身体拘束廃止未実施減算とは?2024年改定の注意点
身体拘束廃止未実施減算とは、利用者の身体拘束等を適正化するための措置(委員会開催、指針整備、研修実施など)を講じていない場合に適用されるペナルティです。
減算される単位数
2024年度(令和6年度)改定のポイント
これまで身体拘束等の適正化については「努力義務」や「経過措置」が含まれていましたが、令和6年度からは完全義務化されています。 特に重要なのは、「実際に身体拘束を行ったかどうか」に関わらず、「身体拘束をしないための仕組み(委員会・指針・研修)を作っていないだけで減算対象になる」という点です。
身体拘束廃止未実施減算が適用される4つの要件
以下の4つの要件のうち、いずれか1つでも満たしていない場合、減算が適用されます。減算は事業所単位で適用され、その月の利用者全員分の報酬がカットされるため、経営的な影響は甚大です。
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身体拘束適正化検討委員会を開催していない(年1回以上)
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身体拘束適正化のための指針を整備していない
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従業者に対して定期的な研修を実施していない(年1回以上)
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身体拘束等を行う場合の必要な手続き・記録を行っていない
身体拘束廃止未実施減算を回避する「委員会・指針・研修」の進め方
現場が最も迷う「仕組みづくり」の具体策を解説します。
1. 身体拘束適正化検討委員会の開催
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頻度: 年に1回以上(推奨は虐待防止委員会と合わせて年2回以上など)
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メンバー: 管理者、児童発達支援管理責任者、保育士・指導員等の現場職員。第三者や家族の参加も望ましいとされています。
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議題例:
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事業所内でのヒヤリハット事例の分析(不適切な関わりがなかったか)
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現在の支援方法が拘束に当たらないかの確認
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指針の見直し
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2. 身体拘束適正化のための指針の整備
事業所として「身体拘束を原則行わない」という姿勢や、緊急時の対応フローを明文化したマニュアルです。以下の項目を盛り込む必要があります。
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身体拘束等の適正化に関する基本的考え方
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委員会その他施設内の組織に関する事項
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研修に関する方針
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身体拘束等発生時の対応・報告体制
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指針の閲覧について(保護者がいつでも見られるようにする)
3. 定期的な研修の実施
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頻度: 年に1回以上(新規採用時は随時)
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内容: 身体拘束の弊害、法的根拠、事業所の指針の読み合わせ、事例検討など。
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ポイント: 研修を実施した際は、「日時」「参加者」「内容」「資料」を記録として残すことが必須です。
身体拘束廃止未実施減算に関わる「やむを得ない場合」の3要件と記録
原則禁止されている身体拘束ですが、利用者の生命を守るために「緊急やむを得ない場合」に限り認められます。ただし、以下の3要件を全て満たし、詳細に記録していることが条件です。
3つの要件
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切迫性: 利用者本人や他者の生命・身体が危険にさらされる可能性が著しく高い。
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非代替性: 身体拘束以外に代替する方法がない。
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一時性: 身体拘束が一時的なものである。(漫然と続けない)
記録すべき必須事項
もし拘束を行った場合は、以下の項目を必ず個別支援計画書や業務日誌とは別の専用様式等に記録してください。
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拘束の態様(具体的にどこをどう固定したか)
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開始時間と終了時間
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その時の利用者の心身の状況
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緊急やむを得ない理由(3要件を満たす理由)
注意: 「暴れたため」といった簡易な記録では認められません。「他児を突き飛ばそうとし、静止したが止まらず、生命の危険があったため○○分間手首を保持した」など、具体的かつ客観的な記述が必要です。
まとめ:減算回避だけでなく権利擁護の視点を
身体拘束廃止未実施減算は、書類不備によるペナルティと考えがちですが、本質は「子どもの人権を守るための組織づくり」です。 委員会や研修を通じて、「この支援は拘束にあたらないか?」と職員間で対話することが、質の高い支援へと繋がります。
公的な引用・参考文献
正確な情報源として、以下の厚生労働省の資料を確認することをお勧めします。
厚生労働省:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要
改定の全体像と減算規定の変更点が記載されています。
「障害児支援における身体拘束適正化の手引き」(各自治体版も参照)
具体的な事例やチェックリストが掲載されています。
さいごに
放課後等デイサービスや児童発達支援の運営は、法令順守と質の高い支援の両立が常に求められます。 全国200教室以上の運営実績を持つこどもプラスでは、長年培ったノウハウに基づき、身体拘束廃止未実施減算をはじめとする最新の減算対策の体制構築に対応した実務研修と、安心のサポート体制を提供。適切な加算取得と安定運営を徹底サポートします。
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