「放課後等デイサービスの開業に興味があるけれど、何から始めればよいのか分からない」
「どのような条件をクリアすれば開業できるのか知りたい」
そんな方のために、放課後等デイサービスの開業に必要な基本知識をまとめました。
この記事では、対象となる子どもたち、開業に必要な条件、申請手続きの流れ、資金計画、そして収益モデルまで、開業前に知っておくべき重要なポイントを分かりやすく解説します。
放課後等デイサービスとは?
放課後等デイサービスは、2012年4月に児童福祉法に基づいて創設された障害児支援事業です。障がいのある子どもたちが、学校の授業終了後や休日、長期休暇中に通う施設で、生活能力の向上や社会との交流促進を目的としています。
どんな子どもが対象になるのか
放課後等デイサービスの利用対象となるのは以下の条件を満たす児童です:
手帳を持っていない場合でも、医師の意見書や発達検査の結果などにより、市町村が支援の必要性を認めれば利用できます。
どんな支援を行うのか
放課後等デイサービスでは、個々の子どもの特性や発達段階に応じて以下のような支援を行います:
開業に必要な条件と基準
放課後等デイサービスを開業するには、厚生労働省が定める人員基準、設備基準、運営基準を満たし、都道府県または政令指定都市から指定を受ける必要があります。
人員配置と必要な資格
管理者
児童発達支援管理責任者
児童指導員・保育士
職種 | 必要資格 | 主な要件 |
---|---|---|
児童指導員 | 児童指導員任用資格 | 大学で社会福祉学等を修めて卒業など |
保育士 | 保育士資格 | 保育士登録証が必要 |
機能訓練担当職員 | 理学療法士等 | 機能訓練を行う場合のみ配置 |
施設の基準(広さや設備など)
必要な設備・部屋
面積基準
法的な最低面積の規定はありませんが、一人当たり2.47㎡以上を確保することが望ましいとされています(児童発達支援センターの基準を参考)。
開業までの流れを簡単に解説
放課後等デイサービスの開業には、一般的に6ヶ月から1年程度の準備期間が必要です。
事業計画から申請までのステップ
事業計画の策定(開業6ヶ月前)
法人設立(開業5ヶ月前)
物件探し・契約(開業4ヶ月前)
人員確保(開業3ヶ月前)
内装工事・設備導入(開業2ヶ月前)
行政への指定申請の手順
事前相談・協議
指定申請書類の提出
実地調査
指定の決定・事業開始
指定申請から指定までは約2ヶ月程度かかります。事業開始は毎月1日からとなるため、逆算してスケジュールを組む必要があります。
開業資金と必要経費の目安
放課後等デイサービスの開業には、初期費用と運転資金を合わせて1,200万円~1,500万円程度の資金が必要とされています。
初期費用の主な項目
費用項目 | 金額目安 | 備考 |
---|---|---|
法人設立費用 | 20~25万円 | 株式会社の場合 |
物件取得費用 | 100~200万円 | 敷金・礼金・仲介手数料等 |
内装工事費 | 200~400万円 | バリアフリー対応含む |
備品・設備費 | 100~200万円 | 療育教材・事務機器等 |
車両費 | 100~200万円 | 送迎車両(中古車) |
その他 | 50~100万円 | 広告費・研修費等 |
合計 | 570~1,125万円 | 地域・規模により変動 |
運営にかかる毎月のコスト
開業後の毎月の運営費用は、スタッフの人数や事業所の規模によって変わりますが、概ね以下のような費用がかかります。
費用項目 | 月額目安 | 備考 |
---|---|---|
人件費 | 80~120万円 | 職員3~4名分(社会保険料含む) |
家賃 | 10~20万円 | 地域により大きく差がある |
光熱費 | 3~6万円 | 電気・ガス・水道 |
車両費 | 3~5万円 | ガソリン代・車検・保険等 |
通信費 | 2~3万円 | 電話・インターネット |
その他 | 5~10万円 | 消耗品・保険・研修費等 |
合計 | 103~164万円 | 定員10名の場合の目安 |
放課後等デイサービスは、サービス提供月から2ヶ月後に給付費が支払われます。開業から収入が入るまでの期間(約3ヶ月分)の運転資金を確保しておくことが重要です。
開業後の収益の基本モデル
放課後等デイサービスの収入は、主に国民健康保険団体連合会(国保連)からの給付費で構成されており、安定した収益構造が特徴です。
収入の仕組み(給付金・加算など)
基本報酬
2024年度の報酬改定により、支援時間に応じた時間区分制が導入されました。
時間区分 | 平日(授業終了後) | 休日・長期休暇 |
---|---|---|
3時間未満 | 約400単位 | 約600単位 |
3時間以上5時間未満 | 約600単位 | 約800単位 |
5時間以上 | 約700単位 | 約1,000単位 |
※1単位 = 地域区分に応じた単価(10.00円~11.40円程度)
主な加算項目
利用者負担
給付費の9割は公費負担、1割が利用者負担となります。ただし、世帯の所得に応じて月額上限が設定されており、多くの世帯では月額4,600円が上限となります。
安定運営のためのポイント
収益モデル例(定員10名の場合)
約180万円
月間売上目安(稼働率80%の場合)
約130万円
月間運営費目安
約50万円
月間営業利益目安
80%
損益分岐稼働率
安定運営のための重要ポイント
放課後等デイサービスの事業所数は年々増加しており、一部の地域では総量規制が実施されています。開業前に地域の競合状況を十分に調査することが重要です。
放デイの立ち上げは「こどもプラス」の開業支援サービス
放課後等デイサービス事業の開業には、半年から1年ほどの準備期間が必要になります。法人設立や指定申請といった行政手続き、物件・備品等の手配、職員の採用など、やるべきことは多岐にわたります。
『こどもプラス開業支援』では、運動療育に特化した放課後等デイサービスの開業ノウハウを基に、指定申請サポート、研修プログラム、運営指導など、開業から運営まで一貫したサポートを提供しています。
「運動療育のプログラムが分からない」、「差別化できる特色ある事業所を作りたい」、「開業後の安定運営が不安」といった悩みをお持ちの方は、ぜひこどもプラス開業支援へご相談ください。
まとめ
放課後等デイサービスの開業には、対象児童の理解、法的基準の遵守、適切な資金計画、そして安定した運営モデルの構築が不可欠です。
特に重要なのは以下の点です:
放課後等デイサービスは、障がいのある子どもたちとその家族にとって重要な社会資源です。適切な準備と運営により、社会貢献と事業の両立が可能な魅力的な事業といえるでしょう。
開業をご検討の際は、経験豊富な専門機関のサポートを受けることで、スムーズな開業と安定した運営の実現が期待できます。