虐待防止措置未実施減算の概要と単位数
虐待防止措置未実施減算とは、障害者虐待防止法に基づき、事業所内で虐待を防ぐための組織的な体制(委員会や研修など)が整備されていない場合に適用される減算です。
令和4年度から虐待防止措置は「義務化」されていましたが、取り組みを徹底させるために、令和6年度より減算規定が設けられました。
減算される単位数
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減算率:所定単位数の1%(100分の99)
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対象:利用者全員
「たかが1%」と思われるかもしれませんが、利用者全員の基本報酬から引かれるため、年間売上高で見ると数十万円〜百万円規模の損失になる可能性があります。
減算の適用期間
要件を満たさない事実が生じた月の翌月から、改善が認められた月まで適用されます。つまり、一度指摘されると体制を立て直すまで減収が続きます。
虐待防止措置未実施減算の適用要件(4つの必須措置)
減算を回避し、利用者の権利を守るためには、以下の4つの措置すべてを実施する必要があります。どれか1つでも欠けていると減算対象となります。
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虐待防止委員会の開催(定期的)
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従業者への周知(委員会の結果など)
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虐待防止研修の実施(定期的)
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担当者の設置(責任者の配置)
それぞれの具体的実務を解説します。
1. 虐待防止委員会の開催
虐待防止委員会は、社内の管理者や児発管、従業員等で構成し、虐待防止に関する計画や対策を話し合う場です。
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開催頻度: 年1回以上(※自治体により推奨頻度が異なる場合あり)
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構成員: 管理者、サービス管理責任者、現場職員など。第三者委員(外部の有識者等)の参加も推奨されています。
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議題例: ヒヤリハット事例の共有、虐待防止マニュアルの検証、職員のストレスケアなど。
2. 委員会の結果を従業者へ周知
委員会を開いただけでは不十分です。話し合った内容(議事録や決定事項)を、参加していない職員やパートスタッフを含めた全員に周知する必要があります。
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周知方法: 掲示板への掲示、チャットツールでの共有、朝礼での伝達など(※必ず記録を残すこと)。
3. 虐待防止研修の実施
職員のスキルアップと意識啓発のための研修を行います。
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実施頻度: 年1回以上(新規採用時にも実施が望ましい)
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内容: 虐待の定義、不適切なケアの事例検討、アンガーマネジメントなど。
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記録: 研修資料、参加者名簿、実施報告書を保存します。
4. 担当者の設置
虐待防止に関する取り組みを主導する「責任者」を配置します。一般的には管理者が兼務することが多いですが、専任の職員を指名しても構いません。
虐待防止措置未実施減算を防ぐ実務チェックリスト
運営指導(実地指導)で「未実施」と判定されないために、以下の書類が整備されているか確認してください。
| 確認項目 | 必要な書類・記録(例) |
| 体制整備 | 虐待防止対応規定(マニュアル)、組織図 |
| 委員会 | 委員会議事録、出席簿 |
| 周知 | 回覧板の閲覧サイン、メール送信履歴 |
| 研修 | 年間研修計画、実施報告書、使用した資料 |
| 責任者 | 組織図や重要事項説明書への記載 |
まとめ:減算回避だけでなく「質の向上」へ
虐待防止措置未実施減算は、単に報酬を守るためだけでなく、利用者の尊厳を守り、職員が安心して働ける環境を作るための最低ラインです。
「年に1回やればいい」という形式的な対応ではなく、日々の支援の中で「これは虐待にあたらないか?」とチームで話し合える風通しの良い組織づくりを目指しましょう。
公的な引用・参考文献
本記事の作成にあたり、以下の公的資料を参照しています。実務にあたっては必ず最新の自治体通知をご確認ください。
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厚生労働省:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要
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こども家庭庁:障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き
さいごに
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