児童発達支援管理責任者欠如減算とは?基本と影響
児童発達支援管理責任者欠如減算とは、指定基準で定められた児発管の人員配置基準を満たせなくなった場合に適用される報酬減算です。
児発管は事業所の「扇の要」であり、個別支援計画の作成・管理を行う唯一の職種です。そのため、欠員が出た場合の減算幅は非常に大きく設定されており、長引けば事業所の閉鎖にもつながりかねません。
減算の対象となる主な事業
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児童発達支援
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放課後等デイサービス
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保育所等訪問支援 など
児童発達支援管理責任者欠如減算の開始時期と減算率
減算が「いつから」「どのくらい」適用されるのか、正確なタイムラインを理解することが重要です。
減算は、欠如した月(配置基準を満たさなくなった月)の翌々月から開始されます。
減算適用のタイムライン(翌々月から開始)
| 期間 | 状況 | 減算率 | 備考 |
| 欠如月 | 児発管不在 | 減算なし | 配置基準違反の状態発生 |
| 翌月 | 児発管不在 | 減算なし | 猶予期間(採用活動のリミット) |
| 翌々月~4ヶ月目 | 児発管不在 | 30% 減算 | 所定単位数の70%を算定 |
| 5ヶ月目以降 | 児発管不在 | 50% 減算 | 所定単位数の50%を算定 |
重要ポイント:
「欠如月」と「翌月」の計2ヶ月間は、猶予期間として減算されません。この間に後任を配置できれば、欠如減算自体を回避できます。
30%減算と50%減算の分岐点
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減算開始から4ヶ月間:基本報酬の30%をカット
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減算開始から5ヶ月目以降:基本報酬の50%をカット
児童発達支援管理責任者欠如減算と個別支援計画未作成減算の関係
児発管が不在になると、もう一つの大きな減算リスクである「個別支援計画未作成減算」が発生します。
児発管がいないと計画書の作成・更新(モニタリング含む)が法的に行えないためです。
どちらの減算が適用されるのか?
原則として、同じ事由(児発管不在)により複数の減算要件に該当する場合、「減算額が大きい方」のみが適用され、重複して引かれることはありません。
しかし、個別支援計画未作成減算は以下の特徴があります。
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新規利用者や更新時期の利用者に対しては、児発管不在の当月から減算対象となる場合がある(※自治体により解釈が異なります)。
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未作成状態が続くと、減算率は最大50%になります。
実務上の注意:
欠如減算の猶予期間中(最初の2ヶ月)であっても、計画書の期限が切れた利用者については「未作成減算」が即座に発生するリスクがあります。必ず指定権者(自治体)へ確認してください。
児童発達支援管理責任者欠如減算を防ぐ「やむを得ない事由」と特例
退職理由が「予期せぬ事態」である場合、「みなし配置」という救済措置が適用できる可能性があります。
1. やむを得ない事由とは
単なる「転職」や「人間関係」は認められません。一般的に以下のケースが該当します。
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急な病気、怪我による退職・休職
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死亡
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失踪
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急な自己都合退職(※厳格な審査あり。診断書の提出などが求められるケースが多い)
2. みなし配置の要件(1年間の猶予)
「やむを得ない事由」と認められた場合、本来の要件を満たしていなくても、以下の条件を満たす職員を最長1年間、児発管としてみなすことができます。
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実務経験要件を満たしていること(5年~8年等の実務経験)
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研修要件(基礎研修・実践研修)は未受講でも可
これにより、即戦力の有資格者がいなくても、ベテラン職員を暫定配置することで減算を回避できます。
児童発達支援管理責任者欠如減算への対応フローと届出
児発管の退職が決まった場合、以下の手順で迅速に対応します。
STEP1:退職日の調整(最重要)
「月末付」での退職交渉を行ってください。
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3月31日退職 → 4月1日から欠如 → 6月から減算
- 3月30日退職 → 3月31日が欠如(3月が欠如月) → 5月から減算たった1日の違いで、減算開始が1ヶ月早まってしまいます。有給消化を含め、在籍期間を月末まで確保することが鉄則です。
STEP2:変更届の提出
指定権者(都道府県・市町村)へ、原則として事由発生から10日以内に「変更届」を提出します。「体制届(加算届)」の変更も必要になる場合があります。
STEP3:後任確保とみなし申請
後任が見つからない場合、「やむを得ない事由」による申立書を提出し、みなし配置の許可を得られるか確認します。
まとめ
児童発達支援管理責任者欠如減算は、事業所の売上を3割〜5割減少させる極めて重いペナルティです。
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月末退職を徹底し、猶予期間を最大限確保する。
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翌々月からの減算開始までに採用に全力を注ぐ。
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不測の事態には「みなし配置」の適用を行政に相談する。
日頃から、基礎研修修了者を社内で育成し、「次の児発管候補」を準備しておくことが、安定運営への最大の防御策となります。
参考文献・公的資料
本記事の執筆にあたり、以下の公的資料および法令を参照しています。詳細な規定や最新の解釈については、各指定権者のガイドラインをご確認ください。
厚生労働省
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)
指定通所支援の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)
留意事項通知
「厚生労働大臣が定める基準」及び「厚生労働大臣が定めるの基準」等の制定に伴う留意事項について(障発第0330010号等)
さいごに
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