2025年6月27日

障害福祉サービスの返戻・再請求で起きる不正とは?こどもプラスの対策例

障害福祉サービスの運営において、給付費の請求業務は避けて通れない重要な業務です。

しかし、この障害福祉サービスの返戻や再請求の過程で、意図せずして不正を疑われてしまうケースや、実際に不正が発生してしまうリスクが潜んでいます。

煩雑な請求業務は、多くの事業者が頭を悩ませる問題ではないでしょうか。特に、これから事業を始めようと考えている方にとっては、大きな不安要素かもしれません。

この記事では、なぜ返戻や再請求が起きるのか、そこに潜む不正のリスク、そして私たち「こどもプラス」がどのように対策し、加盟店様をサポートしているのかを詳しく解説していきます。

返戻再請求が発生する原因と不正のリスク

不正請求の文字ブロック

障害福祉サービスの請求業務における返戻・再請求は、主に事務的なミスが原因で発生しますが、その背景には不正につながるリスクも存在します。

返戻とは、提出した給付費請求書に不備があった場合に、国保連(国民健康保険団体連合会)から書類が差し戻されることです。

もちろん、返戻されただけでは不正行為にはあたりません。

しかし、なぜ返戻が起きたのかを正しく理解し、適切に再請求を行う必要があります。このプロセスを疎かにすると、不正を疑われる原因にもなりかねません。

返戻が発生する主な原因

返戻が起こる原因は、うっかりミスや確認漏れといったヒューマンエラーがほとんどです。

具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

項目 内容
利用者情報の入力ミス ・受給者証番号の入力間違い
・氏名や生年月日の漢字・カナ・数字の間違い
・受給者証の有効期間切れ
サービス提供実績の入力ミス ・サービス提供日や時間の間違い
・提供していないサービスの入力
・加算・減算の計算ミスや適用間違い
請求情報の不整合 ・請求明細書とサービス提供実績記録票の内容の不一致
・事業所番号やサービスコードの間違い

これらのミスは、日々の業務に追われる中で誰にでも起こりうることです。

しかし、何度も繰り返されたり、内容が悪質だと判断されたりすると、行政からの指導や監査の対象となる可能性が高まります。

不正請求に繋がりやすいケースとは?

返戻を繰り返すうちに、「少しならバレないだろう」「手間を省きたい」といった気持ちから、不正請求に手を染めてしまうケースが後を絶ちません。

  • 事務作業の負担増大返戻が重なると、再請求のための作業がどんどん増えていきます。その結果、内容を十分に確認せず、安易に請求してしまうことがあります。
  • 知識・理解不足制度改正や加算要件の複雑化により、事業者が内容を正しく理解できていないまま、誤った請求を続けてしまうケースです。
  • 経営状況の悪化経営が苦しい状況で、「少しでも売上を増やしたい」という思いから、水増し請求や架空請求といった不正に手を染めてしまうことがあります。

 

このように、障害福祉サービスの返戻や再請求は、単なる事務手続きの問題だけでなく、事業所の運営そのものを揺るがしかねない不正のリスクをはらんでいます。

 

次に、実際に業界内でどのような不正な返戻再請求の事例があるのか、そしてどのような対策が取られているのかを詳しく見ていきましょう。

業界内での不正な返戻再請求事例と対応策

請求業務のイメージ

障害福祉サービスの運営において、返戻や再請求の適切な管理は不正防止の観点からも極めて重要です。

残念ながら、業界内では利益を優先するあまり、不正な請求を行う事業所が後を絶ちません。

ここでは、実際にあった不正請求の事例と、それが発覚した場合のリスク、そして業界で一般的に取られている対策について解説します。

これらの事例を知ることで、自らが意図せず不正に加担してしまうことを防ぎ、健全な事業所運営を目指すことができます。

実際にあった不正請求の事例

不正請求の手口は様々ですが、代表的なものには以下のような事例があります。

不正の種類 手口の具体例
架空請求 利用していないこどもを使って給付費を請求。
水増し請求 実際より長い利用時間で請求(例:2時間→4時間)。
定員超過 定員を超えて受け入れた分も正規の単位で請求。
人員・設備基準違反 必要な職員や設備がないのに基準を満たすと偽る。
加算の不正取得 要件を満たしていない加算(送迎など)を請求。

これらの不正行為は、いずれも事業所の利益のために行われる悪質なものです。

不正が発覚した場合のペナルティ

不正請求が発覚すると、事業所は非常に厳しいペナルティを受けることになります。

 

指定の取消・効力の停止

・最も重い処分で、事業所として運営を続けることができなくなります。

・一度指定を取り消されると、原則として5年間は再指定を受けることができません。

 

給付費の返還

・不正に受給した給付費の全額を返還しなければなりません。

 

加算金の徴収

・返還額に加えて、返還額の40%に相当する加算金の支払いを命じられます。

・つまり、不正に受給した額の1.4倍を支払うことになります。

 

事業者名・不正内容の公表

・事業者名、所在地、不正の内容などが自治体のホームページなどで公表されます。

・これにより、事業所の社会的信用は失墜し、その後の運営に深刻な影響を及ぼします。

 

たった一度の不正が、積み上げてきた信頼や実績、そして事業そのものを全て失う結果につながるのです。

業界で取られている一般的な対策

このようなリスクを避けるため、多くの事業所では以下のような対策を講じています。

 

複数人によるダブルチェック体制の構築

・請求担当者だけでなく、管理者や別のスタッフが請求内容を再確認する。

 

研修会の実施と参加

・国保連や自治体が開催する請求業務に関する研修会に積極的に参加し、常に最新の知識を習得する。

 

マニュアルの整備

・請求業務の手順や注意点をまとめたマニュアルを作成し、誰が担当しても同じ品質で作業できるようにする。

 

請求ソフトの活用

・入力ミスや計算ミスを防ぐ機能がついた請求ソフトを導入し、ヒューマンエラーを減らす。

 

健全な運営を続けるためには、こうした地道な対策を継続していくことが不可欠です。

障害福祉サービスの返戻・再請求を減らし、不正を防ぐ努力は、結果的に利用者様やそのご家族、そして働くスタッフを守ることに繋がります。

次に、これらの一般的な対策に加え、私たち「こどもプラス」がFC加盟店様を不正のリスクから守るために、どのような独自の取り組みを行っているのかをご紹介します。

こどもプラスの返戻再請求に対する不正への取り組み

スマホを見る福祉サービススタッフたち

障害福祉サービスの運営で不安の大きい返戻や再請求の問題に対し、私たち「こどもプラス」は、加盟店様が安心して事業に専念できる現実的なサポート体制を構築しています。

請求業務は複雑で、制度改正も頻繁に行われるため、事業所単独で完璧に対応し続けるのは非常に困難です。

だからこそ、フランチャイズ本部として、現実的な知識と経験に基づいたサポートを提供することが責務だと考えています。

ここでは、こどもプラスが実践している不正防止への具体的な取り組みをご紹介します。

1. 請求業務の基礎教育とスタッフ研修

報酬の仕組みと加算要件の理解促進

報酬の仕組みや加算要件の理解を深めるための研修を実施し、理解不足による過誤又は不正な請求が行われないように指導しています。制度の基本から丁寧に解説し、未経験の方でも基礎からしっかりと知識を身につけることができるよう支援しています。

請求内容とサービス提供実績の整合性チェック

請求内容とサービス提供実績が整合性の取れるものであるかのチェックを行っています。過去に実際にあった返戻事例や、間違いやすいポイントを基にしたケーススタディを通じて、ミスを未然に防ぐ力を養います。

2. 請求時の確認・チェック体制

ダブルチェック体制の推奨

請求業務は2名以上の担当者を置き、実態に合った請求となっているか必ずダブルチェックを行ってから請求をかけるよう指導しています。また、請求業務を効率化するシステムの導入によりミスのない効率的な請求業務を行うことを推奨しています。

現状の課題認識

現在、巡回時の日報や加盟店から毎月提出していただくチェックリストには請求に関する事項が含まれていないため、今後確認していくようにしていきたいと考えています。

3. 過誤・返戻発生時の対応体制

迅速な報告と是正措置

過誤・返戻の理由を速やかに管理者等の担当者に報告し、即時正しい請求のやり直しを行うよう指導しています。問題が発生した際には、原因を分析し、再発防止策を検討・実施します。

本部サポートの現実的な範囲

請求に関する事項は新規開所で分からないからと聞かれる時以外、踏み込むことができにくい部分でもあり、本部チェック体制自体に課題があることを認識しています。特に多店舗運営の法人は請求業務が事務局で行われるため、適切な指導に限界があるのが現状です。

4. 情報共有と注意喚起

業界事例の共有と対策

同業者の不正事例を本部内で共有し、事業所で起こり得ることを分析し、毎月の報告書やSVの巡回時などに注意喚起を行っています。最新情報の迅速な共有により、「知らなかった」ために起こる請求ミスや不正を防ぐよう努めています。

5. SVによる現場サポート

定期巡回による確認とアドバイス

担当のSVが定期的に巡回を行い、加算の取得体制や人員配置をチェックしています。運営指導前には、運営指導の内容に基づく確認ができるタイミングなので請求面も含めて確認させてもらうようにしていますが、事務局のある法人では「請求関係は大丈夫」と言われるため全法人に対して踏み込めていないところがあります。

こどもプラスのサポート体制

サポート内容 具体的な取り組み 現状の課題
基礎教育・研修 ・報酬の仕組みと加算要件の研修
・請求とサービス提供実績の整合性チェック
継続的な教育の充実が必要
チェック体制 ・ダブルチェック体制の推奨
・請求効率化システムの推奨
チェック項目の充実と指導の具体化
過誤・返戻対応 ・迅速な報告と是正措置の指導 より踏み込んだサポート体制の構築
情報共有 ・業界事例の共有と注意喚起
・最新情報の迅速な提供
より効果的な情報提供方法の検討
現場サポート ・SVによる定期巡回とチェック 全法人への統一的な対応の実現

 

事務的なミスから発生する返戻ですが、その背景には知識不足や経営状況の悪化など、不正請求に繋がりかねない様々な要因が存在します。

一度不正が発覚すれば、指定取消や多額の返還金といった厳しいペナルティが課され、事業の継続が困難になることさえあります。

このようなリスクを回避し、健全な事業所運営を続けるためには、請求業務に関する正確な知識と、ミスを防ぐための継続的な管理体制が不可欠です。

こどもプラスは、現状の課題を正直に受け止めながら、継続的な改善を通じて、より良いサポート体制の構築に取り組んでいます。

放課後等デイサービスのフランチャイズ「こどもプラス」では、これから事業を始めようとお考えの皆様が、請求業務の不安を軽減し、こどもたちの療育により専念できるよう、現実的なサポート体制を提供しています。

放課後等デイサービス事業を始めてみませんか?
まずはお気軽にお問い合わせください。