強度行動障害児支援加算(放デイ・児発)の要件【令和6年度改定対応】

強度行動障害児支援加算(放デイ・児発)の要件【令和6年度改定対応】

児童発達支援(児発)や放課後等デイサービス(放デイ)において、自傷や他害行為などの「強度行動障害(強度行動障害)」が見られるお子さまへの支援は、事業所にとって最も専門性が問われる領域の一つです。

令和6年度(2024年度)の報酬改定では、この「強度行動障害児支援加算」が大幅に見直されました。従来の体制(基礎研修修了者の配置)だけでは算定できなくなり、「実践研修」または「中核的人材研修」の修了者の配置と、専門的な「支援計画シート」の作成・運用が必須要件となり、単位数も引き上げられました。

この記事では、放デイ・児発の事業所が令和6年度の新基準で強度行動障害児支援加算を算定するための「対象児童の基準」「算定要件」「単位数」について、ポイントを絞って徹底解説します。

強度行動障害児支援加算とは?

強度行動障害児支援加算は、強度行動障害のあるお子さまに対し、専門的な研修(実践研修・中核的人材研修)を修了したスタッフを配置し、そのスタッフが作成した個別の「支援計画シート」に基づいて支援を行った場合に算定できる加算です。

令和6年度報酬改定により、この加算はサービス種別によって以下のように整理されました。

児童発達支援

  • 強度行動障害児支援加算(1種類)

放課後等デイサービス

  • 強度行動障害児支援加算(Ⅰ)
  • 強度行動障害児支援加算(Ⅱ)

放デイ(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは、主に「対象児童の障害の重さ(点数)」と「配置すべき研修修了者のレベル(実践研修か、中核的人材研修か)」にあります。

強度行動障害児支援加算の対象児童(点数基準)

本加算の算定対象となるのは、「こども家庭庁長官が定める基準」に基づき、市町村が「強度行動障害がある」と認めたお子さまです。

具体的には、自傷・他害・こだわり・器物破損・睡眠障害などの11項目について、行動の頻度を点数化(1点・3点・5点など)した「強度行動障害児支援加算確認票」の合計点数が一定以上であることが必要です。

児童発達支援

  • 合計 20点以上

放課後等デイサービス(Ⅰ)

  • 合計 20点以上

放課後等デイサービス(Ⅱ)

  • 合計 30点以上

強度行動障害児支援加算の算定要件(体制・計画・支援)

加算を算定するには、「①スタッフ配置」「②計画の作成・見直し」「③計画に基づく支援と確認」の3つの要件をすべて満たす必要があります。

① スタッフの配置(体制要件)

まず、以下の専門研修修了者を事業所に1名以上配置する必要があります。(※常勤や専従である必要はありません)

  • 児童発達支援 & 放デイ(Ⅰ)
    • 強度行動障害支援者養成研修(実践研修)修了者
  • 放課後等デイサービス(Ⅱ)
    • 強度行動障害支援者養成研修(中核的人材)修了者

② 計画の作成・見直し(計画要件

配置した専門スタッフが、支援の「設計図」を作成・管理します。

1.計画の作成

  • 放デイ(Ⅱ)の場合:「中核的人材研修修了者」の助言のもと、
  • 「実践研修修了者」が、お子さまごとの「支援計画シート等」を作成します。

2.計画の見直し

  • 「実践研修修了者」が、3ヶ月に1回程度の頻度で計画を見直します。

③ 計画に基づく支援と確認(実施要件)

日々の支援は、基準人員(児童指導員や保育士など)が行うことができますが、その支援が計画通りに行われているか、専門職による厳格な確認(スーパーバイズ)が求められます。

1.支援の実施

  • 配置基準上の従業者が、「支援計画シート等」に基づいて支援を行います。

2.支援の確認(スーパーバイズ)

  • 支援者が「基礎研修」修了者の場合実践研修修了者」が、原則2回の支援ごとに1回以上の頻度で、お子さまの様子を観察し、計画通りに支援が行われているか確認します。
  • 支援者が「研修未修了」の場合:上記(2回に1回の観察)に加えて、日々の支援内容について「実践研修修了者」または「基礎研修修了者」に確認した上で支援を行います。
  • 【放デイ(Ⅱ)のみ】追加要件:「中核的人材研修修了者」が、原則週に1日以上の頻度でお子さまを観察し、計画の見直しについて助言を行います。

強度行動障害児支援加算の単位数(90日間の加算)

令和6年度改定で単位数が引き上げられ、特に支援の初期段階(90日間)は手厚く評価されるようになりました。

児童発達支援

200単位/日

【初期加算】加算開始から90日以内: さらに+500単位/日(合計700単位)

放課後等デイサービス(Ⅰ)(20点以上)

200単位/日

【初期加算】加算開始から90日以内: さらに+500単位/日(合計700単位)

放課後等デイサービス(Ⅱ)(30点以上)

250単位/日

【初期加算】加算開始から90日以内: さらに+500単位/日(合計750単位)

※90日間の起算点について:令和6年4月1日以降、新たな要件で算定を開始した日から90日をカウントします。この初期加算は、同一事業所において同一児童について1回限り算定できます。

強度行動障害児支援加算の必須書類(支援計画シート)

算定要件にある「支援計画シート等」とは、具体的には厚生労働省が「重度訪問介護」の事務連絡で示している以下の2つの様式を指します。

支援計画シート

お子さまの障害特性、コミュニケーションの特性、行動障害の背景・機能(目的)、支援の方向性(環境調整、対応方法)などをまとめる「計画書」です。

支援手順書兼記録用紙

「いつ・どこで・誰が・何を」するかの具体的な支援手順と、それを実施した際の「記録欄」が一体になったものです。

これらのシートを専門職が作成・管理し、日々の支援者がこれに基づいて支援を行うことが求められます。

強度行動障害児支援加算 Q&A

Q1. 児童発達支援管理責任者(児発管)が「実践研修修了者」を兼ねることはできますか?

A1. 可能です。

児発管が実践研修修了者として配置され、支援計画シートを作成することは可能です。ただし、その場合、児発管(管理者も同様)は「日々の直接支援」を行う従業者とはみなされにくいため、計画に基づく直接支援は、別の従業者(児童指導員など)が行う必要があります。(R6報酬改定Q&A VOL.1 問18より)

Q2. 「加算開始から90日間」の+500単位は、一度利用を終了した子が再利用した場合、また算定できますか?

- A2. 算定できません。

この初期加算は、利用の初期段階に手厚い支援を行うためのものです。90日間の期間終了後は、同一事業所において、再度当該児童について算定することはできません。(R6報酬改定Q&A VOL.2 問6より)

Q3. 令和6年4月1日から算定する場合、計画シートが間に合いませんでした。

A3. 令和6年4月算定分に限り、「4月分の報酬請求時点(5月10日頃)までに作成されていれば算定可能」という経過措置がありました。

5月以降は、支援の開始前に支援計画シートが作成されている必要があります。(R6報酬改定Q&A VOL.2 問5より)

強度行動障害児支援加算の公的な引用・参考文献

本加算の算定根拠や解釈は、以下の公的資料に基づいています。必ず管轄の指定権者(市町村)の最新情報も併せてご確認ください。

こども家庭庁

厚生労働省

さいごに

放課後等デイサービスや児童発達支援の運営は、法令順守と質の高い支援の両立が常に求められます。 全国200教室以上の運営実績を持つこどもプラスでは、長年培ったノウハウに基づき、強度行動障害児支援加算をはじめとする最新の加算要件の体制構築に対応した実務研修と、安心のサポート体制を提供。適切な加算取得と安定運営を徹底サポートします。

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こどもプラスホールディングス株式会社 フランチャイズ本部

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略歴・沿革

  • 2013年12月 放課後等デイサービス「こどもプラス天神町教室(第1号教室)」開業
  • 2015年10月 特定非営利活動法人運動保育士会を設立
  • 2016年03月 こどもプラスフランチャイズ本部(こどもプラスホールディングス株式会社)設立
  • 現在 全国200教室以上を展開中、FC加盟者向けのサポート・教育体制を提供

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