医療連携体制加算とは?児発・放デイ令和6年度改定の要件

医療連携体制加算とは?児発・放デイ令和6年度改定の要件

児童発達支援(児発)や放課後等デイサービス(放デイ)において、医療的ケアが必要なお子さまへの支援体制を強化することは、事業所運営における重要な課題です。

令和6年度(2024年度)の障害福祉サービス等報酬改定では、医療連携体制加算(Ⅶ)の単位数が引き上げられるなど、医療的ケア児への支援がさらに手厚く評価されるようになりました。

この記事では、児発・放デイの事業所が「医療連携体制加算」を算定するための要件、単位数、令和6年度改定のポイント、留意点をわかりやすく解説します。

医療連携体制加算の区分(Ⅰ)~(Ⅶ)の概要

医療連携体制加算は、医療機関等と連携して行う支援の内容によって、大きく3種類、細かく7つの区分(Ⅰ)~(Ⅶ)に分かれています。

(Ⅰ)~(Ⅴ):看護職員による「看護」の実施

医療機関等から看護職員(保健師、助産師、看護師、准看護師)が事業所を訪問し、お子さまへ直接看護(医療的ケアを含む)を行った場合に算定します。対象となるお子さまの状況(医療的ケア児か否か)や看護の提供時間によって、区分が分かれます。

(Ⅵ):看護職員による「指導」の実施

看護職員が事業所を訪問し、喀痰吸引等を行う「認定特定行為業務従事者」(※)に対して、実地指導を行った場合に算定します。

(Ⅶ):「認定特定行為業務従事者」による「実施」

事業所の「認定特定行為業務従事者」(※)が、医療機関等と連携し、お子さまへ喀痰吸引等を実施した場合に算定します。

(※)認定特定行為業務従事者とは?

喀痰吸引等研修(特定の研修)を修了し、都道府県から認定証の交付を受けた職員のことです。保育士や児童指導員などの資格に加えてこの認定を受けることで、医師の指示に基づき、喀痰吸引や経管栄養などの特定の医療的ケアを実施できます。

医療連携体制加算【令和6年度】の単位数一覧

令和6年度報酬改定に対応した単位数は以下の通りです。特に(Ⅶ)の単位数が引き上げられました。

加算区分 単位数(1日あたり)
医療連携体制加算(Ⅰ) 32単位
医療連携体制加算(Ⅱ) 63単位
医療連携体制加算(Ⅲ) 125単位
医療連携体制加算(Ⅳ) ・看護を受けた児童が1人:800単位・看護を受けた児童が2人:500単位

・看護を受けた児童が3~8人:400単位

医療連携体制加算(Ⅴ) ・看護を受けた児童が1人:1,600単位・看護を受けた児童が2人:960単位

・看護を受けた児童が3~8人:800単位

医療連携体制加算(Ⅵ) 500単位
医療連携体制加算(Ⅶ) 250単位 (※令和6年度改定で増額)

医療連携体制加算(Ⅰ)~(Ⅴ)の算定要件

(Ⅰ)から(Ⅴ)は、看護職員が訪問して「看護」を行った場合の加算です。医療的ケア児か否か、看護時間によって区分されます。

前提条件:

  • 医療機関等と連携し、看護職員が事業所を訪問すること。
  • (Ⅰ)~(Ⅴ)を算定する日は、(Ⅶ)は算定できません。
  • 医療的ケア区分(※)や重症心身障害児(重身)の基本報酬を算定している場合は、(Ⅰ)~(Ⅴ)は算定できません。
区分 対象となるお子さま 看護時間
(Ⅰ) 医療的ケア児 以外 1時間未満
(Ⅱ) 医療的ケア児 以外 1時間以上 2時間未満
(Ⅲ) 医療的ケア児 以外 2時間以上
(Ⅳ) 医療的ケア児 4時間未満
(Ⅴ) 医療的ケア児 4時間以上

(※)医療的ケア区分とは?

医療的ケアの必要度合い(スコア)に応じて判定される基本報酬の区分です。この区分で基本報酬を算定している場合、訪問看護による加算(Ⅰ)~(Ⅴ)は対象外となります。

医療連携体制加算(Ⅵ)の算定要件

(Ⅵ)は、看護職員が訪問して「指導」を行った場合の加算です。

  • 医療機関等と連携し、看護職員が事業所を訪問すること。
  • 看護職員が、事業所の認定特定行為業務従事者に対し、喀痰吸引等の指導を行うこと。
  • 医療的ケア区分や重症心身障害児の基本報酬を算定している場合は、算定できません。

医療連携体制加算(Ⅶ)の算定要件

(Ⅶ)は、事業所の職員が「医療的ケアを実施」した場合の加算です。

  • 認定特定行為業務従事者が、喀痰吸引等が必要なお子さまに対し、医療機関等と連携して喀痰吸引等を実施すること。
  • (Ⅰ)~(Ⅴ)を算定していないこと。
  • 看護職員加配加算(Ⅰ)・(Ⅱ)を算定していないこと。
  • 医療的ケア区分の基本報酬を算定していないこと。

【令和6年度改定】(Ⅶ)の重要ポイント

単位数の引き上げ

医療的ケアの実施体制を評価するため、従来の200単位から250単位/日に引き上げられました。

重症心身障害児(重身)への算定拡大

従来、(Ⅶ)は重症心身障害児の基本報酬を算定している場合は対象外でした。令和6年度改定により、重症心身障害児の基本報酬を算定している場合でも、(Ⅶ)を算定できるようになりました。

医療連携体制加算の主な留意点

加算の算定にあたっては、以下の点に注意し、運営指導(旧 実地指導)などで適切に説明できる体制を整える必要があります。

主治医の指示が必須

看護の提供や喀痰吸引等の実施・指導は、必ずお子さまの主治医から指示を受ける必要があります。指示内容は必ず書面(指示書)で受け取り、保管してください。

計画書への記載と報告

具体的な看護内容や医療的ケアの実施内容を、通所支援計画(個別支援計画)に明記する必要があります。支援の実施状況は、定期的に主治医へ報告することが求められます。

衛生材料等の費用負担

看護の提供や喀痰吸引等に必要となる衛生材料(ガーゼ、消毒液、吸引カテーテル等)や医薬品等の費用は、事業所が負担する必要があります。利用者に請求することはできません。

(Ⅰ)~(Ⅴ)の訪問時間と人数

看護職員の訪問時間は、1日の訪問時間を合算して算定できます(例:午前に1時間、午後に1.5時間訪問した場合、合計2.5時間として(Ⅲ)や(Ⅳ)(Ⅴ)を判断)。

(Ⅰ)~(Ⅲ)および(Ⅳ)(Ⅴ)は、それぞれ看護職員1回の訪問につき、最大8人まで算定可能です。

運営指導(実地指導)の確認項目

医療連携体制加算は、運営指導における重点確認項目です。上記の指示書、計画書、実施記録、報告書、衛生材料の負担(購入実績など)が適切に行われているか、厳しくチェックされます。

医療連携体制加算の公的資料(参考文献)

本記事の内容は、実務においては必ず最新の公的資料をご確認ください。

こども家庭庁

  • 「児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準」
  • 「児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(留意事項通知)

厚生労働省

  • 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に関する各種資料(「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の報告等)

 

こどもプラスホールディングス株式会社 フランチャイズ本部

フランチャイズ本部ロゴ

略歴・沿革

  • 2013年12月 放課後等デイサービス「こどもプラス天神町教室(第1号教室)」開業
  • 2015年10月 特定非営利活動法人運動保育士会を設立
  • 2016年03月 こどもプラスフランチャイズ本部(こどもプラスホールディングス株式会社)設立
  • 現在 全国200教室以上を展開中、FC加盟者向けのサポート・教育体制を提供

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