、種類はさまざまです。障がい特性や発達段階にあわせ、無理のない形で提供されます。子ども達が楽しめる遊びであることが重要です。

縄跳びを提供する場合、

・両足を揃えたジャンプ

・手足をグーパーさせながらのリズム取り

など、できそうなことから取り組みます。

遊びの感覚が消えないよう、動物の真似を取り入れる、ゲームにするなどの工夫も必要です。

遊んでいるうちに、身体能力が向上し、できることが増えるでしょう。

  • 箸が上手に使えるようになる
  • 整理整頓できるようになる

など、家庭で実感しやすい変化も現れます。

4-2.感覚の過敏さを整える素材遊び

感覚の過敏さを整える素材遊び素材遊びは、身の回りのさまざまなものに手や足で触れながら、感触を楽しむ遊びです。

屋内なら

  • 粘土
  • スライム
  • ゴム人形
  • 伸び縮みするボール

などの道具で、感触の違いを楽しめます。

屋外なら

  • どろんこ遊び
  • 砂遊び
  • 水遊び

など自然の感触が楽しいでしょう。

発達障がいの子どもは、感覚に問題を抱えることがあります。外部刺激に必要以上に強く反応したり(感覚過敏)、どんな刺激にも無反応だったり(感覚鈍麻)と、脳が感覚をうまく処理できません。(※)

脳が感覚を処理しきれないと、運動能力や言語の獲得が円滑に進まなくなる可能性があります。素材遊びにより、感覚の適切な処理を鍛えます。

触ることを強く嫌がる子どもには、強制せず、できることから取り組むようにしてください。

※注)主に自閉スペクトラム症(ASD)の症状です。

関連記事:療育の遊びはなにが良い?子どもの力を引き出す遊びの種類を紹介

4-3.固有受容覚・前庭覚をきたえるトランポリン

固有受容覚・前庭覚をきたえるトランポリン未就学児にはトランポリンもおすすめです。

トランポリンは、固有受容覚、前庭覚を鍛えます。

固有受容覚は、身体の位置や動き、力の入れ具合を感じる感覚です。前庭覚は、身体の傾きやスピード、回転を感じ取ります。

どちらの感覚が欠けても、円滑に身体を動かせません。ものを扱うときに力加減がわからなかったり、走ると転んだりと、不器用さが露呈されるでしょう。

トランポリンで跳ねている間は、自分の体を強く意識します。固有受容覚を鍛えるのに最適です。連続して跳ねるスピード感は、前庭覚も刺激します。

楽しく身体を動かしているうちに、適切な感覚が身につきます。

4-4.協調運動を促す紐通しやボール遊び

紐通しやボール遊びは、協調運動の力を培います。

協調運動とは、五感や手足の動きから伝わる情報をまとめ上げ、運動へ導く脳機能です。刺激を感じても、脳が適切に処理できなければ、身体は動きません。

発達障がいの子どもは、協調運動に問題を抱えがち(※)です。療育で慣らすことで、苦手意識を払拭します。

紐通しは、目で見た情報を脳で処理し、手の動きに結びつけます。指先の巧緻性が上がり、集中して作業に取り組めるようになるでしょう。

ボール遊びは目と手、足の協調運動です。視覚情報からボールの位置を判断し、手足の運動に結びつけなければなりません。投げる・蹴るときの強さの調整や、方向の見定めなど、身体感覚の向上にもつながります。

※注)主に発達性協調運動障がい(DCD)の症状です。

4-5.想像力を培うごっこ遊び

室内で気軽にできる療育は、ごっこ遊びがおすすめです。

  • 身近なものをほかのものに見立てる「見立て遊び」
  • 他者と世界を共有して遊ぶ「役割遊び」

など、年齢により遊びの内容に差をつけると良いでしょう。想像力が培われ、コミュニケーション能力や、表現力を獲得するきっかけになります。

発達障がいの子どもは、表現が特殊(※)です。

ごっこ遊びでも、延々と同じ動作を繰り返すことがあります。「ごっこ遊びができないのではないか」と捉えるのではなく、表現の特殊性を理解し、見守りましょう。

手助けが必要なのは、他者と遊びの世界を共有するときです。発達障がいの子どもは、豊かな世界を想像しても、他者に伝える表現力がありません。

手助けをしないと、コミュニケーション能力が獲得できないまま終わってしまいます。職員が仲立ちすれば、子どもどうしで遊べるようになるでしょう。

※注)主に自閉スペクトラム症(ASD)の症状です。

関連記事:発達障がいの子どもをごっこ遊びに導くポイントと遊びの具体例

4-6.ことばのトレーニング

保育所や幼稚園に通うようになると、ことばの遅れを自覚しやすくなります。言語の獲得が進まず、保護者は悩みを抱えがちです。

ことばのトレーニングにより、発声・発話を促し、他者とことばでコミュニケーションが取れるようになります。

トレーニング内容は、障がい特性や、発達段階に応じて決定します。

声をうまく出せない子どもには、

・発声の姿勢や息の出し方の練習

・口の運動

・深呼吸

などに取り組みます。

舌や喉の適切な動かし方が習得できるでしょう。

他者との会話が進まない子には、

・コミュニケーションに必要な言葉

・言葉を発する場面

を教えます。聞く力も養いながら、少しずつ会話に取り組みます。

(参照:ことばのトレーニング チラシ | こどもプラス資料)

4-6-1.ことばの意味理解にはフラッシュカードが役立つ

フラッシュカードは、単語を発音しながら、絵や写真のカードを素早く見せ、記憶させるツールです。視覚情報と単語を結びつけ、脳にインプットするのに役立ちます。

会話には語彙力が必要です。フラッシュカードでことばを覚えていれば、発言の幅も、理解の範囲も広がります。

5.発達障がいの小学生に効果的な療育プログラム

発達障がいの小学生に効果的な療育プログラム発達障がいの小学生に効果的な療育プログラムを5つ紹介します。

小学生は学校での集団生活が始まるため、コミュニケーションや集団行動に困難を抱えがちです。障がい特性と向き合いながら、協調性を高められるよう支援しましょう。

子どもの「好き」を見つける手助けも大切です。

発達障がいの子どもは、学校で孤立することや、先生からの叱責を受けることが多々あります。個性を受け入れられない環境では、自己肯定感が育ちません。

夢中になれるものをつくり、成功体験が重なれば、自尊感情が育ちます。将来の自立や職業選択にも、良い影響を与えるでしょう。

5-1.複数人でおこなう運動遊び

複数人で協力しておこなう運動遊びを取り入れましょう。コミュニケーションの悩みを解決し、他者と協力する力が育ちます。

ルールと役割を決め、ボール遊びや大縄、ゲームなどをおこないます。ポイントは、チームで動くことです。

チームで動くには、仲間の立場を考える必要があります。発達障がいの子どもは、他者の気持ちを想像するのが苦手(※)です。

初めは職員が関係を取り持ちます。子どもどうしの協力体制をつくりましょう。慣れてくれば、仲間と円滑にコミュニケーションが取れるようになるでしょう。

仲間と同じ目標を達成するうちに、共感する力も身につきます。

※注)主に自閉スペクトラム症(ASD)の症状です。

5-1-1.学習サポートで運動療育の効果がわかる

小学生におすすめしたいのが、運動遊びの後に学習サポートをおこなう手法です。

運動は脳を活性化し、覚醒させる効果があります。脳が覚醒した状態で勉強に取り組むと、集中力が高まります。能率が上がり、学習効果も期待できるでしょう。

発達障がいの子どもは、注意力が散漫で、集中が難しいこと(※)があります。集中力を高める運動は、障がい特性の鎮静に有効です。

普段集中していられない子どもも、運動の後なら落ち着いて勉強に取り組めるかもしれません。

※注)主に注意欠陥・多動(ADHD)の症状です。

関連記事:注目される運動療育!療育の軸としての柳沢運動プログラム

5-2.絵画・音楽などの表現活動

絵画や音楽などの表現活動は、子ども達の想像力を引き出します。自由に感情を表出するきっかけになるでしょう。

言葉では伝えられなくても、絵や音楽なら感情を伝えられることがあります。発達障がいの子どもは、想像の世界を伝えるのに苦労しがちです。

絵や音楽は、発達障がいの子どもにとって有効な伝達手段になるかもしれません。

子どもが日常生活でストレスを抱えている場合、自由な表現でストレスを発散できる可能性もあります。

絵画は自由に描いてもらうのが一番です。きっかけがないと取り組みにくい子には、家族や友達の絵など、描きやすいテーマを与えましょう。

音楽では、好きな楽器を自由に演奏してもらいます。曲になる必要はありません。楽器ごとの音色や、音の変化を楽しみます。好きな曲があるときは、音源にあわせて歌うのも良いでしょう。

こちらのInstagramは、こどもプラスで開催する音楽イベントです。楽器ごとのチームに分かれて演奏をおこないました。活動の参考にしてみてください。

芸術での自己表現が日常になれば、徐々に言語表現にも意識が向くでしょう。

5-3.ビジョントレーニング

ビジョントレーニングは、目でものを正確に捉える力や、目と身体の協調運動の力を高めるトレーニング方法です。

ものを見る力が弱いと、以下の困難に直面します。

・文章を読み飛ばしてしまう

・板書をうまく書きとれない

・文字の習得に時間がかかる

・空間把握ができず、図形の問題が苦手

・ものとの距離感がわからない

小学校に入り本格的に勉強が始まると、困難を自覚しやすくなります。可能ならば、未就学児からトレーニングを開始すると良いでしょう。

トレーニングでは、

  • 目と手を同時に動かし、線や物に追従する
  • ある一点から一点へ、視線を素早く動かす
  • 両目を揃えて動かし、特定のものを見る

などの目標を立てます。特性や発達段階に応じて実施します。こどもプラスが実施するビジョントレーニングの一例を、Instagramで紹介しているのであわせてご覧ください。

トレーニングを進めるうちに、周辺視野が広くなり、空間認識能力も向上します。文字や絵が上手に書けるようになり、集中力もつくでしょう。

(参照:ビジョントレーニング チラシ | こどもプラス資料)

5-4.社会性を学ぶ買い物体験

施設の外で買い物体験をおこなうのも良い方法です。

発達障がいの子どもは、自分で買い物をする機会は多くありません。注意力の欠如や、新たな挑戦を好まない特性が、買い物に向かないからです。

施設に通う家庭は共働きが多く、子どもと日常的に買い物に行く親も多くはないでしょう。施設で提供する機会が、子どもにとって貴重な経験になります。

小学生の目標は、社会経験を積むことです。

  • ものを入手するにはお金が必要なこと
  • 労働に従事する人がいること

などを実感します。買い物体験の様子をこどもプラスのInstagramで紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

職員の手助けを得ながらやり遂げることで、社会の一員としての自信もつきます。

あらかじめルールや禁止事項を教え込み、事故がないよう注意しましょう。

5-5.プログラミングや動画編集など専門的活動

5-5.プログラミングや動画編集など専門的活動発達障がいの子どもは、興味のある分野、好きなものには高い能力を発揮することがあります。

プログラミングや動画編集は子どもが熱中しやすいため、適性があれば得意分野にできる可能性があります。

子ども向けには、マインクラフトを利用したプログラミング教材がおすすめです。ゲームとしての知名度があり、子ども達の興味を喚起できます。

初歩から上級まで多彩なプログラミング教材があるため、徐々にレベルアップすると良いでしょう。

動画編集では、filmora がおすすめです。無料で利用でき、サンプルも豊富です。

子ども達は普段から動画メディアに触れているため、自分で編集できるプログラムは魅力的でしょう。

6.発達障がいの中学生・高校生に効果的な療育プログラム

発達障がいの中学生・高校生に効果的な療育プログラム発達障がいの中学生・高校生に効果的な療育プログラムを6つ紹介します。

中学生、高校生への療育は将来につなげる大きな役割があります。社会的自立を促進し、就労に結びつけます。ソーシャルスキルトレーニング(SST)を中心に、将来に役立つ幅広いプログラムを用意しましょう。

小学生の療育で見つけた好きなもの、興味のある分野を深め、自立や就労につなげられれば理想的です。

6-1.ソーシャルスキルトレーニング(SST)

SSTは、社会生活のスキルや、人との適切な関わり方を学ぶプログラムです。

発達障がいの子ども達は、中高生でも対人関係に不安を感じていることが多々あります。集団での暗黙の了解や、仲間との適切な距離感が理解しづらいのです。

社会に出る前に、人との適切な関わり方やマナー(作法)が習得できるよう、具体的な場面を想定しながらトレーニングします。

プログラムは、対人場面のロールプレイを中心に据えると良いでしょう。中学生は学校生活を、高校生は仕事の場面を想定し練習します。

<高校生向けロールプレイの例>

・会社の面接に行く

・初めて配属された部署に出社する

・かかってきた電話に出る

・取引先と名刺交換をする

・上司に仕事の詳細を聞きに行く

適切な振る舞いやビジネスマナーの習得に努め、社会で生き抜く力を培います。

関連記事:需要が高まる!中高生を対象とした放課後等デイサービス

6-2.通勤トレーニング

学校を出た後は、自分で通勤しなければなりません。電車やバスの乗り方や、切符の買い方を実践します。

ルールや禁止事項を確認しながら、子どもと外に出かけましょう。初めは職員がお手本を示し、子どもに真似してもらいます。何回か繰り返すうち、「職員がいなくても大丈夫」と言える自信がつくでしょう。

6-3.仕事で役立つパソコン基礎トレーニング

多くの仕事ではパソコンを使用します。パソコンの基本的な操作を学ぶことは、社会に出る上で欠かせません。。

発達障がいの子どもには、パソコンの操作が苦手な子もいるでしょう。プログラムは、Windowsの基本的な使い方から始めます。文書入力や表計算を当面の目標にしましょう。

一人ひとりのレベルとニーズにあわせ、得意な子には次項の専門的な活動をお勧めします。

6-4.Webデザイン・動画制作など仕事に結びつく活動

パソコン操作が得意な子どもには、将来の就労につながるよう、専門分野の習得を促します。

一例として、

  • Webデザインを実践する
  • 動画編集を極め、YouTubeで公開する

などの取り組みが考えられます。他者から評価される経験が増えれば、将来の目標を明確に打ち立てられるかもしれません。社会で生きる自信もつくでしょう。

6-5.広く興味を育てる体験学習

将来のために興味を育てるのも大切です。自然に触れる経験や、職場見学などで子どもの興味をくすぐりましょう。

こどもプラスでは、教室ごとにさまざまな体験学習を策定しています。魚を釣って食べることで食育体験をおこなった教室や、地元企業の訪問学習で「せんべい焼き体験」をおこなった教室もあります。

興味の広がりは、将来の夢の設定や、価値観の構築に役立ちます。

(参照:魚釣り体験 | こどもプラスつくば

(参照:おせんべい焼き体験学習 | こどもプラス宇都宮

こどもプラスでおこなった就労B型事業所の見学の様子はこちらをご覧ください。

6-6.社会生活を見据えた買い物体験

中高生でも買い物体験を実施します。

子ども達は高校卒業後、自分の責任でお金を管理しなければなりません。金銭感覚や、円滑な買い物方法の習得は必須です。

なににどのくらいのお金がかかるか、実際に商品を手に取りながら確認しましょう。

収入と支出の意識や、クレジットカードの使い方・注意点なども説明します。

6-7.就労を意識した職業体験

協力企業をつくり、職業体験ができると、就労支援に理想的です。

現場の雰囲気を肌で感じることでしか、実感できないこともあります。憧れていた業界でも、実際に働いた結果、理想と大きく異なることもあるでしょう。

SSTや、通勤トレーニングの成果を試すこともできます。

実際の勤務で困難にぶつかる点は、訓練が不十分だった部分です。施設でもう一度、重点的な支援をおこないましょう。

さいごに

療育では、一人ひとりの障がい特性に寄り添い、困難を解決することが大切です。できるだけ多彩なプログラムを用意し、ニーズに応えなければなりません。

この記事では、年代別の効果的なプログラムを紹介しました。プログラムの中には、簡単には実施しづらいものもあります。

ことばのトレーニングを高いレベルで提供しようとすれば、言語聴覚士が必要です。音楽で子どもの能力を引き出すには、音楽療法士もほしくなります。プログラミングやSSTを教えられる人材も稀でしょう。

こどもプラスでは、ことばのトレーニングの人材を育てる「ことばの療育資格講座」や、運動保育士を養成する実践講座など、人材育成に活用するプログラムを用意しています。

ご興味のある人は、お気軽にご相談ください。個別に対応させていただきます。

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