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放課後等デイサービス経営者の年収は?儲かる仕組みと売上を最大化する方法

放課後等デイサービスは安定した経営を実現できる福祉事業です。

利用児童数は増え続けており、今後も成長が見込めることから、新規参入を考えている経営者様も多いのではないでしょうか。参入を検討するとき気になるのが年収です。

今回のテーマは、放課後等デイサービスの経営者・オーナーの年収です。平均年収と収益を伸ばし、年収を上げるポイントをお伝えします。

放課後等デイサービスの儲かる仕組みや1日・1ヶ月の平均売上から、効率よく経営を成功させる方法を見ていきましょう。

放課後等デイサービスは顧客のライフタイムバリューが高いビジネスです。参入すれば長く安定した経営が期待できます。

また、放課後等デイサービスのFC教室を190拠点展開する「こどもプラス」の事業モデルを参考に、収益を最大化するノウハウも説明します。

この記事を読むことで、放課後等デイサービスに参入する意義や、事業の将来性がより明確になるでしょう。

1.放課後等デイサービスとは

放課後等デイサービスとは放課後等デイサービスは、障がいを持つ小学生〜高校生が放課後や長期休暇中に利用できる施設です。

子ども達が自立した社会生活を送れるよう、心と身体の発達を促す支援を提供します。託児の役割も果たすため、保護者の負担を軽減する役割も担っています。

放デイは、在宅生活を支える第二種社会福祉事業に分類されます(放デイの場合、子ども達に通所してもらいます)。

運営には自治体の許認可が必要で、人員配置から設備基準、運営基準まで、児童福祉法で定められたルールに従わなければなりません。厳しく運営することで、子ども達が安心して通所でき、支援効果も高まります。

放デイの詳細と開業までの流れは放課後等デイサービス開業の流れと資金を丸ごと解説』をご覧ください。

2.放課後等デイサービス経営者の年収

放課後等デイサービス経営者の年収

厚生労働省が公表する「平成29年障害福祉サービス等経営実態調査結果」を参照すると、放デイの施設長・管理者の平均年収(平成28年度年間所得)は393万円です。

(参照:平成29年障害福祉サービス等経営実態調査結果 | 厚生労働省

2-1.日本の中小企業役員平均との比較

放課後等デイサービスの経営者・オーナーの年収393万円をほかの役職の年収と比較をしてみましょう。

障がい福祉サービスの施設長・管理者の平均年収は521万円(同資料による)で、放デイよりも100万円以上高い金額です。

資本金2,000万円未満の企業全体では、役員の平均年収は567万円で、さらに上昇します。これらと比べると、放デイオーナーの年収は低い印象を受けるかもしれません。

(参照:平成29年民間給与実態統計調査結果 | 国税庁

2-1-1.放デイの売上と経営者の年収の関係

しかし、実際のところ放デイは赤字施設と黒字施設があり、事業所の経営状況によって、経営者の収入が変わります。

近年では、事業所の増加により競争が激しくなり、思うように児童を集められない施設が多い問題もあります。

独立行政法人福祉医療機構のレポートによると、令和3年時点で放デイの赤字施設割合は45%で、半数近くにのぼっています。赤字施設が増えていることが、経営者の平均年収が下がる1つの要因です。

(参照:2021年度(令和3年度)児童系障害福祉サービスの経営状況について | 独立行政法人福祉医療機構

また、放デイならではの事業形態も、経営者の年収に関係しています。放デイは児童福祉法にのっとり運営します。

一日に通所できる児童の数も決められており、多くの施設は最大10名です。学習塾のように、儲けを上げるために生徒を多く集められません。売上には限界があり、一般的に一ヶ月の売上はおよそ300万円までです(第4章で詳述)。

売上の限界を理解し、売上・収益を伸ばす工夫をしなければ、収入も増やしにくいでしょう。儲けている事業所の経営者は、平均年収よりも高い年収を得られます。

2-2.年収は安定性の高さが特徴

放デイには「経営の安定性」という最大の武器があります。これは民間企業にはない魅力です。

利用者を集め信頼を得られれば、長く安定した経営ができ、収入も継続して入ってきます。

一度に大きな金額を得るのではなく、安定したビジネスを長く続けたい人に向いています。

3.放課後等デイサービスが安定した収益をあげられる理由

放課後等デイサービスが安定した収益をあげられる理由

放課後等デイサービスが安定した収益をあげられる理由を説明します。

  1. 収入の9割は国保連からの給付費
  2. 児童は一度入所すれば10年を超える支援が可能
  3. 支援が必要な児童数は右肩上がりで増えている

収益構造と利用者の特徴、さらに市場の現状から解説していきます。

3-1.収入の9割は国保連からの給付費

放デイの収益が安定する大きな理由は、その収益構造にあります。放デイの利用者は、施設利用金額の1割しか負担しません。

残り9割は介護保険でまかなわれ、国民健康保険団体連合会(国保連)をとおし事業所に支払われます。

そのため、収入のほとんどは国保連からの給付費です。利用代金の不払いや、売掛金の回収に悩まされることはありません。

また景気に左右されにくいことも、放デイの魅力です。学習塾や習い事教室では、景気が悪くなれば、通えなくなる生徒も出てきます。

3-1-1.利用者の減少が起こりにくい

しかし放デイは利用料金に上限があるため、生徒の離脱を防げます。

上限を超えるぶんは介護保険で補填する仕組みです。世帯年収890万円以下の家庭では、何度利用しても(※注1)月に4,600円までしかかかりません。

景気が悪化しても、利用者の減少が起こりにくいのです。

※注1)通所回数は自治体が発行する受給者証で決められています。利用者はその範囲内で施設を利用できます。

3-2.児童は一度入所すれば10年を超える支援が可能

放デイは一日に通所できる上限人数が児童福祉法で定められているため、利用者を多く集め儲けを得るビジネスではありません。子ども達一人ひとりと関係を深めながら、太く長い関係を築きます。

一人の顧客が自社と取引を始めてから終わるまでの期間に、どれだけの利益をもたらしたかを考えるマーケティングの指標を、ライフタイムバリュー(※注2)と言います。

放デイは、ライフタイムバリューを高めるほど利益が上がります。一人ひとりの子どもを大切にし、長期間通ってもらうことが、経営の安定に繋がるのです。

小学1年生〜高校3年生まで通所すれば、12年にわたる長期の療育サポートができます。これだけの期間、一人の顧客とかかわれる事業は多くないでしょう。

※注2)ライフタイムバリューの詳細は、こどもプラスの関連サイト「DokTech」の記事安定した経営に不可欠なライフタイムバリューの重要性で解説しています。

3-3.支援が必要な児童数は右肩上がりで増えている

厚生労働省が公表する「障害児通所支援の現状等について」によると、放デイの利用児童数は年々増え続けています。

平成26年度と令和元年度を比較すると、その数は2.5倍以上です。

放デイの主な利用者層である「通級(※注3)による指導を受けている児童生徒数」も右肩上がりで増えています。

放デイが創設された平成24年と比較すると、令和元年度は2倍近い人数です。

今後も利用児童数は増え続け、ニーズがますます高まることが予想されます。

(参照:障害児通所支援の現状等について | 厚生労働省

※注3)通級とは特別支援学校や特別支援学級ではなく、小・中学校の通常の学級に在籍しながら、必要な支援を個別に受ける仕組みです。

3-3-1.将来性はあるが競争の激しい放デイ市場

このように放デイは安定感があり、将来性も期待できるビジネスです。

しかし、ライバル事業所が増え続けていることも忘れてはなりません。

利用者を獲得できなければ、安定した経営も、利用者との長期的なつきあいも実現できません。ほかの事業所と差別化をはかり、激戦を勝ち抜く必要があります。

具体的なやり方は放課後等デイサービスの今後の課題と生き残りに必要な取り組み』をご覧ください。

4.放課後等デイサービスの収益モデル

放課後等デイサービスの収益モデル

放課後等デイサービスの収益モデルを活かし、最大の売上を実現するには、以下の点に力を入れる必要があります。

  • 日々定員近くまで利用者を入れること
  • 加算で利用者の単価を上げること

本章では、放デイが儲かる仕組みと、注力すべき2点を実現するポイントを説明します。

4-1.報酬の計算方法

放課後等デイサービスが儲かる仕組みを知るには、まず報酬の計算方法の理解が必要です。

報酬を計算する方法は、診療報酬や介護事業と同じ「単位形式」です。

報酬単位数は厚生労働大臣が決定し、定期的に見直しが行われます。児童の利用状況に応じて、一日ごとに報酬単位が計算される仕組みです。

一日の収益は、以下の式で計算します。

<放デイの報酬計算式>

「一日児童一人あたりの単位数」×「地域単価(10円〜)」×「人数」

地域単価は、地域ごとの人件費の差を考慮して設定されます。最も高いのが東京23区で、12円です。政令市や中核市など規模の大きな自治体ほど、単価が高い傾向です。

4-1-1.人数を定員まで入れるのが理想

計算式からわかるとおり、高い収益を得るには一日の利用人数をできる限り定員に近づけるのが理想です。

ただし、定員超過が続くと報酬が減算されるため、注意が必要です。

4-2.基本報酬と加算報酬

児童一人あたりの単位数は、基本報酬と加算報酬で成り立ちます。基本報酬に加え、いかに効果的に加算報酬を得られるかがポイントです。

2023年現在の基本報酬は次のとおりです。

<基本報酬>

・平日:604単位

・学校休業日:721単位

いっぽう、加算報酬は種類が多く、支援内容により適用できる加算が変わります。代表的な加算は次のとおりです。

<代表的な加算報酬>

  • 児童指導員等加配加算:最大187単位(保育士など)
  • 専門的支援加算:最大187単位(理学療法士など)
  • 送迎加算:往復108単位

■基本報酬と代表的な加算報酬を加えた場合

  • 平日:1086単位
  • 学校休業日:1203単位

■利用者を10人、地域単価を10円と仮定した場合

  • 平日:108,600円
  • 学校休業日:120,300円

この金額が一日の収益目安です。

4-2-1.いかに加算を取るかがポイント

一ヶ月の収益をできる限り多くするには、加算を効果的に取得する必要があります。まずは上記の代表的な加算を漏らさずに取得することが重要です。

このほか、取得できる加算がある場合は忘れずに申請します。毎日行うものでなくても、実施するたびに取得できる加算もあります。

<実施するたびに取得できる加算>

  • 児童の家を訪問しサポートを行う「家庭連携加算」(1回187単位)
  • 施設での面談で取得できる「事業所内相談支援加算」(1回100単位など)
  • 保育所や学校機関と支援内容を共有することで得られる「関係機関連携加算Ⅰ」(1回200単位)

これらの加算も組みあわせ、収益を少しでも上げる努力をしていきましょう。

詳しくは放課後等デイサービスの人員配置基準と加算一覧をご覧ください。

5.放課後等デイサービスの平均売上(1日・1ヶ月)

放課後等デイサービスの平均的な1日・1ヶ月の売上を説明します。

平日22日、学校休業日5日で計算すると、

108,600(平日売上)×22日+120,300(学校休業日売上)×5日=2,990,700円

およそ300万円が毎月の売上の目安だとわかります。

放デイに参入したら、まずはこの金額を達成することを目標にします。それには日々定員近くまで利用者を獲得し、加算を逃さず取得することが大切です。

6.放課後等デイサービスの収益を最大化する方法

放課後等デイサービスの収益を最大化する方法

放課後等デイサービスの収益を最大化する方法を3つ解説します。

  1. 激戦の小学生より中高生に照準をあわせる
  2. 教室ごとに特色をつくれる多店舗展開
  3. 教室の空き時間を利用した実費事業の導入

放デイの日々の支援で得られる収益には限界があります。

できる限り定員いっぱいまで利用者を入れる必要があるものの、現在はそれも容易ではありません。

参入事業者の数が増え、競争が激化しているからです。だからこそ、経営には工夫が欠かせません。

本章ではこどもプラスが実践している、収益を最大化する工夫をお教えします。

6-1.激戦の小学生より中高生に照準をあわせる

放デイのボリュームゾーンは小学生です。

みずほ情報総研の「放課後等デイサービスの実態把握及び質に関する調査研究報告書」によると、令和元年6月の年齢別の実利用者数の平均値は、小学生18.34人、中学生5.15人、高校生等が4.20人です。

中学生と高校生をあわせても、小学生の半分くらいしかいないのが現状です。

(参照:放課後等デイサービス実態把握及び質に関する調査研究報告書 | みずほ情報総研株式会社

したがって、多くの事業所はニーズの多い小学生を対象にします。利用者の奪いあいが起き、支援内容に特色がない事業所や、口コミの評判が良くない事業所は淘汰されるでしょう。

ボリューゾーンである小学生を狙うより、中高生に照準をあわせたほうが成功しやすいのです。

それには自立支援、就労支援などの中高生向けのコンテンツを用意する必要があります。中高生は学校生活が忙しく、平日の時間を確保することが難しい子も多くいます。訴求力のあるコンテンツで、「来たい」と思える教室づくりをしましょう。

詳しくは需要が高まる!中高生を対象とした放課後等デイサービスで解説しています。

6-2.教室ごとに特色をつくれる多店舗展開

連日定員近くまで利用者を集められるようになったら、多店舗展開をするのも有効な方法です。教室の数だけ売上が伸び、年収の増加にも結びつきやすいでしょう。

放デイは日々の支援をとおし、障がいのある子ども達に最善の利益をもたらす義務があります。通いたくても人数制限で通えない状況になれば、その義務を果たせません。近くに複数教室があれば、そのような状況を打破できます。

6-2-1.認知度アップにつながる

教室が増えれば地域での認知度も上がり、集客もしやすくなるでしょう。店舗が増えるほどに、地域でのシェアを伸ばせます。

さらに教室ごとに特色を出せる利点もあります。未就学児向けの児童発達支援、小学生向け、中高生向けの教室など、年齢や役割で教室を区分できます。

ブランディングが行いやすく、「専門性の高い教室」としての認知度が上がるでしょう。

詳しくは事業拡大も後押し!放課後等デイサービス多店舗展開のノウハウをご覧ください。

6-3.教室の空き時間を利用した実費事業の導入

コンテンツを多く保有する事業所なら、教室の空き時間に実費事業を導入できます。実費事業とは、放デイのサービス提供時間外にサービスを提供するビジネスモデルです。

許認可事業と実費事業を組みあわせることで、教室の稼働率を上げ、売上の限界もなくなります。

6-3-1.学習塾・習い事教室運営

多くの事業所で取り組みやすいのが、放デイの運営時間後の学習塾・習い事教室運営です。夜間の教室を無駄にせず、備品の多くも流用できます。

さらに放デイの子ども達が、そのまま通える利点もあります。

放デイ職員が勤務可能であれば、発達障がいの子ども達の特性に考慮した学習指導(学習塾)や、作業療法の知識を取り入れた音楽指導・絵画指導(創作教室)などが行なえます。

子ども達にとっては一箇所で塾や習い事もこなせ、便利に感じられるでしょう。

詳細は限界突破!放課後等デイサービスで利益を上げる秘訣をご覧ください。

さいごに

さいごに放デイの経営者の平均年収は393万円です。赤字施設と黒字施設によって、経営者の年収には差があります。年収を上げるのであれば、収益を伸ばす工夫が欠かせません。

そもそも放デイは、安定した経営を実現しやすい事業です。売上の大半が国保連からの給付費であることや、一度利用者を獲得すれば長い利用が期待できるためです。

経営者も安定した収入を得やすいことが魅力です。しかし安定性に惹かれ参入する事業者も多く、事業を軌道に乗せるのは容易ではありません。

まずは、以下2点に努めましょう。

  • 毎日定員近くまで利用者を入れる
  • できる限り加算を取得し、利用者の単価を上げる

人数をうまく集められないときは、中高生の自立支援・就労支援に焦点を当てると良いでしょう。小学生よりもライバルが少なく、勝算が高まります。

ただし、認識しておかなければならないのは、放デイの売上には限界があることです。運営規程で定めた人数以上は受け入れできず、一日の収益には上限があります。一ヶ月の売上平均は300万円程度(定員10名の場合)で、それ以上は細かな加算を積み重ねるしかありません。

  • 多店舗展開
  • 実費事業の導入

が有効です。多店舗展開をすれば、店舗の数だけ売上が増えます。実費事業で学習塾や習い事教室も行うことで、給付費に頼らないビジネスを構築できるでしょう。

具体的なノウハウに不安を感じる人や、効果的なコンテンツを用意できない人は、フランチャイズ事業に加盟するのも一つの手です。

こどもプラスのフランチャイズ加盟店は、多くのオーナー様が多店舗展開をしています。教室を巡回し支援を行うスーパーバイザーが、適切な時期を見極め提案するため、失敗のリスクを抑えられます。

実費事業の導入事例も多く、プログラミングやドローン、現代アートなど子ども達の興味を惹くさまざまなコンテンツを提供しています。導入店舗は、給付費に頼らず安定した経営を実現しています。

弊社フランチャイズ事業の詳細は、「個別相談会」「資料請求」でご案内いたします。以下のフォームよりお申し込みください。

また収入の不安や、放デイ市場への参入の不安も弊社が解決のサポートをいたします。これから参入を考えている経営者様は、ぜひ「問い合わせページ」よりご連絡ください。

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