希少な人材「児童発達管理責任者」の採用を成功させる効果的な募集方法
児童発達支援管理責任者は、放課後等デイサービスの教室運営・療育の中心となる重要な存在です。
児童発達支援管理責任者なしでは個別支援計画の作成・見直しができず、教室運営に支障をきたします。(※注1)
しかし、児童発達支援管理責任者になるには長い年月と豊富な経験が要されるため、資格保有者が多くありません。
求人を募集しても人材が集まりにくく、「児童発達支援管理責任者が見つからない」「採用が難しい」との声をよく聞きます。
児童発達支援管理責任者(以下、児発管)の採用を成功させるには、いくつかのポイントがあります。こどもプラスでは採用活動に以下の工夫を取り入れています。
- 求人の出し方を工夫し、「児発管希望者」ではなく必要要件を満たす人材を採用する
- 高齢者施設などの「サービス管理責任者」経験者のうち、児発管の必要要件を満たす人材を採用する
- 職業紹介事業に登録し、マッチングをしてもらう
- 求職者向けの説明会や見学会などのイベントを実施する
これらのポイントを押さえた採用活動を行えば、児発管の採用も難しいことではありません。
ただし、条件が1つだけあります。「管理者が児発管の資格取得要件を熟知していなければならない」ことです。
資格取得要件の詳細を理解せずには、求人広告に工夫を凝らせません。
今回は、こどもプラスが長年の採用実績から編み出した「求人の工夫」を紹介します。また、資格要件である「実務経験」「研修要件」への理解が必要です。こちらも詳しくを説明します。
希少な児発管をスムーズに採用し、「児発管不在」の心配がない教室をつくりましょう。
※注1)児童発達支援管理責任者の重要性は、『児童発達支援管理責任者を採用する重要性と離職を防ぐ支援体制』で詳しく解説しています。未読の方は先にご覧ください。
1.児童発達支援管理責任者の募集・採用方法
「募集をかけても児発管が集まらない・・・」とお悩みの管理者の方も多いのではないでしょうか。
しかし闇雲に求人募集をかけたところで、児発管は見つかりません。なぜなら、児発管自体の絶対数が少ないからです。
児発管になるには、5年以上の実務経験と所定の研修の修了が必要です。
研修まで終えている人は少なく、工夫を凝らした採用方法をとらなければ人が集まりません。
この章ではこどもプラスが実践する採用方法をご紹介します。少しの工夫で人を集める求人原稿を作成できます。
ただし、採用にさいしてはミスマッチが起きる注意点もあります。
ここでは離職しやすい人の特徴もお伝えしますので、採用選考時の参考にしてください。
児発管がいくら希少な人材であっても、「児発管の要件を満たすなら誰でもいい」というスタンスでは失敗します。
ミスマッチで児発管の離職が起きれば、教室の運営は立ち行かなくなります。自社の社風に見あう人材を見極め、離職を防止する手段を講じなければなりません。
1-1.児発管は絶対数が少ないからこそ集め方に工夫がいる
児発管の絶対数は少なく、採用がスムーズに進むことは稀です。
とくに放課後等デイサービス(以下、放デイ)や児童発達支援の数が少ない地域では、「児童発達支援管理責任者」の役職名で募集をかけても人材が見つかりません。
こどもプラスでは、この問題を解決するため、いくつかの工夫を行っています。
まずは求人サイトに掲載するタイトルの工夫です。
- 児発管の必要要件を満たす資格・経験保有者を募集する
- 「サービス管理責任者」経験者を募集する
これらの方法で、求人サイトに掲載した募集ページの閲覧数を増やせます。
児発管の必要要件を満たす資格・経験者を募集する
資格取得要件を満たす人材を採用する方法です。
たとえば
「保育士 現場経験5年以上の方募集!」
と求人タイトルに記載します。
保育士として5年以上のキャリアがある人は、研修受講歴次第ではありますが、児発管になれる可能性があります。
このタイトルならば、ほかの教室が掲載している求人ページよりも差別化ができ、対象者の母数も増えるため、求職者にクリックしてもらえる確率が上がります。
ただし、この募集方法には注意点もあります。児発管に必要な研修を済ませていない場合、採用後に会社から申し込みを行い、基礎研修(計26時間)・実践研修(計14.5時間)を受けてもらわねばなりません。
さらに基礎研修と実践研修の間には2年間の「相談支援業務または直接支援業務」の経験(放デイでの勤務で満たせます)が必須です。
あくまでも「候補者」として雇い、育てるスタンスにしかならないのです。
この場合、勤務要件には
「研修未受講者は、必要な研修を受講し、児発管を目指してもらうこと」
を明記しましょう。
また、近隣の保育所と比較して、給与の高さをアピールするのもポイントです。保育士の給与は、皆さんが思っているほど高くはない現状があります。
ただ、保育士は保育所にしか仕事がないと思っている人が多いので、保育士の方に届くようなキーワードを選び、アピールすることが大切です。
求職者から問い合わせがあった場合、貴社の理念や療育方針で共感を得られるような話をして、保育士の採用ができるよう努めてください。
「サービス管理責任者」経験者を募集する
「サービス管理責任者」は高齢者施設などの事業所で、サービスの管理や品質向上のために働く役職です。
児発管よりも認知度が高く、人が集まりやすい傾向があります。児発管と必要要件の多くが共通しており、そのまま働いてもらえる場合もあります。
ただし、ここでも注意すべきことがあります。児発管は高齢者施設での経験だけでは要件を満たせません。児発管には以下いずれかの実務経験が必要だからです。
- 3年以上「障がい者や子どもを対象とする施設」で相談支援業務にあたること
- 3年以上「障がい者や子どもを対象」に直接支援業務にあたること
したがって「サービス管理責任者」の名前で募集する場合、勤務要件に、
「障害者や子どもを対象とした施設での勤務経験3年以上」
の記載を忘れてはなりません。
また、求人サイトへの掲載方法のほかにできる工夫を、以下で2つ提案します。
職業紹介事業への登録
職業紹介事業は、企業と求職者をマッチングするサービスです。
企業・求職者双方がサービス登録を行うことで、事業者が最適なマッチングを行い、双方に提案します。顔あわせを行い、同意すれば雇用契約となる仕組みです。
何人もの転職エージェントが在籍し、職業紹介事業を強く押し出している求人サイトが多数あります。
このサービスには以下のメリットがあります。
- 必要要件を満たす人材だけを的確にピックアップしてもらえる
- 採用プロセスを任せられる
- 成果報酬型の事業者が多く、コストが低く済む場合が多い
職業紹介を利用する理由の1つは、面接をするチャンスを増やすことです。
面接をした際にヒアリングをすることで児発管の考え方や傾向を掴んで、求人内容をブラッシュアップしていくことが可能です。
児発管の採用活動は難しいため、採用のプロから協力やヒントを得られれば安心感があります。
求職者が多く登録しているサイトを探せば、それだけ可能性も広がります。
求職者向けの説明会や見学会などのイベント実施
求職者向けの説明会や見学会を開くことで、児発管の仕事を知ってもらい、魅力を訴求できます。
こどもプラスでも、「一度くわしい話を聞きたい」との声をいただいております。
説明会では児発管から仕事内容や魅力、苦労などの話を直接聞けるとよいでしょう。求職者が児発管に親近感を覚えることで、魅力が伝わりやすくなります。
見学会では教室の雰囲気が伝わるよう、ありのままの仕事ぶりを見てもらいましょう。言葉で説明するよりも、運営方針や療育方針が求職者にわかりやすく伝わります。
教室で説明会や見学会を開きづらいようであれば、地域で行われる転職フェアなどに参加するのも良い方法です。
求職者が一堂に会するため、自社をアピールし、児発管の仕事を知ってもらうチャンスです。
ただし、出展に高い費用がかかったり、業種が違うとの理由で出展できない場合もあるので、詳細についてお聞きしたい場合は、個別相談会も開催しています。
採用に関する面談は、こちらからお問い合わせください。
1-2.辞める人・潰れる施設の事例と解決方法
児発管は希少だからこそ、採用での失敗は極力避けなければなりません。
せっかく雇った児発管がすぐに離職してしまっては、いつまで経っても採用の苦労が絶えません。
私たちは長年離職に結びつく児発管からの意見を分析し、解決を図ってきました。児発管の離職理由に多いのは以下の4点です。
- 業務量
- 人間関係
- 療育方針・運営方針
- トップもしくは会社の上層部に放置されていると感じる
このうち「業務量を減らす方法」「人間関係の問題解決」は『児童発達支援管理責任者を採用する重要性と離職を防ぐ支援体制』で解説しています。
ここでは「療育方針・運営方針」をめぐる問題に絞ってお話しします。
療育方針・運営方針の問題は、採用時に児発管・教室双方がきちん意見を出しあい回避しなければなりません。会社の考え方や教室の雰囲気にあわない人を採用しても、お互いに損をします。
療育方針に関しては、これまでの経験から独特の主義主張を持っている人も多くいます。
あなたの教室の療育方針にそれがあうのか、あるいはこれからあわせられるのか、念入りに確認しなければなりません。
また療育への想いが強すぎるために、経営的に損を取ってでも理想の療育を推し進めようとする人もいます。
経営的な視点で収益を考えられなければ、療育以前に会社が潰れます。潰れる施設にならないために、経営的な視点の有無も確かめましょう。
1-3.常に人材募集をかけておく必要性
児発管の必要要件を満たす資格・経験保有者を採用する場合、児発管に必要な研修を受けていないことが多くあります。
基礎研修と実践研修の間には、2年間の実務経験を要します。
すぐに児発管になれるわけではないため、児発管の募集は常にかけておくことをおすすめします。
「未来の児発管候補者」として資格・経験保有者を雇い、放デイで働きながら研修を受講してもらうのです。
この方法には、次のようなメリットもあります。働いてもらううちに運営方針や療育方針が養われる点です。
「自社の社風にあった児発管」に育てられることで、離職を防ぎ、長く働いてもらうことにつながります。
離職を防ぐより詳しい方法も、『児童発達支援管理責任者を採用する重要性と離職を防ぐ支援体制』で説明しています。ご覧ください。
2.実務経験(児童発達支援管理責任者の資格要件)
児発管の効果的な募集をかけるには、資格を得る要件を管理者がよく理解していなければなりません。
児発管の資格取得までの流れは以下のとおりです。
①実務経験の要件を満たす
②要件を満たす2年前になったら基礎研修を受講(計26時間)
③2年間のOJT(On the Job Training。実際に勤務しながら訓練)
④実践研修の受講(計14.5時間)
①から④の流れを経て、ようやく児発管の資格が得られます。
ここではまず①の実務要件を説明します。
実務要件は3種類にわかれます。
A.相談支援業務の経験者
B.直接支援業務の経験者
C.有資格者としての業務経験者
ここからA→B→Cの順に説明します。
なお業務の範囲が各都道府県で異なる場合もありますので、所在する都道府県の「資格要件」もご確認ください。
こどもプラスにご加盟いただいた場合、教室の所在地に応じた情報を提供いたします。
なお、ここではわかりやすく資格要件をまとめ、一般に公開している、兵庫県のサイト(※注2)を参考に記載しています。あらかじめご了承ください。
※注2)(参考:「児童発達支援管理責任者の資格要件」│兵庫県) 2022年9月4日閲覧
2-1.相談支援業務の経験者
相談支援業務とは、高齢者や障がい者など日常生活に支障がある人や、18歳に満たない子どもに対し、日常生活の自立に関するさまざまな相談に応じ、助言指導などを行う業務です。
この相談支援業務を通算5年(900日)以上経験することで実務要件を満たせます。保険医療機関での勤務を除き、資格は必要ありません。
ただし、一点注意があります。以下の施設での勤務は除外し、3年(540日)以上の実務経験を積む条件があるのです。
<相談支援事業に必要な5年の実務経験のうち、これらの施設を除外し3年以上の実務経験が必要>
- 老人福祉施設
- 精神保健福祉センター
- 救護施設および更生施設
- 介護老人保健施設
- 地域包括支援センター
以下が相談支援業務の対象となる業務範囲です。複数の施設での勤務日数を合算可能です。
勤務場所 | 業務範囲・指定範囲 | 必要年数 |
(a)相談支援業務を行う事業所 | ・障がい児相談支援事業
・身体(知的)障がい者相談支援事業 ・地域生活支援事業 |
5年以上
(かつdを除く場所での3年以上の経験) |
(b)相談機関・支援機関・公的機関の相談窓口 | ・児童相談所
・児童家庭支援センター ・身体(知的)障がい者更生相談所 ・発達障がい者支援センター ・福祉事務所 ・保健所 ・市町村役場 |
|
(c)児童施設・障がい者施設 | ・障がい児入所施設
・乳児院 ・児童養護施設 ・児童心理治療施設 ・児童自立支援施設 ・障がい者支援施設 |
|
(d)高齢者施設や保健福祉施設など | ・老人福祉施設
・精神保健福祉センター ・救護施設および更生施設 ・介護老人保健施設 ・地域包括支援センター |
カウントできるのは2年まで。このほかの勤務場所(a〜c、e〜h)で3年以上の経験が必要 |
(e)保険医療機関 | ・社会福祉主事資格保有者(任用資格)
・訪問介護員2級以上(現在の介護職員初任者研修)に相当する研修修了者 ・国家資格(2-3参照)保持者 ・a〜d、f〜hに従事した期間が1年以上の者 |
5年以上
(かつdを除く場所での3年以上の経験) |
就労関連施設 | ・障がい者職業センター
・障がい者就業・生活支援センター |
|
(g)学校教育法第1条に規定する学校(大学を除く)で進路相談・教育相談に従事 | ・幼稚園
・小学校 ・中学校 ・義務教育学校 ・高等学校 ・中等教育学校 ・特別支援学校 ・高等専門学校 |
|
(h)その他 | ・これらの業務に準じると知事が認めた業務従事者 |
(参照:「児童発達支援管理責任者の資格要件」│兵庫県) 2022年9月4日閲覧
※弊社で勤務場所の区分を加えています。
2-2.直接支援業務の経験者
直接支援業務とは、障がい者や高齢者に介護や訓練を直接提供することです。
具体的な定義は以下のとおりです。
<直接支援業務とは>
- 身体または精神に障がいのある人に、入浴、排泄、食事などの介護を行い、本人や介護者に介護に関する指導を行う
- 日常生活での基本的な動作の指導、知識や技能習得の手助け、生活力向上に必要な訓練等を提供し、本人や介護者に必要な指導を行う
- そのほか職業訓練や職業教育などにかかわる業務を行う
これらの支援を所定の年数行うことで、児発管の実務要件を満たせますが、注意したいのは一般の職員と有資格者とで、必要な年数が変わることです。
一般職員:8年(1440日)以上
有資格者:5年(900日)以上
<有資格者の定義>
- 社会福祉主事資格保有者(任用資格)
- 相談支援の業務を行うために必要な知識および技術を修得したと認められる者(訪問介護員2級以上に相当する研修を修了した者)
- 児童指導員資格保有者(任用資格)
- 保育士
- 精神障がい者社会復帰施設指導員資格保有者(任用資格)
多くの放デイには児童指導員、保育士がいます。その人達が児発管になる場合は、通算5年以上の勤務で要件を満たせます。
またこれらの有資格者の場合、2-1でご紹介した「相談支援業務」と合算し「5年以上」でも要件を満たせます。
なお相談支援業務同様、一つ条件があります。以下の施設(業務)を除き、3年(540日)以上の実務経験を積まなければなりません。
<直接支援事業に必要な8年(有資格者は5年)の実務経験のうち、これらの施設(業務)を除外し3年以上の実務経験が必要>
- 老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 病院または診療所の療養病床
- 老人居宅介護等事業
- 特例子会社、重度障がい者を多数雇用する事業所における就業支援業務従事者
直接支援業務の対象となる業務範囲はこちらです。複数の施設での勤務日数を合算可能です。
勤務場所 | 業務範囲・指定範囲 | 必要年数 |
(a)介護・訓練を実施する施設 | ・障がい児入所施設
・助産施設 ・乳児院 ・母子生活支援施設 ・認可保育所 ・幼保連携型認定こども園 ・児童厚生施設 ・児童家庭支援センター ・児童養護施設 ・児童心理治療施設 ・児童自立支援施設 ・障がい者支援施設 |
一般職員:8年以上
有資格者:5年以上 (かつb、d、fを除く場所での3年以上の経験) |
(b)介護を実施する施設のうち高齢者対象、または病院 | ・老人福祉施設
・介護老人保健施設 ・病院または診療所の療養病床 |
カウントできるのは、
一般職員:5年 有資格者:2年 まで。ともに3年以上、b、d、fを除く場所での経験が必要 |
(c)介護・訓練を実施する事業 | ・障がい児通所支援事業
・児童自立生活援助事業 ・放課後児童健全育成事業 ・子育て短期支援事業 ・乳児家庭全戸訪問事業 ・養育支援訪問事業 ・地域子育て支援拠点事業 ・一時預かり事業 ・小規模住居型児童養育事業 ・家庭的保育事業 ・小規模保育事業 ・居宅訪問型保育事業 ・事業所内保育事業 ・病児保育事業 ・子育て援助活動支援事業 ・障害福祉サービス事業 |
一般職員:8年以上
有資格者:5年以上 (かつb、d、fを除く場所での3年以上の経験) |
(d)介護を実施する事業のうち高齢者対象 | ・老人居宅介護等事業 | カウントできるのは、
一般職員:5年 有資格者:2年 まで。ともに3年以上、b、d、fを除く場所での経験が必要 |
(e)医療機関、薬局など | ・保険医療機関
・保険薬局 ・訪問看護事業所 |
一般職員:8年以上
有資格者:5年以上 (かつb、d、fを除く場所での3年以上の経験) |
(f)障がい者雇用事業所 | ・特例子会社
・重度障害者を多数雇用事業所 での就業支援業務従事者 |
カウントできるのは、
一般職員:5年 有資格者:2年 まで。ともに3年以上、b、d、fを除く場所での経験が必要 |
(g)学校教育法第1条に規定する学校(大学を除く)で相談支援に従事 | ・幼稚園
・小学校 ・中学校 ・義務教育学校 ・高等学校 ・中等教育学校 ・特別支援学校 ・高等専門学校 |
一般職員:8年以上
有資格者:5年以上 (かつb、d、fを除く場所での3年以上の経験) |
(h)その他 | ・これらの業務に準じると知事が認めた業務従事者
・市町村からの補助金または委託で運営されている地域活動支援センター ・市町村からの補助金または委託で運営されている小規模作業所 |
参照:「児童発達支援管理責任者の資格要件」│兵庫県) 2022年9月4日閲覧
※弊社で勤務場所の区分を加えています。
2-3.有資格者が必要な業務の経験者
国家資格を保有し、通算5年以上業務に従事している場合は、相談支援業務、直接支援業務の実務要件が緩和されます。対象となる国家資格は次のとおりです。
<国家資格>
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む)、精神保健福祉士
これらの資格を持っている人の実務要件は以下のとおりです。
<国家資格保持者の実務要件>
次の①②をともに満たすこと。
①国家資格により業務に従事した期間が、通算5年以上あること
②相談支援業務または直接支援業務に該当する業務を通算3年以上行うこと
※相談支援業務と直接支援業務のどちらか、あるいは合算3年以上で可。
※ただし以下の施設(業務)は対象から除外する。
<対象から除外する施設(業務)>
- 老人福祉施設
- 精神保健福祉センター
- 救護施設および更生施設
- 介護老人保健施設
- 地域包括支援センター
- 病院または診療所の療養病床
- 老人居宅介護等事業
- 特例子会社、重度障がい者を多数雇用する事業所における就業支援業務従事者
3.研修要件(児童発達支援管理責任者の資格要件)
児発管になるには、実務要件に加え基礎研修・実践研修を修了しなければなりません。
基礎研修は要件を満たすまで2年残した状態から受講できます。
<基礎研修受講に必要な年数>
- 相談支援業務:3年(540日)
- 直接支援業務:6年(有資格者は3年)
- 国家資格保持者:相談支援業務または直接支援業務を1年
これは以下の流れで研修が進むためです。
①基礎研修(計26時間)
②OJT(On the Job Training、2年間)
③実践研修(計14.5時間)
*資格取得*
④5年ごとの更新研修(計13時間)
この②のOJTの存在がポイントです。
OJTとは「現任訓練」とも呼ばれ、実際に職場で実務に当たりながら、相談支援や直接支援のより実践的な経験を積みます。
放デイでは「2人目の児発管」として配置が可能で、個別支援計画の作成を行えます。
この期間が2年間あるため、OJTでの業務を加えてちょうど実務要件を満たせるよう、配慮されているのです。これによりスムーズに児発管を育成できます。
以下で各研修の詳細を説明します。
(参考「サービス管理責任者等研修(サービス管理責任者研修・児童発達支援管理責任者研修)について」│大阪府) 2022年9月4日閲覧
(参考:「相談支援専門員及びサービス管理責任者等の研修制度の見直しについて」│厚生労働省) 2022年9月4日閲覧
3-1.基礎研修について
基礎研修の内容は大きく2つにわかれます。
- 相談支援従事者初任者研修
- 児童発達支援管理責任者基礎研修
相談支援従事者初任者研修(講義のみ)
講義部分のみ受講で合計11時間受講です。内訳は次のとおりです。
・障がい者の地域支援や、児発管の役割:5時間
・障がい者の日常生活・社会生活を支援するための法律や、児童福祉法の概要、サービス提供プロセスなど:3時間
・相談支援のケアマネジメント手法:3時間
児童発達支援管理責任者基礎研修
講義と演習7.5時間ずつにわかれ、合計15時間を受講します。内容は次のとおりです。
・講義:支援提供の基本的な考え方や、支援提供プロセス、アセスメント、個別支援計画作成のポイントなど
・演習:個別支援計画の作成やモニタリングなど
これら2つの研修により、基礎研修修了となります。
このあとはOJT(On the Job Training)として、放デイの教室で働きながら「相談支援業務」または「直接支援業務」を2年間行います。
放デイでの仕事はどちらの要素も満たせるため、通常どおり働けば問題ありません。
なお、基礎研修は個人で申し込みができないため、必ず事業所から申し込んでください。研修は都道府県単位で指定事業者が行い、年に1〜2回の実施です。
3-2.実践研修について
OJTの2年間を終えると、ようやく実践研修を受講できます。
内容は、講義が1時間、残り13.5時間は講義と演習が組みあわされたものを受講します。
- 障がい福祉施策の最新の動向(講義のみ):1時間
- サービス提供に関する講義および演習:6.5時間
- 人材育成の手法に関する講義および演習:3.5時間
- 多職種連携・地域連携に関する講義および演習:3.5時間
これら14.5時間の受講で実践研修を終えられます。修了後は受講した都道府県から「修了証書」が発行され、めでたく資格取得となります。
3-3.更新研修について
児発管は資格認定されて終わりではありません。最新の児童福祉の動向を知り、より良い療育を利用者に提供する義務を負います。
そのため、資格取得後も5年ごとに更新研修(13時間)を受けなければならず、受講を忘れると資格を喪失します。
更新研修の内容は次のとおりです。
- 障がい福祉施策の最新の動向に関する講義:1時間
- サービス提供の自己検証に関する演習:5時間
- サービスの質の向上と人材育成のためのスーパービジョンに関する講義および演習:7時間
更新研修後にも「修了証書」が発行され、新たに5年間児発管として勤務できる証となります。
さいごに
児発管になるには、以下のプロセスを辿ります。
①実務要件を満たす
・相談支援業務:5年間(そのうち3年間は児童や障がい者に関連する業務に従業)
・直接支援業務(資格なし):8年間(そのうち3年間は児童や障がい者に関連する業務に従業)
・直接支援業務(有資格者):5年間(そのうち3年間は児童や障がい者に関連する業務に従業)
・国家資格保持者:「国家資格で5年勤務」+「相談支援業務または直接支援業務に3年間従事(※児童や障がい者に関連する業務に限る)」
②実務要件を満たす2年前から基礎研修の受講が可能。合計26時間の研修を受ける
③基礎研修後、相談支援業務または直接支援業務を2年間、児童や障がい者に関連する業務で体験する
④実践研修を受講。合計14.5時間
このように福祉業界での豊富な経験と、長い年月が必要とされる資格であるため、児発管を集めるのは容易ではありません。
こどもプラスでは求人を募集するさいに、求人広告で以下の工夫を行っています。
A.児発管の必要要件を満たす資格・経験保有者を募集する
B.「サービス管理責任者」経験者を募集する
ただしこれらの採用方法には注意も必要です。
A.実務要件は満たしていても研修まで受講していることは稀なため、「児発管候補者」の募集になることが多いです。長期的に採用計画を練り、継続的に児発管の募集をかけましょう。
B.高齢者施設での実務年数だけでは児発管の要件を満たせません。採用時に職歴に注意を払いましょう。
工夫を行うのは求人広告だけではありません。求人のかけ方や、求職者の注意を向けさせる努力も有効です。
- 職業紹介事業に登録し、マッチングをしてもらう
- 求職者向けの説明会や見学会などのイベントを実施する
これらの方法をとることで、希少な児発管を効率的に集めることができます。面接では、応募者・教室双方が療育や運営への方針を提示しあい、ミスマッチを防ぎます。できるだけ、
- 自社の社風にあう人
- 経営的視点を持つ人
を選ぶようにしましょう。
児発管のより詳しい情報は、個別に提供させていただきます。
こどもプラスでは、所在地に応じた実務要件、研修内容などの具体的な情報提供が可能です。また児発管の募集方法についても、状況に応じたアドバイスをいたします。
児発管の採用に困っている方、児発管について理解しきれない方、これから管理者兼児発管を目指したい方は、「お問い合わせページ」よりぜひ一度ご連絡ください。