送迎加算【2024年度改定】放デイの要件と単位数を解説

送迎加算【2024年度改定】放デイの要件と単位数を解説

放課後等デイサービス(放デイ)の運営において、送迎加算は重要な報酬の一つです。送迎の実施は、保護者の負担軽減や児童の通所機会の確保に直結します。

2024年度(令和6年度)の障害福祉サービス等報酬改定では、特に医療的ケア児や重症心身障害児(重身児)の送迎に対する評価が大きく見直されました。 児童の状態や同乗する職員体制に応じた新たな区分が設けられ、より専門性の高い安全な送迎が評価される仕組みとなっています。

この記事では、2024年度の最新情報に基づき、放課後等デイサービスの送迎加算の単位数、算定要件、留意点を分かりやすく解説します。

送迎加算の概要と2024年度改定のポイント

送迎加算とは、事業所の車などで、利用する児童の居宅または学校等と事業所との間の送迎を行った場合に、片道ごとに算定できる加算です。

2024年度改定の主なポイント

最大の変更点は、医療的ケア児や重身児への送迎について、体制や児童の状態に応じた手厚い評価が新設された点です。

医療的ケア児・重身児への手厚い評価:

一般の放デイ(重身児向け以外)でも、重身児や医療的ケア児を送迎する際、同乗する職員(直接支援職員や看護職員)に応じて異なる単位数が設定されました。

中重度医療的ケア児への評価:

医療的ケアスコアが16点以上の「中重度医療的ケア児」への送迎には、さらに高い単位数が設定されました。

重身児向け事業所の評価:

主として重症心身障害児を通わせる事業所(重身児デイ)についても、看護職員の同乗を要件とする単位数が整理されました。

送迎加算の単位数一覧【2024年度改定対応】

2024年度改定後の送迎加算の単位数(片道につき)は、事業所の種類(一般型か重身型か)と、対象となる児童の区分によって細かく分かれています。

【A】一般の放課後等デイサービス(重身児向け以外)

(基本報酬で「重症心身障害児に行う場合」以外を算定する事業所)

対象児童 単位数 (片道) 同乗職員の主な要件
一般の障害児 54単位 (運転手のみでも可)
重症心身障害児 40単位 運転手 + 直接支援職員
医療的ケア児 40単位 運転手 + 看護職員
中重度医療的ケア児

(スコア16点以上)

80単位 運転手 + 看護職員

+ 安全体制の確保

【B】主として重症心身障害児を通わせる放課後等デイサービス

(基本報酬で「重症心身障害児に行う場合」を算定する事業所)

対象児童 単位数 (片道) 同乗職員の主な要件
重症心身障害児 40単位 運転手 + 看護職員
医療的ケア児 40単位 運転手 + 看護職員
中重度医療的ケア児

(スコア16点以上)

80単位 運転手 + 看護職員

同一敷地内の送迎

上記【A】【B】のいずれの場合も、送迎先が事業所と同一敷地内または隣接する敷地内の施設等である場合は、所定単位数の70%の算定となります。

送迎加算の算定要件

送迎加算を算定するには、単位数ごとの要件に加え、以下の共通要件を満たす必要があります。

共通の算定要件

  • 児童の居宅等または学校等と、放課後等デイサービス事業所との間の送迎を行うこと。
  • 送迎の実施について、事前に保護者の同意を得ていること。
  • 送迎を行った場合、送迎の記録(日時、運転手、同乗職員、対象児童、送迎区間等)を作成し、保管すること。

特定の場所への送迎について

居宅や学校以外(例:最寄り駅、保護者の職場近くの集合場所など)への送迎でも、事前に保護者の同意を得て、特定の場所を定めている場合は、加算の対象となります。

区分別の主な要件

【A】一般の放デイの場合

一般(54単位)

  • 基本報酬(重身児以外)を算定している。

重身児(40単位)

  • 基本報酬(重身児以外)を算定している。
  • 運転手に加え、直接支援業務に従事する職員が同乗して送迎を行う。

医療的ケア児(40単位)

  • 基本報酬(重身児以外)を算定している。
  • 運転手に加え、看護職員が同乗して送迎を行う。

中重度医療的ケア児(80単位)

  • 基本報酬(重身児以外)を算定している。
  • 医療的ケアスコアが16点以上である。
  • 運転手に加え、看護職員が同乗して送迎を行う。
  • 児童の医療濃度を踏まえた安全な送迎に必要な体制を確保する。

【B】重身児向け放デイの場合

重身児・医療的ケア児(40単位)

  • 基本報酬(重身児)を算定している。
  • 運転手に加え、看護職員が同乗して送迎を行う。

中重度医療的ケア児(80単位)

  • 基本報酬(重身児)を算定している。
  • 医療的ケアスコアが16点以上である。
  • 運転手に加え、看護職員が同乗して送迎を行う。

送迎加算の重要留意点とQ&A

送迎加算の算定にあたっては、いくつかの注意点と、実務上の疑問点があります。

留意点

自立通所の配慮

自ら通所が可能な就学児(特に中高生)については、送迎を行うことがその児童の自立能力の獲得を妨げないよう、適切に配慮する必要があります。

徒歩での送迎

徒歩による送迎は、送迎に係る経費(ガソリン代など)が生じないため、加算の対象とはなりません。

学校から事業所への送迎

学校から事業所へ直接送迎する場合、原則として「保護者が就労等により送迎できない」「スクールバス等が利用できない」といった理由が通所支援計画に記載されている必要があります。

 

送迎加算に関するQ&A

Q. 医療的ケアが必要な重症心身障害児(スコア10点)に、看護師が同乗して送迎しました。重身児(40単位)と医療的ケア児(40単位)の両方(合計80単位)を算定できますか?

A. 算定できません。

この場合、医療的ケア児の区分(40単位)のみを算定します。両方の区分を同時に算定することはできません。もしこの児童が中重度(スコア16点以上)であれば、中重度医療的ケア児の区分(80単位)を算定します。

Q. 医療的ケア児(スコア10点)の送迎ですが、送迎中には特に医療的ケアが発生しない見込みです。看護職員の同乗は必須ですか? 看護職員が同乗しない場合、加算はどうなりますか?

A. 児童の状態を踏まえ、安全に送迎が可能であれば、看護職員の同乗は必須ではありません。

ただし、看護職員が同乗しない場合は、医療的ケア児の区分(40単位)や中重度区分(80単位)は算定できません。

この場合、一般の放デイであれば「一般の障害児」区分(54単位)を算定することになります。

Q. 医療的ケアスコアが16点以上であることを確認する必要がありますが、受給者証に点数が記載されていません。どうすればよいですか?

A.本来は市町村が受給者証にスコアを記載することになっていますが、移行措置として、当面は主治医が判定した医療的ケアスコアが16点以上であることが確認できる書類(主治医意見書など)を事業所が確認し、そのコピー等を保管しておくことで算定が認められます。

送迎加算の算定に向けた準備

送迎加算(特に新設された区分)を適切に算定するためには、以下の準備が必要です。

  1. 運営規程の確認: 送迎サービスを実施する旨、および送迎費用(実費徴収する場合)について運営規程に記載されているか確認します。
  2. 保護者への説明と同意: 送迎サービスの利用について、事前に重要事項説明書などで説明し、同意書を取得します。(特定の場所への送迎を含む)
  3. 対象児童の把握: 算定対象となる児童が「重身児」「医療的ケア児」「中重度医療的ケア児」のいずれに該当するか、受給者証や主治医の書類で正確に把握します。
  4. 同乗職員の体制整備: 医療的ケア児や重身児の送迎に必要な看護職員や直接支援職員の同乗シフトを組み、安全体制を構築します。
  5. 送迎記録の徹底: 日々の送迎実績を確実に記録する体制(記録フォーマットの準備、担当者の明確化)を整えます。

 

参考文献

こどもプラスホールディングス株式会社 フランチャイズ本部

フランチャイズ本部ロゴ

略歴・沿革

  • 2013年12月 放課後等デイサービス「こどもプラス天神町教室(第1号教室)」開業
  • 2015年10月 特定非営利活動法人運動保育士会を設立
  • 2016年03月 こどもプラスフランチャイズ本部(こどもプラスホールディングス株式会社)設立
  • 現在 全国200教室以上を展開中、FC加盟者向けのサポート・教育体制を提供

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