【2024年度改定】事業所間連携加算【放デイ】(Ⅰ)(Ⅱ)の違いと算定要件を解説

【2024年度改定】事業所間連携加算【放デイ】(Ⅰ)(Ⅱ)の違いと算定要件を解説

2024年度(令和6年度)の障害福祉サービス等報酬改定において、放課後等デイサービス(放デイ)や児童発達支援を対象に「事業所間連携加算」が新設されました。

この加算は、相談支援事業所を利用しない「セルフプラン」で、かつ複数の事業所を併用している児童について、事業所間で情報連携を行った場合に算定できるものです。

この記事では、放課後等デイサービスにおける事業所間連携加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い、具体的な算定要件、単位数、留意点について詳しく解説します。

事業所間連携加算とは?(創設の背景)

障害児相談支援事業所が作成する「障害児支援利用計画」に基づかず、保護者等が作成する「セルフプラン」でサービスを利用する場合、複数の事業所がそれぞれの計画に基づいて支援を行うことになります。

その結果、各事業所間での情報共有が不足し、児童の全体像や支援状況の把握が難しくなり、支援内容に一貫性が欠けたり、重複したりする課題がありました。

そこで、セルフプランの児童であっても、事業所同士が積極的に情報連携し、一貫性のある適切な支援体制を構築することを目的として、この「事業所間連携加算」が創設されました。

事業所間連携加算の対象となる児童

本加算の対象となるのは、以下の両方の条件を満たす児童です。

  1. 指定障害児相談支援事業者が作成する計画案(障害児支援利用計画案)の代わりに、セルフプラン(※)が提出されている児童であること。
  2. 複数の指定放課後等デイサービス事業所等から、継続的に支援の提供を受ける児童であること。

※指定障害児相談支援事業者以外の者が作成する計画(セルフプラン)を指します。

事業所間連携加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の単位数

加算は、連携において中核的な役割を担うかどうかで2種類に分かれます。

  • 事業所間連携加算(Ⅰ): 500単位/回

(市町村からの依頼を受け、中核的な役割を担う「コア連携事業所」が算定)

  • 事業所間連携加算(Ⅱ): 150単位/回

(コア連携事業所と連携する「連携事業所」が算定)

※いずれも1月に1回を限度として算定可能です。

事業所間連携加算(Ⅰ)(コア連携事業所)の算定要件

加算(Ⅰ)は、市町村から依頼を受け、連携の「中核」となる「コア連携事業所」が算定できます。

主な算定要件:

  • 市町村から、対象児童の支援について適切なコーディネートを進める中核(コア連携事業所)として、事業所間の連携を実施するよう依頼を受けていること。
  • あらかじめ保護者の同意を得ていること。
  • 児童が利用する他事業所との間で、連携を目的とした会議を開催し、以下の情報を共有すること。
    • 児童に係る支援の実施状況
    • 心身の状況、生活環境等
    • 児童の通所支援計画
  • 会議の内容や整理された要点について記録を作成し、他の事業所、市町村、児童の保護者に共有すること。
  • 市町村に対して、以下の対応も行うこと。
    • 児童に係る各事業所の通所支援計画を共有する。
    • 児童・保護者の状況等を踏まえ、急ぎの障害児相談支援の利用の必要性の有無について報告する。
  • 保護者に対して、会議で整理された情報を踏まえた相談援助を行うこと。(※この相談援助は別途「家庭連携加算」の算定も可能です)
  • 事業所の従業者に児童についての情報を共有し、当該情報を踏まえた支援を行うとともに、必要に応じて通所支援計画を見直すこと。

事業所間連携加算(Ⅱ)(連携事業所)の算定要件

加算(Ⅱ)は、コア連携事業所と連携する**「コア連携事業所以外の事業所」**が算定できます。

主な算定要件:

  • コア連携事業所が開催する会議に参加すること。
  • 会議において、必要な情報共有及び連携を行うこと。
  • 自事業所の通所支援計画をコア連携事業所に共有すること。
  • コア連携事業所から共有された情報を事業所の従業者に共有し、当該情報を踏まえた支援を行うとともに、必要に応じて通所支援計画を見直すこと。

事業所間連携加算【(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い】早わかり比較表

(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いをまとめると、以下のようになります。

項目 事業所間連携加算(Ⅰ) 事業所間連携加算(Ⅱ)
役割 コア連携事業所(中核) 連携事業所(コア以外)
単位数 500単位/回 150単位/回
市町村の依頼 必要 不要
主な実施内容 会議の主催・運営、記録作成・共有、市町村への報告、保護者への相談援助 会議への参加、情報共有、計画の共有
算定限度 月1回 月1回

事業所間連携加算 算定までの流れ(イメージ)

加算算定までの大まかな流れは以下の通りです。

市町村による把握・依頼

市町村が、セルフプランかつ複数事業所を利用している児童の状況を把握します。

市町村が、その児童の支援の中核となる事業所を「コア連携事業所」として選定し、連携の実施を依頼します。

保護者の同意

コア連携事業所(依頼を受けた事業所)が、保護者に対し、事業所間で情報連携を行うことについて説明し、同意を得ます。

連携会議の開催

コア連携事業所が主催となり、児童が利用している他の事業所(連携事業所)と日程調整を行い、連携会議を開催します。(※TV会議等でも可)

情報共有と連携

会議にて、各事業所が児童の状況や支援計画、課題等を共有し、一貫した支援に向けた連携を図ります。

記録の作成・共有

コア連携事業所が会議の議事録(要点)を作成し、参加事業所、市町村、保護者へ共有します。

支援への反映

各事業所は、共有された情報を基に、日々の支援に反映させるとともに、必要に応じて通所支援計画の見直しを行います。

加算の算定

コア連携事業所は「加算(Ⅰ)」を、会議に参加した連携事業所は「加算(Ⅱ)」を、それぞれ月1回を限度に算定します。

事業所間連携加算の主な留意点・ポイント

  • 会議の頻度障害児相談支援におけるモニタリング(概ね6ヶ月に1回以上)と同様の頻度で連携の取組(会議の開催等)が行われることが望ましいとされています。
  • 会議の方法会議は、テレビ電話装置等(Zoom、Teamsなど)を活用して開催することができます。
  • 会議を欠席した場合の取り扱い
    • 加算(Ⅰ)(コア事業所): 全事業所の出席が基本ですが、やむを得ず欠席する事業所がある場合でも、算定は可能です。ただし、欠席する事業所とは別途、事後・事後に情報共有や連絡調整を行うよう努める必要があります。
    • 加算(Ⅱ)(連携事業所): 会議への参加が基本ですが、やむを得ず出席できない場合でも、会議の前後に個別にコア連携事業所と情報共有等を行い、連携を図るとともに、通所支援計画の共有を行った場合には算定が可能です。
  • 同一法人による運営の場合児童が利用する事業所のすべてが同一法人により運営される場合は、(Ⅰ)(Ⅱ)ともに算定できません。(※1つでも他法人の事業所が含まれていれば、同一法人内の事業所も算定対象となります。)

事業所間連携加算に関するQ&A

Q.セルフプランにより利用される事業所の全てが同一法人による運営の場合、事業所間連携加算は算定できないとされるが、例えば同一法人運営の事業所が2、その他の法人による事業所が1の場合、同一法人運営の事業所はそれぞれの事業所で事業所間連携加算(Ⅰ)と同加算(Ⅱ)を算定可能か。

A.可能である。

(例:同一法人の事業所Aが市町村から依頼を受けコア連携事業所として加算(Ⅰ)を算定し、同一法人の事業所Bと他法人の事業所Cが連携事業所として加算(Ⅱ)を算定する、など)

まとめ

事業所間連携加算は、支援が分断されがちなセルフプランの児童に対し、放デイ事業所が主体的に連携し、支援の質を確保するための重要な加算です。

算定の起点となるのは「市町村からの依頼」です。対象となる児童が利用している場合は、まずは市町村に「コア連携事業所」としての役割を担えるか相談・確認してみることが第一歩となります。

参考文献

こどもプラスホールディングス株式会社 フランチャイズ本部

フランチャイズ本部ロゴ

略歴・沿革

  • 2013年12月 放課後等デイサービス「こどもプラス天神町教室(第1号教室)」開業
  • 2015年10月 特定非営利活動法人運動保育士会を設立
  • 2016年03月 こどもプラスフランチャイズ本部(こどもプラスホールディングス株式会社)設立
  • 現在 全国200教室以上を展開中、FC加盟者向けのサポート・教育体制を提供

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