放課後等デイサービスにおける開所時間減算とは?
放課後等デイサービスにおける開所時間減算とは、事業所の運営規程に定められた営業時間が「標準(6時間)」よりも短い場合に、基本報酬から一定の割合を減額する仕組みです。
これは、標準的な時間(6時間以上)で営業している事業所との公平性を保つために設けられています。特に注意が必要なのは、「学校休業日(土日祝・夏休み等)」の営業体制です。
減算の対象となる基本ルール
この減算は、以下の条件に該当する場合に適用されます。
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対象日: 学校休業日(土曜日、日曜日、祝日、夏休み等の長期休暇)
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要件: 運営規程に定める営業時間が6時間未満であること
注意点
平日(授業終了後)のサービス提供については、この開所時間減算の対象とはなりません。あくまで「学校休業日」の体制が問われます。
放課後等デイサービスの開所時間減算における減算単位数
運営規程上の営業時間が短いほど、減算率(カットされる報酬の割合)は大きくなります。具体的な減算率は以下の通りです。
| 運営規程上の営業時間 | 算定される単位数(掛け率) | 実質の減算率 |
| 4時間以上 6時間未満 | 所定単位数の 85% | 15% 減算 |
| 4時間未満 | 所定単位数の 70% | 30% 減算 |
減算の計算対象となる報酬
この減算は「基本報酬」だけでなく、一部の加算を含んだ単位数に対して適用されます。
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基本報酬(平日・休業日問わず、休業日にサービス提供する場合のベース)
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児童指導員等配置加算(これを算定している場合は、合算した単位数から減算)
放課後等デイサービスの開所時間減算に関する運営規程の注意点
この減算を回避、または正しく理解するためには、「運営規程」の記述と実態が重要になります。よくある誤解を整理しました。
1. 「送迎時間」は営業時間に含まれない
もっとも注意すべき点は、「送迎のみを行っている時間は、営業時間には含まれない」ということです。
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営業時間とは: 事業所に職員を配置し、児童を受け入れる体制(支援を行える状態)を整えている時間。
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NG例: サービス提供は4時間だが、送迎に2時間かけているので合計6時間とする(これは認められません)。
2. 実際の利用時間が短くても減算にはならない
減算の判断基準はあくまで「運営規程に定めた営業時間(受け入れ体制)」です。
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OK例: 運営規程では9:00〜16:00(7時間)と定めているが、利用児の都合で実際の利用が3時間だった。
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→ この場合、減算の対象にはなりません。 事業所として受け入れる体制があったためです。
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3. 多機能型や二部制の場合の考え方
児童発達支援と放課後等デイサービスを多機能型で運営している場合や、午前・午後でクラス分けをしている場合の取り扱いは以下の通りです。
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クラス分け(午前・午後): 合算して6時間以上であれば減算対象外。
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多機能型の特例: 特例を利用する場合は合算可能。利用しない場合は、それぞれの事業ごとの時間で判断。
放課後等デイサービス開所時間減算についてのQ&A(公的解釈)
厚生労働省のQ&Aに基づき、現場で迷いやすいポイントを解説します。
Q. 「児童を受け入れる体制」とは具体的にどのような状態ですか?
A. 原則として、人員配置基準を満たす職員が配置されている状態を指します。
ただし、送迎のために一時的に職員が外出する場合でも、事業所に最低1人以上の直接処遇職員が残っており、緊急時等に対応できる体制であれば「受け入れる体制」として認められる場合があります。
Q. 加算も減算の対象になりますか?
A. 原則は基本報酬のみが対象ですが、**「児童指導員等配置加算」**を取得している場合は、基本報酬にこの加算を足した合計単位数に対して減算率(×85%または×70%)がかかります。
まとめ:2024年度以降も「運営規程」の確認を
放課後等デイサービスにおける開所時間減算は、実際のサービス提供時間ではなく、「事業所が定めているハコの大きさ(営業時間)」に対する評価です。
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学校休業日の営業時間が6時間を切っていないか?
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送迎時間を含めて計算していないか?
これらを改めて確認し、運営規程と実態に乖離がないよう管理しましょう。
公的引用・参考文献
この記事は、以下の厚生労働省等の公表資料・Q&Aに基づき作成されています。正確な解釈や最新の届出については、必ず管轄の自治体(指定権者)にご確認ください。
厚生労働省:障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A(平成27年度・平成24年度等)
- 平成27年3月31日 問71(開所時間の判断基準)
- 平成24年8月31日 問107(適用対象の区分)
厚生労働省:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要
さいごに
放課後等デイサービスや児童発達支援の運営は、法令順守と質の高い支援の両立が常に求められます。 全国200教室以上の運営実績を持つこどもプラスでは、長年培ったノウハウに基づき、開所時間減算をはじめとする最新の減算対策の体制構築に対応した実務研修と、安心のサポート体制を提供。適切な加算取得と安定運営を徹底サポートします。
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